表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
437/470

隠れた実力者

※この度再投稿することにいたしました。もしこの作品のブックマーク、評価してくださっている皆様はもしよろしければ再投稿先でもお願いいたします。


変更点などはあらすじに記載しておりますので、参照ください。


再投稿先はこちらのURLとなります。

https://ncode.syosetu.com/n5978gw/

「……助かる」


ヨク氏族の戦士がレオンの近くに降ろしてくれる。


「な~に問題ないさ、だけどあんた一人で問題ないのかい?」


心配は不要だ、俺はエナの命令でレオンを助けるために来た。その過程で死んでも悔いはない。


何人かの部隊横切りながらレオンの方に近づく。


「おい、ティタそっちは」

「バカ!やめとけ!!」


そのうちの数人が何かを忠告しようとするが、すぐさま俺を知っている奴が止めに入る。


そしてその忠告なのだが


ブブブブブブブブブブッブブブブブブブブ


「……鬱陶しい」


俺は蜂の魔蟲に囲まれることになる。


しかし危機感などは全く感じない。


なぜなら


ボト、ボトボト、ボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボト


近づいてくる魔蟲がどんどん地上に落ちてくる。


「……雑魚が」


尻尾を使い、まだ見た事がない蜂の死骸を一匹ずつ拾い上げる。


バリッボリッ、ゴクン


「……やっぱまずい」


顔を蛇の姿に変えて死骸を何度か租借し丸飲みにする。


「……さて、レオンはあっちか」


魔蟲の中を突っ切りレオンのもとに向かう。







道中何度も絶えず魔蟲に襲われるがそのすべてが地に落ちていく。


「……あれか」


少し先で太い火柱が立っている。


(相変わらず派手だな)


レオンの戦闘スタイルはとにかく目立つ。


(ここからは走らないとまずいか)


「ティタ!?なんでここに?」


近づいて行くとレオンの部隊の一人が気付く。


「……レオンはどこだ?」

「え、あ、あっちに」

「……助かる」


場所が分かったらあとは向かうだけだ。


「……【獣化】」


下半身を蛇にしてレオンの元に向かう。










「「「ガァアアアアア!!!」」」

「フシュシュシュ!!」


一番先頭ではレオンと数人が大きな百足とやりあっている。


ドン!!

「がっ!?」


一人が体当たりされて吹き飛んできた。


「ってて、くそっ」

「……おい」

「ん?ティタ?なんでここにいるんだ?」

「……エナがこっちを手伝えってさ」


そう言うと獰猛な顔になる。


「お前の手を借りると思うか?」

「……アレを殺しきれるのか?」


何も相手にしているのは一匹ではない、森の奥の方から同じような大百足が何匹も出てきている。


さらには今レオンが相手にしているのはこれまでに戦った種類ではなくより鋭利により頑丈に甲羅を変化させている個体だ。


「っち、わかったでもレオンに許可を取れ」

「……わかっているさ」


ということで木々をすり抜けてレオンが相対している百足の背後に移動する。


(手早く済まそう)


ばれないように百足の甲羅に乗ると牙を突き立てる。


ガリッ、ジュワ、ザク!!


牙を突き立てると、牙の先から酸を出し硬い部分を溶かす、その後は猛毒を注入する。


この方法ならば相手が硬い甲羅に覆われていても酸に耐性が無ければ無力化できる。


そして


シュ………シュ…………………


百足は力なく地に伏せる。


「……大丈夫か、レオン」

「ティタか?」


レオンは体中に薄い切り傷を負っている。


「ふぅ~、それでお前ならどこまで倒せる?」


俺とレオンはこちらに迫ろうとしている集団を見る。その数は30ほどいる。


「……お前は?」

「はぁ~正直10が限度だろう、だが」

「……ああ、俺なら余裕で殺せる。そのためには」

「あいよ、少しの間はほかの奴らも下げてやるさ」


レオンは俺の能力を理解はしている。だがそれを知らない部下たちは疑問を持つばかりだ。


「じゃあ存分に暴れろ」

「……ああ、では行く」


全身を巨大な蛇に変化させると今まででは考えられない速度で動く。


(いくらいようと無駄なのにな)


口を開けて毒液を放つ。それもすべてにたったひと固まりをだ。


毒液を浴びると魔蟲はすぐさまのたうち回り、最後には力なく息を引き取っていく。


ブブブブブブブブブブブブブブブブ


(今度は蜂か)


再び口を開けて待ち構える、だが今回は液ではない。


フシューーーーー!!


