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厄介な研究成果

ザッザッザッ


「クンクン、こっちだね」


レオネの先導で急いで離脱する。


「それにしてもあれぐらいで動きを止めるなんて、臆病だね~」


振り返ると動きが速い騎馬隊のみが動き、それ以外が警戒のために動きを止め身を固めている。


「ま、仕方ないさ」


本来軍といえば責められないように慎重に動く必要がある。いままでそれをしなかったのは獣人には接近戦しかないと考えていたからだ、防御に回していた魔法を攻撃に転用し、罠の類もないのでひたすらしらみつぶしにしながら前進するだけで済んでいた。


だが今回俺が遠距離攻撃で攻撃を行った結果、簡単に攻撃を通してしまった。となれば獣人が接近戦のみという前提が崩れてしまうため軍に動揺が走る。


(上の連中はより慎重に動くことになるからな)


会議や対策などでよければ数日、早くても明後日までは動きはないはずだ。


(それににしてもリンに会えたのは行幸だったな)


モノクルを取り出し自信を鑑定する。


――――――――――

Name:バアル・セラ・ゼブルス

Race:ヒューマン

Lv:98

状態:『命蝕毒:6日』

HP:1305/1305

MP:6691/6491+200(装備分)


STR:162

VIT:161

DEX:193

AGI:222

INT:263


《スキル》

【斧槍術:67】【水魔法:4】【風魔法:7】【雷魔法:66】【精霊魔法・雷:54】【時空魔法:32】【身体強化Ⅱ:45】【謀略:52】【思考加速:37】【魔道具製作:42】【薬学:2】【医術:10】【水泳:4】

《種族スキル》

《ユニークスキル》

【轟雷ノ天龍】

――――――――――


格上殺し(ジャイアントキリング)を行ったのにそこまでレベルが上がってなくて少しがっかりだが、ステータスを確認した理由はほかにある。


(リンの【浄化】でも毒が消えないのか……)


本来は人族との戦争を解決すれば解毒してもらえる約束だが、解毒手段を確保しておけばいざというときに寝返ることができると予想していたのだが当てが外れた。


「それよりも急いで戻るぞ、話したいことが山ほどある」

「りょ~かい、そろそろ見えるよ」


しばらく進むと警戒している獣人が見える。


「レオネか!」

「そ~だよ、それよりお兄ぃはどこにいる?」

「この先でヒュールに話を聞いているよ」

「そっかありがと~」


警戒斥候の獣人の間を抜けてレオンの元に向かう。












腰を下ろしている獣人の波をかき分け中心に向かうと、レオンがヒョウの獣人と何かを話している。もちろんその周りにはエナとティタもいる。


「なんで!人族(ヒューマン)の子がここに!!」


俺が近づくなり豹の獣人は牙をむき威嚇してくる。


「なんだ、話していなかったのか?」

「ああ、まずは被害の確認をしていてな」

「安心しなヒュール、こいつは味方だ」

「エナ!?本気か!?こいつは人族(ヒューマン)なんだぞ!」


エナやレオンが大丈夫だと言っても、ヒュールは警戒を解いたりはしない。


「まぁいいや、レオン、後続が到着するまでどれくらいの時間が掛かる?」

「お、おい!」

「そうだな、親父が招集掛けてくれているし、まぁ三日、早ければ明後日ぐらいだな」

「それは上々」


ならばなんとか間に合いそうだ。


「おい、レオン」


ヒュールの問いかけに肩をすくめて答えるレオン。


「それよりもヒュール、事の顛末をもう一度話してくれないか」

「……」


ヒュールの視線は当然ながら俺に向かう。


しばらくにらみ合いが続くとヒュールが長い溜息を吐く。


「まず、こうなったのは大体一週間前だ―――」









こんな事態になったのはほんの一週間前。


いつも通り、ぶつかり合っていると、急に最前線の奴らがやられ始めたのがきっかけとなる。


ヒュールはこの軍を預かる者として原因が何かをすぐさま調べた。


最前線で何があるのかと。


そして最前線で起こっていたのは―――









「【獣化】ができなくなっていた、か」

「ああ、一定以上近づくと解除されて発動できなくなった」


先ほどの戦闘でも最前列にいる連中の体が変化し普通の人間の姿に戻っていた。


【獣化】は獣人にとって最大の攻撃手段でもあり防御手段でもある。それを失えばただ少し【身体強化】が得意な人でしかなくなってしまう。となれば後は数に押されて押し込まれる。さらには獣人は遠距離攻撃を持たず、人族には魔法という手段があることからことさらにだ。


「最初は俺たちの身に何かが起こっていると思ったんだが、戦場を離れると普通に使えるようになっていた」

「………だろうな」


事前の情報がなければ俺でも見当がつかなかっただろう。だが俺が攫われる原因となったあの発表会、そこにヒントがあった。


「バアル、まずはみんなの傷を癒してもらいたい」

「…それもそうだな」


立ち上がり見渡すとどこもかしこも怪我人だらけだ、治癒できる『慈悲ノ聖光』はかなり貴重だ。


「レオン、この際だから言うが、戦線に復帰できそうなやつらから治癒していく。治癒しても戦線復帰できない者は遠慮なく見捨てる、いいな?」

「なっ!?てめぇ!!」

「………いいだろう」

「レオン!?」


ヒュールが突っかかってきそうになるが、レオンが押しとどめる。


「人手を借りるぞ」

「ああ、エナ、ティタ、頼む」

「了解」

「………」


二人を借りてこの場を離れる。

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