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空飛ぶ仕組み

※この度再投稿することにいたしました。もしこの作品のブックマーク、評価してくださっている皆様はもしよろしければ再投稿先でもお願いいたします。


変更点などはあらすじに記載しておりますので、参照ください。


再投稿先はこちらのURLとなります。

https://ncode.syosetu.com/n5978gw/

「このように飲み込むんだ」

「何やってんだ!!」


鉱物には毒物のものがある、どんな鉱石か詳しく知らないまま飲み込むなんて普通じゃ考えられない。


「大丈夫だ、これはヨク氏族でも子供から行われていることだからな」

「…どういうことだ」


それからハーストの話だと、この行為は翼をもつ獣人の氏族ではごく一般的に行われている行為らしい。


そしてなぜこのような行為をしているのか、それは飛ぶために必要なのだという。


「飛翔石は触りながら魔力を流すと流している存在ごと体を軽くさせるんだ、そして我々はこれを使わないと飛ぶことすらできないのさ」


鳥も空を飛ぶために骨が空洞になっていると聞いたことがある。だがヨク氏族の体がそうなのだとしたらそんな状態では体を支えられるわけがない。なにせ人と同じ骨格をしている時点で筋肉は似通っていると考えていいはず、ならば当然その分重みがあり、ここで骨が空洞ならその重さに耐えられるとは思えない。たとえ【身体強化】を促してその均衡が保てるとしても、常時その状態を維持できているほどの魔力を常時消費しているということになる。そんな状態が続けばいずれ枯渇し、普段の状態に強制的に戻され結局自壊することになる。


もちろんこの説がすべてではないがホークスの言葉で飛翔石を使わないと飛べないことが判明している。言葉通りなら前提条件骨が空洞であるというのが間違っていると考えるのが自然だ。


(いくら子供でも翼に見立てたプラスチックを持って空を飛ぶなんてこともできないからな)


ではなぜヨク氏族などの翼をもつ獣人が空を飛べるのか、それはまた違う要因が働いていると考えれば説明がつく。


例えば何かしらで体を軽くしている、などで。そしてその方法が飛翔石を飲み込むことで行っているということであれば納得できる。


「なるほどな、それでもう一つの使い道は?」

「もう一つは緊急時のための腕輪だ」


飲み込めるほどの量では精々が体を軽くさせるだけが限度、飛翔石だけで体を浮かせるにはそれなりの大きさが必要になる。なので腕輪やある程度の大きさのアクセサリーにしているという。


「これだけ?」

「ああ、これだけだ、腕輪の方は成長に合わせて作らなければいけないが、飲むのは成長するにつれて微々たるもので済むからな、一生で大体大人の拳ぐらいというところだな」


ということで生涯を通してもそこまで使用しないのが判明した。


「しかし、なんでこんなことを聞く?」

「俺が獣人に協力しているのはその飛翔石のためだからな」


レオンに氏族を作れるか聞いたのは、採掘場を縄張りにして飛翔石が欲しいからだ。


なにせ


(魔力を通したものを軽くする、輸送能力向上には欠かせない素材だな)


物を軽くさせる鉱石なんてどれほど価値があるかだ。


「はぁ……………」


ハーストは何を考えているんだという顔をしている。


「まぁ俺の目当てが飛翔石であること伝えておくぞ」

「はぁ、まぁ、了解だ。だが我々が使う分は残しておいてほしいのだが?」

「もちろんだ」


聞いた話だと飛翔石はヨク氏族の生命線と呼んでもいい。


そんなものを独占でもしたら反感を買うことになる、しかも適地のど真ん中でだ、そんなことしたらたちまち追い出されることになる。


ならうまく付き合っていく方がいい。


「ならば洞窟の方がより多くの鉱石が取れるぞ」

「洞窟?」

「ああ」


ハーストの話だと、現在ヨク氏族が採掘場としているのが『雷閃峰』の地表だ。だが少し離れた場所に洞窟が存在し、そこになら使いきれないほどの飛翔石が存在しているとのこと。