牙の先から紫色の煙がまき散らされる。


ブブブブブ……ブブブブ……ブブ……………


攻撃しようとしてきた魔蟲すべてが地に落ちる。


「お~お~さすがだな」

「……近づくとレオンでも死ぬぞ」

「わかっている、それよりも本命が来たぞ」


シャシャシャシャシャシャシャシャ


ブブブブブブブブブブブブブブブブブブ


何かが這いずる音と煩わしい羽音が大量に聞こえてくる。


「『母体』だと思うか?」

「……違うだろう、どう見ても同じ個体だ」


だが明らかにそこら辺の魔蟲より強そうだ。




「どっちをやりたい?」

「……では百足を譲ってやろう、蜂はお前たちでは手古摺るだろうしな」


すると頭に来たのかこちらに詰め寄ってくる。


「ほぅ、それは俺では蜂に勝てんと?」

「……違うのか?」


するとレオンの額に青筋が浮かび上がる。


「っち、いいだろう。だが泣き言言っても助けねぇからな」

「……お前に助けてもらったことなんてあったか?」

「よっしゃ、じゃあ勝負!!」


ガァアアアアアアアアア


レオンは完全に炎を纏った獅子になり百足に突っ込んでいく。


「……はぁ~」


ため息をつきながら蜂に向かって毒息を吐きかける。


(いやな天気だな)


見えうる限りの空は暗く、まるで不幸を運んでいるようだった。











「すごい」

「ああ」


俺達はレオンさんとティタさんの戦いを目の当たりにしている。


ガァアアアア!


ザシュ!


レオンさんが爪を振るえば、爪の熱で甲羅ごと真っ二つにしていて、レオンさんの前では甲羅に意味が無いことはわかる。


「ティタなんかが、なんでこんなに…」


友の一言で見てみるとティタが蜂に向かって霧を吐き出していた。


蜂が霧に触れるとすぐさま動きが鈍くなり、死に至る。


もちろん、それを見た後続は霧が晴れるのを待つのだが、ティタがそんなことを許すことをなく。


シャア!!


毒霧から飛ぶ出すと最も大きい個体に飛ぶ掛かる。


「しかし、でかくねぇか」

「お前知らないのか?ティタの獣はあれでも小さい方だぞ?」

「は!?今でもあの大百足ほどあるんだぞ!?」


俺もティタの本気の姿を見た時は驚いた。


正直なところ、体の大きさだけでいえばエルプスさんですら巻き付けるまでに大きくなれる。


そしてティタのその体にはもう一つ秘密がある。


「お~い、あっちに『母体』が現れたぞ!!!!」


するとすぐさまレオン様とティタが戻ってくる。


「どこにだ!」

「こ、こちらと反対側の部分にそれもかなりの数を率いて出す」

「ティタ!!」

「……わかっている」


ティタがレオンと言葉を交わすと魔蟲の中をすり抜けていく。












「ティタ!!」


そう叫ばなくてもわかっている。


すぐさま魔蟲の間をすり抜けて最短で『母体』を目指す。


これはレオンに難しい、なにせ俺はある程度の隙間さえられば通り抜けられるがレオンはそれができないからだ、だから。


シャシャ


魔蟲が肉壁を作るのだが、一体にかみつき先程と同じ要領で毒を注入、数秒後にはどんどん力が入らなくなり隙間が簡単に出来上がる。


「……あれか」


ある程度進むと大きな魔蟲の集団が見える。


その中に卵を背中に嵌め込むようにしている個体がいる。それも周囲よりも突出して大きい個体がだ。


(……やっぱり多いな)


予想はしていたが、壁が厚すぎる。


(普通ならあきらめる場面だが、問題ない)


まずは一度『獣化』の段階を下げて人型に戻り、体表にとある液体を分泌する。


(やはり、この力は使いやすい)





ティタの『獣化』の元は竜絞毒蛇という種族だ。この蛇は竜を締め付け殺すほどの大きさを持っている。竜絞毒蛇は毒も使えるのだが、毒は牙からはもちろん鱗の隙間に分泌腺という物が存在し、体表に毒物を塗りたくることも可能だ。


なので締め付けると同時に触れるだけ効力のある毒を分泌すれば、それだけで致命傷になりかねないのがこの種族だ。


そしてそこにティタのとある力が備われば―――






「毒生成『隠行液』」


『隠行液』は『吸音』『色彩変化』『温度偽証』『消臭』の効果があり、察知されにくくなる。


それを『獣化』で再現した分泌腺から体を包むように塗りたくる。


こうするだけで音もほぼ聞こえないし、自身の色も周囲の風景に溶け込んで見えにくくなり、温度による探知も周囲の空気と同化しているため意味が無い、匂いなんてもってのほかだ。


