勧誘と王都観光
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Name:バアル・セラ・ゼブルス
Race:ヒューマン
Lv:1
状態:普通
HP:86/86
MP:245/245
STR:9
VIT:11
DEX:19
AGI:24
INT:58
《スキル》
【斧槍術:24】【水魔法:2】【風魔法:2】【雷魔法:7】【時空魔法:2】【身体強化:2】【謀略:14】【思考加速:4】【魔道具作成:8】【薬学:2】【医術:7】
《種族スキル》
《ユニークスキル》
【轟雷ノ天龍】
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「「「「「「「「「「「「………………」」」」」」」」」」」」
「すごいじゃないか!バアル!」
父上だけは喜んでいるが他は無反応だ。
とりあえず何もなかったようだから下りていく。
「おい、お前」
後ろから声が掛けられた。
「なんでしょうかイグニア様」
「俺の配下となれ」
「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」
イグニアの言葉で回りが唖然とする。
「残念ですがまだまだ修行中の身なので、お断りさせてもらいます」
さすがに今ここで派閥を決めてしまうのは早計なのでやんわりと断る。
「ムゥ……」
「でしたら、修行が終わったら考えてくれませんか」
イグニアの隣にいるユリアはそう言ってくる。
「ざんねんながら確約はしかねます」
そういい俺はこの場をさっさと離れる。
(イグニアは問題ないが、ユリアはめんどくさいな)
口約束でも周囲には証人となる人たちがいるから無暗なことは言えない。
「父上、俺は先にこの場を離れます」
「…わかった、だが屋敷に居ろ。夜になると晩餐会があるからな」
父上も俺がこの場にいるのは良くないと思ったらしい。
(ほかの奴らの情報も見たかったけど、この状態ならしょうがない)
「馬車を出してくれ屋敷に帰る」
馬車を出して屋敷に向かう。
(……にしてもユニークスキルか)
スキルを発動させると手から火花が飛び散る。
「はぁ…」
「どうかしましたか?」
同じ馬車に乗っている執事がため息に反応した。
「いや、ユニークスキルとは何だろうな、と思っただけだ」
「ユニークスキルですか……昔は神からの恩恵とされていましたな」
「そういうことが言いたいんじゃない、なぜこんな力が人には使えるのかということだ」
体質なんてちゃちなもんじゃない、もっと根本から違う力だ、これは。
「残念ながら、なぜ人がユニークスキルを持つのかは判明していません」
「だろうな」
この世界は不思議だ。一応色々と実験をしてみた結果この世界の法則は地球とほぼ同じであることが判明している。
だが魔法という要素が入る時点で全くの別物になってしまっている。
(……逆に言えば魔法を使わなければ地球と同じ法則が成り立つのはありがたかったが)
前世の知識から植生、地盤、治水などを学ぶことができたので領地改革は順調に進んだ。
ほかにも魔道具や魔法などもより使いやすくなっていた。
「まぁ今は考えても仕方ないか」
「???」
「独り言だ気にするな」
「「「おかえりなさいませ」」」
「ああ」
屋敷に着くとメイドたちがお出迎えをしてくれているが俺は早足に自室に向かう。
「それにしても貴族ってのも案外めんどくさいんだな」
子供でも先ほどみたいに派閥を作ってしまうぐらいだ。
とりあえず
「よっと」
窓を開けて飛び出す。
(王都に来るまで外出することは禁止されていたけど、来るまでだからもう問題ないだろう。
父上には教会を離れることは伝えたし、夜までに屋敷に戻ればいい)
屋台に売っていた果実を食べながら店を物色する。
「さぁさぁ本日とれたての新鮮な野菜だ見て行ってくれ!」
「霜がのっててジューシーな串焼きはいらないかい!」
「今朝釣ってきた魚だ!脂が乗っておいしいよ」
こんな店もあれば装飾品が売っている店もある。
その中で一際気になる店があった。
「ここはなんだ?」
看板には『骨董店メルカ』と書かれている。
店の中には怪しそうな壺や怪しい置物が並んでいる。
「おや、珍しいお客様だね」
「珍しい?」
「ああ、あんた貴族だろ?」
「そうだが、よくわかったな」
今の服装はギルベルトと出かけた時の服だから目立たないはずだ。
「かんたんだ、その手入れがされた髪は貴族や大商人くらいなもんさ」
「髪質がとてもいいだけかもしれないぞ?」
「はは、こちとら見間違えるほど落ちぶれてはいないわい」
店主の目は確かなようだ。
「で、ここは何を売っているんだ?」
「見ての通り骨董品さ」
「へ~じゃあこれは何なんだ」
「それは南のほうにいる部族の魔除けさ」
「こっちは?」
「西の方で使われていた古い鎧だよ」
「アレは?」
「あれは北の熊神と恐れられたもの毛を使ったコートさ」
全部、信憑性皆無じゃないか。
「今偽物だろうとおもったろ?」
「ああ、どれも聞いたことがないからな」
「それはお主の知識不足じゃ」
その言葉に俺はムッとした。
自慢じゃないが俺は結構な量の知識を本で学んだと自負している。
「……俺なら買わない本物かどうかも判断つかない奴に金なんか使うか」
「それでいいさ、結局価値を決めるのは自分さ。それがどんなに不評でも自分が欲しいと思ったなら掴もうとするべきだね」
「……てっきり文句でも言われると思ったよ」
「儂がか?カッカッカ、そんなことを言えるくらい図々しくないさ儂は。」
この婆さん、年を食っているだけあるな。言うこと言うことに重みがある。
「さてここら辺をよく見てきてご覧、もしかしたらほしいと思えるものがあるかもしれないよ」
俺は店の中を探索する。
よさそうなものも数点あったが大金をはたいても欲しいものは無かった。
だがそんな中一つのものに目が止まった。
「婆さん、これは何なんだ?」
俺が見つけたのは楕円形の石が奉られている祭壇だ。
「ああ、それかい。それは東の国の神獣の卵とされているものだね」
「神獣?」
「ああそうさ、その者は稲光の速さで天を駆けことができ、角から放たれる稲妻はすべてを灰燼に返すとされている」
「へ~」
これがか。
「いいだろう、これを買う」
「カッカ、いいだろう子供にしては聡明だ。金貨3枚でいいよ」
俺は金貨三枚を取り出し渡す。
「で、それはどうやって持って帰るのかい?」
「こうする『亜空庫』」
すると空間が歪み、祭壇が無くなる。
「ほう、魔法かい?しかも時空魔法か」
「ああ」
家の書庫にほこりをかぶってあった本に載っていた。
「そうかい、そうかい、お前名前は?」
「バアル、バアル・セラ・ゼブルス」
「バアルか……お主の噂を耳にするのを楽しみにしているよ」