つまりは


「大きな鉱床か存在するわけか」

「そちらならどれだけ掘ってもらっても構わない、もちろん我々に影響しない範囲でだがな」

「では俺がその洞窟周辺に縄張りを作ったら、お前たちはどうする?」

「あんな、何もない土地をか?別に何も、あんな食い物が取れない場所なんか好きにしろって感じだな」


ということでその場所をもらっても何ら問題ないようだな。


(あとは問題を片付ければ、ゼブルス家は鉱床を手に入れられることができる)


価値が分からない獣人からしたらごみをあさっているように見えるはずだ。


コンコン


「ハーストさん、俺をお使い役にしないでほしいんですが」


里についた時に突っかかってきたファルコがなぜか果物籠を持って家に入ってきた。


「お~すまんな」

「で、自分も話を聞きましたが、こいつがあの山に?」


ファルコは視線で疑っていると伝えてきた。


「氏族としてはそれが最良と判断された」

「ですが、山の向こうの氏族に救援を求めれば」

「それができれば苦労はしない」


まぁ話を聞いている限りではほかの鳥系氏族はこっち側には興味なさそうだからな。


「掟により地の者と共闘はできない、けど無視もできない」

「となれば共闘ではない方法で手を貸すということですか」

「そうだ、我々も損害は負いたくないし、狩場を荒らされたくはない、地の者には最前線に立ってもらい、我々は程よく支援するだけだ」


丸聞こえなんだが。


「……了解です」


しぶしぶだがファルコは納得したようだ。


「じゃあ、これもらうよ~」


話が済むとレオネが籠をかっさらう。


「あ、おい!!」

「だめ?」

「だ、めじゃない」


レオネが首をかしげながら問いかけるとファルコは顔を赤くしながら視線を逸らす。


「バアルもほら」


一つの実を投げ渡される。


「サンキュー」

「ういうい」


レオナが隣に座るとむしゃむしゃと食べ始めた。


「あ、…………」

「今度俺の酒で乾杯しようじゃないか」


ファルコは俺達を見ると落ち込み、ハーストがそれを慰める。


食事が程よく済むと程よく時間が進み、夜も更けてくる


「それじゃあ、本日はお開きにしよう」

「さんせ~い」


程よく腹が膨れたら眠気が襲ってくる。


「それじゃあ俺は行くよ」

「ああ、明日は頼むぞ」

「了解です、叔父さん」


食事中に発覚したんだが、ファルコとハーストは叔父と甥という関係だった。


そして明日は日が昇る前から動き出すことになっている。


ファルコが飛び立つと俺とレオネは寝室に案内される。


「今日はこの部屋を使ってくれ」

「……いや、なんでベッドが一つなんだよ」


普通に考えて男女を一部屋に押しやること自体おかしいと思うのだが?


「ん?お前らは夫婦前なのだろ?遠慮することはない」

「いや、俺達は、ん」

「そうそう、まだ夫婦ではないけど、思いあっているからね~」


レオネに口を押えられしゃべれない。


「じゃあ翌朝には起こしに来るから、良い夜を」


そう言うと部屋から出ていくのだが。


「うるさくするなよ」


最後にそう言い扉が閉まる


それと同時にレオネの手が外れる。


「おい」

「ふぁ~~~、眠いし寝よ~」


レオネはそう言いながらベッドに入っていく。


「ほら~おいでおいで~」


布団を開きながらそう言うので、お言葉通り隣に寝転ぶ。


「うへ!?」

「さすがに明日は大事な用があるんだ、疲れを残さないために遠慮はしないぞ」

「あ、あ~うん、わかった」


レオネは借りてきた猫みたいにおとなしくなる。


「うん……ねぇ、抱き着いていい?」

「……うっとうしくない程度にしろ」


最後にそう返事をすると目を閉じて、ゆっくりと眠りにつく。


「うん、ありがと」


そう言うと腕が取られて、何やらむにゅっとした感触がする。どうやら腕に抱き着くようにして眠っているようだ。


(はぁ、さっさと寝よう………)


レオネを気にせず深く眠りにつく。

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