だが当然弱点もある。


(一撃で何とかしないとな)


隠れることはできてもそれは完璧にこなせるわけではない、当然触れれば気づかれるし、枝でも踏めば音が鳴る。


(………この位置か)


一撃入れることができ、即座に離脱できる場所を探る。


なにせ『母体』への攻撃を配下の奴らが見逃すわけがない、見つかったら囲まれて袋叩きになるのは確実。


となると一撃で確実に『母体』に効果を与えなければいけない。


(となると……あの毒が一番か)


体内で毒を生成し、より純度を高めていく。


そして準備が整うと


「ふぅ~~ふ!!!」


全力で魔蟲の間を走り抜けて『母体』の元にたどり着く。


??????


風の揺らぎや踏みつけた枝の音で違和感を感じている個体がいるが、見つけられてない。


『母体』に最も近しい個体を超えると『母体』の甲殻の上に飛び乗る。


(さすがに足だと時間がかかりすぎる、できれば頭、無理なら中心部を)


毒を使うにしてもより効果がある場所に埋め込まなければ、毒の周りが遅すぎて下手すれば無害化されてしまう恐れがある。


キシュ!!シュシュシュ!!!!


すると甲殻の一部が動き出す。


(……甲殻の一部に化けて居やがったか)


音、匂い、温度、色を変えられたとしてもさすがに振動はなくすことはできない、おそらくそれで感知されたのだろう。


(もう少しで頭部なのにな、仕方ないか)


頭部からは離れているが半分よりも上の部分に来ているんだ、よほど弱い毒じゃない限りは問題ないと判断する。


「『魔滅毒』」


牙を甲殻に突き入れるといつも通り酸で溶かし穴をあけ、体内に毒を注入する。


ビキッビキビキビキビキビキビキ


毒を注入した瞬間、亀裂が広がっていく。


ギャシャアアアアアアアアアアアアアア!!!


その痛みを受けて『母体』は暴れ狂う。


(当然だな)


俺が生成した『魔滅毒』は体内に侵入すると、魔力と反応して超高温となり爆発を起こす。ただ最も脅威なのは毒に触れた細胞自体が毒そのものになることだ。爆発した細胞自体からもこの『魔滅毒』が分泌され、連鎖して爆発を引き起こしていく。それゆえに抗体を持ちえない限りは一撃必殺の毒と言っていい。


グラグラグラグラ。


(離れないとまずいか)


再び蛇に変身すると急いで『母体』から離れる。


(俺の方は終了した、が)


地面に降り立つと再び『隠行液』を散布し元来た道を戻る。


「……いやな天気だ」


空は見渡す限りの雷雲で覆われており、この先の不吉さを暗示しているように見える。


「おい!!ティタ!!」


すると前方からレオンが向かってきているのが見える。


「……レオンか、遅かったな」

「うるせぇ、それで『母体』は!」

「……見ての通りだ」


ズゥウン!


離れた位置でも見える『母体』がちょうど倒れていく。


その余波で突風が巻き起こったほどだ。


「まぁ、お前が言ったからそうなるよな」

「……ああ、それより、まさかお前だけが来たわけではないな?」

「いや、俺だけだぜ、お前ばかりにいいかっこさせられるか!!」


思わずため息を吐き出す。


(普通に考えて、レオン(軍団長)を前に出すなよ)


長い溜息を吐いていると周囲に魔蟲の気配を感じる。


「まぁいい、ここでひと暴れしてから戻るぞ」

「……勝手に入ってきたのはお前じゃないか」


いくら俺たちでも長くこの場所にいるのは危険だ、ある程度露払いをしたら交代するのが最善だ。



ピシャーーーー!!!!!!!!!


戦い始めようとすると雷雲は稲光を発する。


ゾワ


「「!?」」


俺もレオンも全力で【獣化】する。


「なんなんだ今の!!」

「……『王』よりも強いよな?」


『王』が現れた時の圧とはケタがいくつか違う。


ギシャーーーー!!


魔蟲達も何かを感じたのか、一斉に逃げていく。


「……あれはなんだ?」


空を見上げると雲の切れ目に光り輝く蛇の体が見え隠れしている。


「あれ、バアルの力だと思うか?」

「……さぁ、だがあそこにいるのは、限られるぞ」

「だよな~……まぁ俺たちはできることをするか」


レオンはそのままみんなも元に走っていった。


だが俺はすぐには動かず、さっき見えた空を見る。


(エナ、お前はあの小僧から何を感じ取ったんだ…………)


もしあれがバアルの力なら戦慄を覚える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