ヘイト管理はとても重要である
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「―――覚えたな?」
「もちろんだ」
「よし!!」
そう言うとファルコはすぐさま上昇していく。
「………いた!!」
すぐさま滑空していくと大きな鷲のすぐ上を飛ぶ。
「じゃあ頼む!」
「ああ!存分にバカにしてやるさ!!」
そう言うと再びファルコは大岩窟殺戮百足に向かって飛び始める。
「おい、バアル」
「ん?エナまで一緒か」
「何をしようとしている説明しろ」
「私もお願いしたいな」
足元から声が聞こえてくる。
「もちろんだ、そのためにここに来たからな」
俺がわざわざハーストの上に乗ったのは時間稼ぎが必要なこと、ファルコが考えた作戦を教えることだった。
そしてその作戦だが。
「ファルコはヨク氏族の戦士持ち回りでの時間稼ぎを提案してきた」
ファルコの考えた作戦を簡潔に言えばこうだ。
速さに自信がある者達が自身の魔力が尽きかけるまで大岩窟殺戮百足の翻弄を行う。そして次に担当する者が引き継ぎ、また再び翻弄、時間稼ぎを行う。
その後は余力のある者だけで交代していくという物だ。
「今のところファルコが引きつけている、その間に順序を決めてくれ」
「なるほどな、だがどうする、今『鳥化』している我らの背にはエナのところの奴らが乗っているぞ」
「あ~なるほど………一つ聞くが二人乗っけることはできるのか?」
「体の大きいな者であれば、な。私なら三人は余裕で乗っけられる。もちろん速度は期待するなよ」
となれば。
「エナ、ハーストと相談して伝令役をしろ」
そう言うと無線機を渡す。
「私が指揮をすると」
「ああ、ハーストからの指示をお前が無線機で部下に伝えてやるんだ」
そうすればわざわざ集まったりする必要もない。
「そろそろファルコがばて始める頃だな」
大岩窟殺戮百足の攻撃を何度も避けているファルコなのだが、疲れが出て来たのか大雑把な動きになってきた。
「では次は私が担当するとしよう」
「ハーストがか?」
言っちゃ悪いがファルコの3倍はある体躯だ、とてもスピードが出るとは思えない。
「エナ、左斜め前にいる二人を呼んでくれ」
「わかった、C2、B5、の二人、ハーストの元に来るように伝えてくれ」
エナは渡した無線を通して二人に来るように告げる。
そしてその二組が近づいてくると
「飛び乗れ」
「は?」
ガシッ
「あらよっと」
エナは俺を抱えながら横の鳥に飛び乗る。
「いや、ハースト、お前が言わないとほかのやつらが」
「問題ない、奴を仕留めるためなら協力するさ」
そう言い残すとハーストはファルコの元に飛んでいく。
「それじゃあ説明するぞ」
そう言うとエナは無線機を通して部隊の全員に指示を与える。
「はぁはぁはぁ」
グヴァ!!
素早く進路を切り返しデカブツの牙を交わす。
(そろそろのはずだ)
バアルが無事に伝えてくれているならそろそろ後退が来るはず。
「ファルコ」
頭上から声が聞こえる。
「ハーストさん!!」
「時間稼ぎご苦労、何とか後退するんだ」
「わかっていますよ、ただこいつがそれを見逃してくれると思いますか?」
今も執念深く追っている。
「なに、そしてらこうするまで」
するとハーストさんはわざと速度を緩めて大岩窟殺戮百足の口前まで移動する。
「な!?」
グワッ!
大岩窟殺戮百足が首を伸ばしハーストさんを飲み込もうとしているのだ、驚くなというのが無理な話だ。
だが
クルッ
ガチン!!
顎がしまる前に翻し、そのまま頭に沿うような形で後ろに行く。
もちろん置き土産も残して。
キシャアアアアアアアアア!!!
『王』は荒れ狂う。理由は頭部にできた新しい傷、その位置は残った3つの眼球の一つだった。
「すごいな…………」
俺はまだあのような動きはできない。
ハーストさんの動きはとても繊細で通常ではできない動きを可能にする、それこそほんの数センチずれただけでも風の影響で真っ逆さまに落下していくぐらいに。
「ふぅ~でもこれで何とか一息つける」
視界に入りづらい場所に位置取り、体力回復にはかる。
「では頼みますハーストさん」
いつでも援護に入れる位置で回復できる速度で飛ぶ。
「次B1が『王』を担当する、後退にもたもたするなよ。C3すぐ真下の奴らを近くの部隊に合流させろ。D9、邪魔な蜂が数匹、A10の元に向かっている近くにいるD5F7E12を率いて邪魔しろ。ほかにも手の空いている奴らは蜂を駆除しろ、特に『王』の相手をしない奴らは強制的にだ!!」
ヨク氏族の背の上で戦況を見ながら的確に指示を下す。
(すげぇなあの距離を見えているのか……)
普通に考えて上空から森の間にいる奴らを見定めて的確な指示を出している。
(それもすべて的確にだ)
もちろん犠牲を一切出さないと言っているわけではない、あくまでその場では最低限の損失で済ませているという意味だ。
「それにしても雲行きがワリィな、くそ!」
エナがこう吠えるのにはもちろん訳がある、日の光が少なくなればその分影が落ちる、影が落ちれば見落とす確率が高まるからこその言い分だ。
「F4、交代だ!」
すると一羽の鳥が『王』に向かって飛んでいく。
「っち学習してきているな」
後退しようとしている一人が何とか『王』を振り切ろうとしているが、『王』もどういった飛び方をするか学習しているせいか振り切りにくくなっている。
そして
バクン!!
