倒せる方法ってあるんかい
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「B11、少し進行方向からずれている部隊がいるから、修正させろ。A8、隣のA6のところが少し薄めだ、少し部隊を割いてそっちに合流。D1目の前の敵の数が多いいが大丈夫か?F2、進行速度が少し遅いが、何かあったのか?怪我人なら後ろに下げろ。E4、その班は迂回するように――――――」
俺はヨク氏族に協力してもらい、空から指示を出している。
「しかし、かなり変わってきたな?」
「……ああ、ここまでとはな」
隣で一緒に運ばれているエナとティタが眼前での戦闘を見ている。
俺達は準備を済ませるとすぐさまレオンの元に行き、急遽、周囲にいる獣人を組ませて即席の班にした。
あとはレオンの指示ということにしてもらい全指揮権をもらって、空から戦況見ながら逐一指示を与えている。
「A4、無理に突撃している班がいる、ある程度満足したら下げさせろ」
そして指示の際に使っているのがエナの部隊だ、それぞれに番号を振るとヨク氏族の戦士と組ませてそれぞれの戦場に散ってもらう。あとは無線機で逐一支持を送り、戦略を使用していくのみだ。
「C1、後退の指示を出せ、そして50秒数えたら周囲にいるC3、4の部隊が包囲を掛けて殲滅しろ
」
『『『了解』』』
エナの部隊は優秀でタイミングがずれることなく相手を誘引、包囲、撃滅が行われる。
(にしても守りに入っているだけあって硬いな)
空から俯瞰するに二体の『母体』を中心に円を囲むよう陣形が張られている。
(無意識か、故意なのかは知らんが陣を敷いたぐらいじゃ意味ねぇぞ)
その後も周りを削り取るように作戦を立てて着実に戦力を削いでいっている。
『きゅんきゅです!魔蟲に動きあり』
緊急と言おうとして噛んでいるほど焦っている。
(あれか……魔蟲の種類が変わっているな)
今までは剛殻大百足と労働蜂、指揮蜂だけだったのだが、ほかにも数種類の蟲が出てきた。
(蜻蛉も蠍もいやがるが、何よりはあいつらだよな)
より攻撃的なフォルムとしている百足と蜂だ。
(しかしなんでこのタイミングだ?そこまで削れたわけじゃないだろうに)
今までで削れた戦力は薄皮一枚という程度、なのに隠していた戦力をなぜか出している。
「さて、エナどう思う?」
「…………変だ」
意見を求めたのだがエナの様子が少しおかしい。
「エナ、エナ、おい!!」
「!?あ、ああ、なんだ?」
「……どうした?何か気がかりなのか」
「おかしい、死の匂いが消えない」
消えない?普通は死の匂いに似ている生の匂いの者を近づけると消えるって聞いたんだが?それも嘘をついている様子はなかった。
「どういうことだよ?こりゃ」
エナも本気で困惑している様だ。
(しかし、死の匂いか……それが本当ならレオンは窮地に陥りそうなものだが……)
空から見るにレオンの部隊は一番突出しており、絶好調と言えるくらいだ。
「その匂いの出どころとかはわからないのか?」
「仮に誰かによって死ぬなら、殺す奴から匂いは漂うんだがな…」
つまり、今はそんな存在がいないとのこと。
だが、少しおかしい。
(ということはあそこにいる魔蟲共は脅威ではないということになる。仮に死の匂いがあるとしたらあそこしかないはず、もしあるとしたら今姿を見せていない『王』、!?)
ズドン!!!
