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天龍の墓

※この度再投稿することにいたしました。もしこの作品のブックマーク、評価してくださっている皆様はもしよろしければ再投稿先でもお願いいたします。


変更点などはあらすじに記載しておりますので、参照ください。


再投稿先はこちらのURLとなります。

https://ncode.syosetu.com/n5978gw/

樹の洞は広く、ある程度進むと地下に進む洞窟があった。


「まさか、ここか?」

『そうじゃ、この先にあの方がいる、それと』

「明るいな」


壁には薄く黄色に輝く結晶がいたるところにあり、道灯りとなっている。


『まぁな、ここは魔力が豊富にあるからのぅ』


イピリアは顕現している。その際に俺の魔力を消費してないのでここはそれほどまでに魔力が濃い場所なのだろう。


(なんだろう、心地いい……のか?)


自然と体が暖かくなるのがわかった。


(それにそこまで魔力が減ってない?なぜだ?)


本来なら既に600MPほど削れているはずなのだが、いまはせいぜいが100MPほどだ。


『不思議か?』

「まぁな」


洞窟を進みながらイピリアが隣に来る。


『ふっふ、お主はその力をただの強化にしか使っていないからのぅ、わからんのも無理はないわい』

「ソウデスネ………じゃあ『真龍化』にはどんな力が備わっているんだよ?」

『それはのぅ、っと着いたようじゃな』


答えをさぁ聞こうというタイミングで洞窟の奥から強い黄金色の光が漏れ出ているのが見えた。










細い洞窟が終わると地下なのに明るい場所に出た。


「こんな空間があるのか……」

『まぁの』


細い道を通った後に出た空間はなかなかに幻想的な場所、一言で表すなら『琥珀の世界』だ


壁一面に琥珀色の結晶が張り付いており、淡い光を反射している。地面はまるで夕焼け時の湖の上に立っているように錯覚させてくれる。


もちろんただ平坦な地面ではない、クリスタル洞窟のように様々な大きさの結晶ができている。柱のようなものから、珊瑚のように生えているもの、果ては研磨済みのようにきれいな形のものまで。


もっとも大きい結晶は家ほどの大きさだ、まるで何かを覆い隠しているように。


『『真龍化』した状態なら問題ないが、それ以外の状態で『轟雷結晶』に触れるでないぞ』

「………了解だ」


とは言うが何があるか少々興味があるので、足元にある小さい石ころを結晶にぶつけてみる。


カチッ、ドン!!


小さい石がぶつかっただけなのにぶつかった場所から数メートルはある雷撃が小石を飲み込む。


「おいおい」


たったこぶし大の結晶なのにあれだけの雷を放出するのかよ。


『まぁ妥当じゃな、というか存在感でわからんか?』

「知らんがな、まず存在力ってなんだよ」


強者だけがわかる、感覚を求めるな。


「それで話の続きだが、『真龍化』にはどんな力が備わっているんだ?」

『それは論よりも証拠だな、中央に行くぞ』


イピリアは話そうとせずに中央にある最も大きい結晶に近づく。


『ほれ、そこじゃ』


イピリアが指さす場所には罅があり、人ひとり分は通れそうだ。


「これ、絶対触ることになるぞ」


なにせこの結晶は先程と同じものだ、もし仮にリュクディゼムと同じ雷なら触った時点でアウトのはずだ。


『その状態なら何も問題ない、ほれ通ってみろ』

「しかしな」

『はぁ~、ほい』


トン


イピリアに背中を押される。


「ちょっおいばか!!!」


予期していない衝撃に備えているわけもなく耐性を崩し、巨大な結晶に向かって倒れていく。


トン、ドン!!!


結晶に触れた瞬間視界が真っ白に染まる。


のだが


「っっっっっ…………あれ?」


眼は見えないが痛みなどは一切感じなかった。


しばらくすると視界が戻ってくる。


『どうじゃった?』

「…」


今ならイピリアを殴れるよな?