「っ、すまない」
先程まで担当していたヨク氏族の戦士が喰われた。
(まだかイピリア?)
『もう少しじゃな、今の程度だと深い傷をつけて終了じゃろう』
ということで仕留める時間はもう少しかかる。
「時間的にはあと数人というところなんだが……」
先程喰われた戦士で7人目。一人大体3分と考えて21分が経った。あと三人もすれば殺す手はずは整う。
のだが
キシュシュ、シューー!!!!!!!!!!!!!!!
突然、『王』は鳥を追うのをやめてレオンの方角へ動き始めた。
「あ~まぁ、そうだよな」
ただ時間だけが取られていくのに気づいたらそりゃあ無視するわな、しかも目とかを除けば何されても無傷だし。
「で、どうする?」
エナは一度支持を止めてこちらを見る。
「大丈夫、無視するなら、できないようにしてやればいいだけだ」
「だからどうする?」
「こうするだけだ、『飛雷身』」
『王』が無視できるのはヨク氏族の攻撃に有効手段がないからだ。
ならその攻撃の部分を俺が担えばいいだけ。
ット
「っ誰だ!?」
「すまんが少し背中借りる」
俺が飛んだ先は今翻弄している鳥人の背にだ。
「おい!」
「このままじゃ地上の奴らが混乱する。そのための引きつけ役だが、奴はもうこっちに見向きもしないだろ?」
そう言うと何も言えなくなる鳥人。
「だからお前は指示通りに飛べ、そうすれば奴を引きつけられる」
「………了解だ」
「押し、それじゃあ、こう動いてくれ」
『念話』で一つの指示を出す。
「また複雑だな」
「それでも飛んでもらわないと囮になるのは無理だ」
「わかっているよ、つかまっていろ!!」
そう言うとファルコほどではないがかなりの速さで飛ぶ。
(よし、指示通りだな)
ヨク氏族は体に纏わるように飛び、頭部へと向かう。
「『怒リノ鉄槌』」
何とか背の上に立ちながらバベルを取り出す。その後は技を発動させ、そして
ギィ、ギィィィィィイイイイ!!!
ジュ、ジュウゥゥゥゥウウウ!!!
硬い物を引きずるような音と蒸発するような音が聞こえてくる。
「っと!?」
「ぐっ!?ばかやろぉおおお!!飛ぶ態勢が崩れるだろう!!!!!!」
何をやっているのか、それはとても簡単だ、体のスレスレで『怒リノ鉄槌』を押し付けながら飛んでいるだけ。
となるとどうなるのか?
「うわぁ~ミミズ腫れ、いや、この場合はミミズ凹みとでも言うべきか?」
飛び始めたところから頭部にかけて一本の傷跡が残る。
「さて、痛覚はどうなっているのかな」
『王』の様子を確認してみると。
キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
一目でわかる、激怒だ。
「じゃあ、あとは頼むぜ『飛雷身』」
「っておい!!」
再びエナがいる背中に飛ぶ。
「なるほどな」
「……大丈夫なのか」
「ああ、問題ないようだ」
オレの眼にはバアルが何をしたのかがはっきりと見えた。
「それよりもティタ、お前の出番だ」
今のところ『王』の死の匂いはバアルのおかげでだいぶ薄れてきている、こうなると問題は……
「レオンのところに行って援護をしてやってくれ、おそらくお前がいないとかなりの痛手を受ける」
少し前からレオン達に若干だが死の匂いを放つものが現れた、そしてその匂いはティタが相殺できていた。
「……了解だ、本気で暴れてもいいんだな?」
「ああ、お前の実力を存分に生かせ」
「……ああ、だがエナ」
「なんだ?」
「……なんでもない呼んだだけだ」
そう言うとティタはヨク氏族に頼んでレオンの元に運んでもらう。
「たっく…………なんで言い切らないんだか」
レオンの元に行くティタを見届けていると一瞬の閃光が後ろに発生する。
「よう、もどったぞ」
「おう」
これで当初の状態に戻った。
あとは既定の時間になるまでだ。




