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轟雷結晶

「慣れると殺風景な場所だな」


中心に大きな結晶の棺が存在しているだけで、あとは乱雑に黄色い結晶が映えているだけだ。


『まぁ入り口はリュクディゼムがふさいでおるし、ここに来る人物もいないからのう』


その時なぜそう思ったのかわからないが、『亜空庫』からとあるものを取り出す。


『それは?』

「まぁ墓だからな、これが合うだろう」


俺が取り出したのは『天獣の祠』だ。


『ふむ、この卵は魂が入ってないな』

「ああ、だから完全な飾りなんだよ」

『まぁいいだろう』


社として置いて行こうとするのだが。


「イピリア、この結晶はどかせられないのか?」


程よいスペースを確保したいのだが結晶が邪魔だ。


『それなら簡単じゃよ、最初に強い電撃を浴びせれば少しの間衝撃を受けても雷撃を放たなくなるぞ』

「了解だ、『天雷』」


いつも通り『天雷』を放つと結晶が鈍くなっていく。


『ほら今のうちじゃ』

「わかっているよ」


バベルを取り出し次々に結晶を解体していく。


「何かに使えるか?」


衝撃を加えると雷撃を放つ結晶それの使い道を探す。


(衝撃を加えると結晶の大きさ分の雷撃を放つ…………大きさと放たれる電力を計算しつくして使う?仮に使えたとしても単発的な何かだ。さらに雷という点もいただけない、これが火や水、風、土だったら使い道がある程度は存在するんだが、雷だからな……となるとやっぱ使い道としては緊急時の電力、もしくは―――)


『まぁ使い道は攻撃手段しかないのぅ』

「……だよな」


永続性を持つ、もしくは長期的に使用可能なら本格的に使い道はあるんだが、これが一回こっきりだとするならば使い道は数個しかない。


「罠が妥当か」

『じゃな、お主ならほかの使い道もあるが、お主がいないとなるとほとんど使い道はない』

「まぁその通りだな」


その後はひたすら『天雷』で反応を鈍らせて結晶を壊してスペースを除去する。


「にしても結構な量になったな」


収まりが良いようになるまで掘ると軽自動車ほどの大きさまで掘る羽目になった。


「なぁこれは『亜空庫』にしまっても問題ないか?」

『ああ、亜空庫なら衝撃はまずないからな、入れておけば問題ない、取り出すときに注意は必要だがな』


散らばった『轟雷結晶』を次々に『亜空庫』に入れていく。


「にしてもこれはでかいな」


唯一大きめに採掘できた結晶は一辺2メートルほどの大きさだった。


『これを街中で暴発させん方がいいぞ、下手すればすべてが灰になるぞ』

「これでか?」

『お主は分かっておらんようじゃな、ここにある『轟雷結晶』は本当の天龍の雷じゃ、お主だから今ここに入れているわけであって、ほかの者じゃあ、入る時点で感電死するわい』

「それが実感できないんだよ」

『なら、ほれ、『亜空庫』から串でも肉でも取り出してみろ』


というので『亜空庫』に保存している串肉を取り出す。


バチバチバチバチ、ボッ


『亜空庫』から取り出した瞬間、帯電して焦げ始めると、串の部分から発火してしまう。


「熱っ!?………たしかに」


ただ串肉を取り出しただけでこうなるんだ、普通にこの場所に来ようと思ってもこれないだろう。


「とりあえず『亜空庫』に入れておくか」


一番大きな『轟雷結晶』をしまうと『天獣の祠』を設置する。


「うん、雰囲気に合っているし、いいんじゃないか」


大人並みに大きな祠だ十分その存在感は出ている。


『それじゃあ、戻るかの』

「だな」


洞窟の入り口から再び地上を目指す。









樹の洞の部分にまで戻ってくれば、従来通り魔力を消費する。


(まぁ減ってるけども、その分得た魔力がな)


道中にモノクルを取り出し、自分を鑑定してみる。


――――――――――

Name:バアル・セラ・ゼブルス

Race:ヒューマン

Lv:56

状態:『命蝕毒:5日』

HP:910/910

MP:35967/5767+200(装備分)