『おいおい、待て待てひとまず説明してやるから』


ということでイピリアはなぜこんなことをしたのか話してくれる。


『お主が無事な理由じゃがな――――』









「なるほどな」


『真龍化』にそんな特性があるとは知らなかった。そして同時にこの事態に納得した。


『まぁそんなことはどうでもいいんじゃ、儂の目的はこっちじゃよ』


イピリアは罅の中に入っていく。


今度は恐れることなく罅の中に進む。


「しかし、この場所は何なんだ?」


あの部屋の形は自然に出来上がったとは思えない。


『墓じゃよ、墓』

「墓?誰の?」

『お主も関連が深い存在のじゃ』


するとやがて結晶の壁を過ぎる。


そしてその中心にいたのは


「………蛇、いや龍か?」


体長二メートルほどの想像よりもかなり小さい龍がとぐろを巻いていた。


『その通り、あの方は天龍じゃよ』

「天……龍……」

『そうじゃ、お主のユニークスキルの元じゃよ』


イピリアと天龍の間で視線が右往左往する。


「イピリア、説明しろ」

『何から聞きたい?』


イピリアに問われて頭の中で何とか情報を整理する。


「ふぅ~~、まず一つ目、何で俺をここに連れてきた?」

『お主のあの方の鱗を渡すためじゃ』

「…なぜ?」

『それは鱗を触ってみればわかる』


そう言うとイピリアは龍のそばに落ちている鱗を拾う。


『ほら手に持ってみろ』

「あ、ああ」


鱗を受け取ると体に溶けるように消えていく。


「な、!?がっ!?」


消えた事にも驚いたが、その後に激痛が全身に走る。


「あ゛ーーーー!!!!!」


まるで体の中で何かが暴れている様だ。


それもしばらくすると消えていく。


「はぁ、はぁ、はぁ、イピリア」

『自身の腕を見てみろ』


何が起こったのか確かめる、すると腕全体に鱗が生えているのが見えた。


「イピリア!!」

『怒るでない、別に殺そうとしたわけじゃないんだから』


そう言ってしらばっくれようとしたイピリアを鷲掴み力を籠める。


『ぐっ』

「いいか、どういうことか一から説明しろ、出ないければ縊り殺す!!」


体を勝手に改造されたようで気味が悪い。


『わかった、わかった、まずなぜお主をここに連れて来たか、その理由はお主のユニークスキルじゃ』

「俺の?」

『そうじゃ、お主のユニークスキルはもともとあの方のものじゃよ』


それからイピリアは事細かに説明してくれる。








『まずユニークスキルについてじゃが、お主はどこまで知っている?』

「何も、なにせ観測する方法がない、個人によって千差万別の能力があるということでほかと比較しようがないからな」

『じゃあ、結論から言おう、ユニークスキルとは魂が生み出す特殊な魔力のことを指す』








イピリアの説明を要約すると、ユニークスキルには魂が関係するという。


まず生き物は受精卵の状態で周囲の魂素を吸収し、自身の魂を形成する。その後は死ぬと肉体から魂が離れてまた魂素として霧散していく。


極たまにだが強力な魂が魂素とならずにある程度漂うことがあり、漂っている最中に新たに形成された魂に吸収されることがあり、それがユニークスキルの正体だ。


そしてそういった魂は生前に必ずと言っていいほど突出した才能があるという、それがユニークスキルの力の元だという。



『これがユニークスキルの正体だ』

「………つまりは俺の魂にこの天龍の魂が吸収されたから、このユニークスキルが発現したわけか」

『その通りじゃ、それとユニークスキルは魂の元の生物の特性を得られるのだ』


だから名は体を表すという感じでユニークスキルにはそれ相応の名前が付くわけか。


「そこまでは分かった、だがなんで鱗を渡したんだ?なんで俺の腕がこんな状態になっているんだ?」


一番の問題はそこだ。


『簡単じゃよ、ユニークスキルは生前の体の一部に触れることでより性質を濃くすることができる』

「分かりやすく、言え」

『はぁ、一言でいえばお主のユニークスキルを強化したんじゃよ』

「これがか?」


既に龍の腕と言っていいほど鱗が生え揃い、指には太い爪がついており、下手な鎧など簡単に引き裂けそうだ。


『そうじゃ、あと一言言うなら、お主のユニークスキルに新たな性質が加わっている可能性もあるぞ』

「………はぁ」


イピリアの体から手を離す。


「そういうことは先に言え」

『言ったらお主はあの鱗に触れたか?』


おそらくは触れなかっただろうな。


「それで、あの天龍の体に触れれば、もっと強くなれるのか?」


鱗一枚で強くなれるなら全身を使えばどこまで、強くなれるのか。


『意味ないぞ、体のごく一部に触ればいいだけだからのう』


これ以上の強化はなされないという。


「それで、ここでの要件はもうないのか?」

『ああ、お主に鱗を渡せればそれでよかったからのう』

「じゃあ、戻るぞ」


この場にとどまる理由がなくなった。

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