最低の事態を考えつくと同時に背後で何かが砕けるような音がした。
音の正体を確かめてみると獣人の軍を挟んだ反対側に飛んでいる俺達すら見下ろすほどの巨躯をもった百足が出てきていた。
それとこのタイミングで出てきた理由は一つだ。
「蟲のくせに挟み撃ちかよ!!!」
証拠にこの『王』が出てきた穴からは強そうな魔蟲が続々と出てきている。
(エナが少し少ない気がすると言っていたが、あれは気のせいじゃなかったということか)
まずは少しだけ勢力を削った『母体』の群れをあらかじめ守りの耐性で待機させる。その後それに向かってくる獣人に弱く数だけは豊富な魔蟲をぶつけて少しでも疲弊させる。最後に『王』が背後に陣取ると、『王』作った道を手下が移動、それと同時に『母体』も主力を前面に出し、前後から挟み撃ちを行うというところだろう。
(しかし、どうするよ、これ)
戦術的な意味合いだと敗北が濃厚だ。あとはどれだけレオンたちが粘れるかということだ。
「エナ、あれがレオンたちの匂いの元凶か?」
「そのようだな、しかもレオン達だけじゃない、オレもティタもハースト達も死の匂いがしている」
「なるほど、じゃあ撤退だ、今すぐ逃げる準備を」
「するな」
無線機を入れようとするとエナが止める。
「なんでだよ、もうこの状況じゃ勝ち目はほとんどないようなものだぞ」
現に『王』の足元から出てきた魔蟲に背後を突かれて崩れていく戦線が見える。
「ああ、だがな、逆にあいつに死の匂いを充てる存在がいるんだよ」
「……どこにだよ?」
アレを相手にできる奴なんて知っている限りの人選でも皆無だ。
「もちろん、お前だ」
エナは当然のように指差し、そう告げるが見当違いも甚だしい。
「馬鹿か、俺がアレを相手にだと?無理に決まっている!!」
ユニークスキルの『天雷』『雷霆槍』『飛雷身』『放電』『真龍化』のどれを使っても攻撃が通る気がしない。
バベルも『神罰』はかろうじて討伐できそうだが、あれは時間を置かなければ発動できない。『怒リノ鉄槌』で攻撃できそうな気もするが、あまりにも小さすぎる、蟻の攻撃を象が受けて死に至るかという話だ。『慈悲ノ聖光』はそもそも攻撃手段ではないし、『聖ナル炎雷』も意味はないだろう。
さて、俺がどうやってあの怪物を倒せるのかというのか…………
(エナのユニークスキルが壊れてないと考えて、俺が『王』を倒せる可能性があると……持ちうる限りでありえそうなのが『飛雷身』と『怒リノ鉄槌』でちまちまとけず「馬鹿!!!避けろ!!!」)
どうやって殺すか考えていると『王』が動き出す。
それも目を離していないのにもうすぐ目の前まで接近してきている。
(速っ!?『飛雷身』!!)
何とか視界の隅に空間があり、何もない空中に回避する。
「……わりぃな」
先程までいた位置には羽が舞っている。
その羽の主は先程まで俺を掴んで飛んでいた奴のだ。
心の中で謝罪し、すぐさまモノクルを取り出す。
――――――――――
Name:
Race:大岩窟殺戮百足
Lv:437
状態:群体
HP:26427/26427
MP:21587/21587
STR:602
VIT:770
DEX:197
AGI:246
INT:270
《スキル》
【鏖毒蟲牙:37】【岩砕剛顎:241】【金剛削鱗:241】【頑強岩鎧:319】【王威圧:291】【身体強化Ⅲ:457】【駿蛇行:249】【暗視:276】【溶岩遊泳:19】【地盤潜り:242】【振動感知:348】【物理耐性:175】【火炎耐性:97】【暴風耐性:37】【雷耐性:28】
《種族スキル》
【軍共鳴】
【強化脱皮】
【蟲王】
【地盤崩し】
《ユニークスキル》
――――――――――
「うわぁ~~~見なければよかった」
山巻大毒蛇なみのステータス値を持っている。
(さすがにユニークスキルは持ってはいないが………………バリっバリの防御タイプだな)
スキル構成から見れば小細工をするんじゃなく真正面からぶつかり合うタイプだろう、あの重量であの速さで衝突したらどうなるか。
「っと、『飛雷身』」
自然落下で地面に激突しそうになるので一度地面に降り立つ。
「さて、どうすっか」
エナにはアレに対処できるとお墨付きをもらっているがどう考えても手に負えない存在だ。
「イピリア、俺がアレをどうにかできると思うか?」
『いや、普通に考えたら無理じゃろ』
「だよな~」
はるかに長生きしているイピリアに聞いてもこのような答えが返ってくる。
『まぁ条件さえ合えば行けなくもないが』
「そうそう条件さえ合えば………えっいけるの?」
驚いてイピリアを見るとイピリアは笑い出す。
『はっはっはっ!!!あの方の力を取り戻したお主ならな。まぁ今の状況では、な』
そう言ってイピリアは空を見る。
「じゃあ、どうしようもないな」
今いる位置を考えて北東の方向く。
(まぁ恨むなら自分たちを恨んでくれや)
『飛雷身』で帰ろうとするのだが
『そうでもないぞ』
イピリアの一言で動きを止める。
「イピリア?」
『嘘じゃないぞ、少し時間はかかるが確実に奴を葬れるぞ』
「………その方法を聞こうじゃないか」
イピリアは自慢するようにあの怪物を殺す方法を話す。