STR:109

VIT:104

DEX:124

AGI:156

INT:194


《スキル》

【斧槍術:67】【水魔法:4】【風魔法:7】【雷魔法:61】【精霊魔法・雷:48】【時空魔法:22】【身体強化Ⅱ:42】【謀略:46】【思考加速:31】【魔道具製作:42】【薬学:2】【医術:10】【水泳:4】

《種族スキル》

《ユニークスキル》

【轟雷ノ天龍】

――――――――――


魔蟲との戦闘でレベルが上がっているのはもちろんだが、最も注目するのは魔力の部分だ。


(ここまで増えるってことはそう言うことだよな)


イピリアに伝えられた特性は正解だったというわけだ。


『おい、リュクディゼム、戻ったぞ』


イピリアの声で蓋をするようになっていた枝が動き出口になる。






『どうだったかい?』

『問題ないぞ、鱗を渡したからな』

『それはよかった』


洞を出ると近くの岩に腰掛け、イピリアとリュクディゼムの念話が始まる。


「リュクディゼム殿?一つお願いがある」

『ん?なんだい?』

「あなたの実をいくつか渡してほしいのです」


するとイピリアが驚く。


『おいおい、言ったではないか、こやつの実を食ってもお主にはデメリットしか』

「いや、俺が食うわけじゃない」

『どういうつもりだ?』


イピリアは鱗を渡すことを考えていたから気づいていないみたいだが、俺の本来の目的はヨク氏族に友として認めてもらうことだ。


そしてその際に必要なのが、ヨク氏族の皆の前でその実を食すことにある。


「だから、その実はすでに食ったという風にするべきだな」

『どういうことじゃ?』


手順はこういうことになる。


まず俺は無事に実を入手することができた、だが途中で何かに襲われてしまい、力を手に入れるべく実を食して何とか撃退した。


撃退した後は再び実を複数手に入れることに成功、それを証拠にするために戻ったということにしたい。


「そうすれば、とりあえずは実を食ったことにはできる」

『なるほどのぅ、じゃがもう一つ皆の前で食えと言われたらどうする?』

「そこは何とかするさ、それにユニークスキルで帯電すれば信じてはもらえるはずだろう」


駄目だとしても手はある。


「じゃあ、リュクディゼム殿お世話になりました」

『ええ、それじゃあね、もしなんだったらいつでも頼ってきなさい、バアル君ならいつでも歓迎だから』

「その時はお世話になります、ではいずれまた『飛雷身』」


こうして下山することになった。













「おそ~い~~」

「いや、早い方だろう」


別れた場所に戻ってきたのだが、時間としては2時間も経ってないはずだ。


なのに文句を言われるとはこれいかに。


「それで例の実は?」

「それがな―――」


事前に準備していた案を使う。


「それはよかった」

「よかった?」


なぜだかハーストは安心する。


「その実は二つ食うと体は雷に焼かれる、だから一つしか食べてはいけない」

(ありゃ、じゃあ言い訳とかも必要なかったか)


一応は何通りかは考えていたのだが手間が省けた。


「ちなみにこれはできるか?」


そう言うとハーストは帯電し始める。


「ああ、できるよ(その実の力じゃないけどな)」


ユニークスキルを発動させて帯電する。


「おお、なら問題ないな」

「ああ、それと、証明になればといくつか持ってきたんだが」


ハーストに渡そうとするのだが受け取らない。


「それはお前がとってきた獲物だ、俺たちが受け取る資格はない」

「そうだ、これはお前の戦果でもある」

「そうか?」

(ふつうは自分の領地で採ったものは地主が管理するべきなんだがな、まぁ、いただいておくよ)


使い道考え始める。


「じゃあ、かえろかえろ~」

「そうだな、すぐさま長老に許可を取って戦士達を動かさないとな」


二人の目的は少し違う気もするが結局は同じなのでさっさと帰ることにする。










それからはとんとん拍子で話が進んでいく。


まずヨク氏族に戻るとすぐさま長老のところに向かい、帯電して見せて実を食ったと説明する。その後はハーストが里の半分の戦士、500人を纏めてレオンの元に合流することになった。

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