シスコンの暴走
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「で、お前たちはどういう関係なんだ?」
会議室で俺とレオネは尋問を受けている。
「さっき言ったが、俺は寝ている時にいつの間にかこいつがいたそれだけだ」
今度は視線がレオネの方に向かう。
「怪我を治してもらったんだけど、その時の光が心地よかったからだよ~」
思わず、ん?、となったのは俺だけではないだろう。
「レオネ、もう少し分かりやすく」
「そうだね~バアルの近くって暖かい陽だまりのようで心地いいのよ~」
あ、レオンが頭を抱えた。
「なぁ、あのレオネって」
「……まぁ一言でいえば直感だけで動いているバ、んん、子だな」
いつも冷静なティタですら苦手そうにしている。
「ということで私はバアルのそばにいるからよろしく~」
「だがな」
「いいじゃない、私も腕は立つよ~」
そう言ってレオネは胸を張り、それ以外のみんなが溜息を吐いている。
「強いのか?」
「ああ、まともに戦えるのはレオンとエナ、それとアシラぐらいか、それ以外は普通に勝つだろうな」
レオネは実力者であることも判明した。
「いいじゃん、いいじゃん、私もあと少しで雄を探すことになるんだからさ~。お兄ぃも毎回毎回聞いてきたじゃん」
「それは獣人のいい相手を見つけろという意味なんだが」
「そうよ、よりにもよって人族なんて」
レオンとムールが何とか説得しようとするが、どれも無駄に終わる。
「だめだ、だめだ、俺が認めてない奴と一緒に旅をするなんて。同衾した時点で俺はバアルを縊り殺したいのに」
「ぶ~~、お兄ぃは毎回そうじゃん、男の子を遊ぼうとすると力試しを申し込んで、遊びの邪魔ばっかりして!!」
「それは当たり前だろう!兄としての役目だ」
(いま、かなり物騒な言葉が出てきたのだが?)
その後は言葉のの応酬が始まった。
それと
「なぁ、レオンって………すこし………」
「ああ、シスコンだ」
聞くまでもなくエナは即答した。
「レオンは筋金入りの家族びいきでな、弟、妹、従妹、従弟にだだ甘なんだよ」
「……そう、おかげでバロンの家系に婚姻を申し込むならレオンを殺せって噂が出回ったぐらい」
「ちなみにそれは起こったのか?」
「「ああ」」
なんでも数回、レオンの姉や妹に婚姻を申し込もうとした奴らがいてことごとく打ちのめされたらしい。
「レオネ!」
「いや!お兄ぃでも今回は譲らない!!」
そう言うと双方にらみ合う。
「レオン、レオネちゃんがここまで言っているんだから諦めたら?」
「……ぐぅ」
ムールが観念するように賛成に回るとレオンの視線がこちらに向く。
「勝負してもらうぞ」
「はぁ?」
ドン!!
返答する暇もなくレオンの拳が飛んでくる。
(危ね!?反応できたからよかったが!!)
すぐさまバベルを取り出し拳を防ぐことができたが代わりに家の外に吹き飛ばされる。
それは運よく壁に当たらず開ききっている窓から綺麗に出る形になった。おそらくはきちんと計算しながら吹き飛ばしたのだろう。
「ぐるぅ!!」
「っと」
体勢を立て直そうとすると、すぐさま蹴りが飛んでくる。
だが戦闘態勢に入ったことで反応ができるようになった。
「いきなりなにすんだよ」
「なに、言葉で説明してもお前は受けてくれないと思ってな強引に力試しをしているだけだ!!」
「だからなんで急に力試しするんだよ」
「お前がレオネの邪魔にならないかの確認だ!試練を受けておんぶにだっこでレオネの負担になりそうかどうかの確認にな!!」
完全にとばっちりを受けた状態だ。
「じゃあ、レオネを連れて行かなければいいんだろう!!」
「それができるなら苦労はせん!あいつの外見なら美少女だがな中身は一級の戦士だぞ、本人が納得せん限り勝手について行くに決まっている」
うん、そこは同意する。もし置いて行くとなったら勝手についてきそうなタイプだ。
「だから、お前が負担をかけてレオネに怪我させるか見極めるだけだ!!」
ドン!
レオンのかかと落としが地面にひびを作る。
(たしかに威力はすごい、だけど)
レオンの動きには精彩さがない。
「病み上がりなんだから無理すんなよ」
「っが!?」
石突の部分での攻撃が簡単に通る。
(やっぱり血が足りてないんだな)
こんな短期間で増血できるわけがない。
血が少ないのであれば酸素を運ぶ量が減る。酸素がなければ体内でエネルギーを作り出すのが遅れる。となれば腕力や脚力、果ては判断速度まで鈍らしてしまう。
なので
「がはっ!?」
隙だらけの腹に軽めの蹴りを入れる。
「だからさ、今のお前は全快じゃないんだよ、そんな状態で本気では戦えないだろう」
「だが、お前は明日には試練とやらに挑むんだろ、ならば今のうちに試さなければ意味が無い」
そう言うとレオンは目を閉じる。
「先に誤っておく、少し本気を出すぞ」
「それは構わんが、絶対に後で後悔することになるぞ」
「だろうな、まぁ一週間も寝込めばいい方だろう」
個人的にはもっと寝込んでもおかしくないと思うんだが。
「【獣化】『炎心』」
レオンは二足歩行の獅子となると毛の先が揺らめく。
「死ね!!」
「まんまだな!?おい!?」
ユニークスキルのおかげか先ほどとは打って変わり動きが苛烈になっていく。
「そらそらそら!!」
一つ一つの拳が重くなり、止める度に両手が軋みそうだ。
(だけど爪を仕舞っているから、かろうじて理性はあるんだな)
とりあえず拳を逸らし、流して、対処する。
「がぁ!」
一際大きく空振りするのを見逃さずにバベルを打ち込む。もちろん『慈悲ノ聖光』ですぐ治せそうなくらいにだ。
ニィ
「っ、切れねぇのかよ!!」
バベルの刃はレオンの剛毛により防がれて通らない。
「武器を奪わせてもらうぞ」
レオンはバベルを掴み強引に引き込む。
「っち」
バベルを放し、距離を取る。
「どうする?お前の爪が無くなったぞ?」
「そうなりゃこうすればいいだけだ『紋様収納』」
すぐさま紋様に変化させて回収し、取り出す。
「ふむ、武器を取り上げるのは不可能か」
「かもな」
振り出しに戻った。
「その状態で攻め切りぬしかないか、では!!」
「では!じゃな~~い」
横からの飛び蹴りがレオンに脇腹に入る。しかも
ビギッ
「ぐぁが!?」
何かが折れた音がし、レオンが膝から崩れる。
「もういいでしょ!お兄ぃのこの状態で十分にやりあえているんだから問題ないしょ」
「いや、それは今俺が本調子じゃないから」
「言い訳するの?男らしくないよ~そういうの~」
そういうとレオンは何も言えなくなる。
「なぁレオンいいんじゃないか?」
「エナ!?」
「ああ、本人がこういっているんだ、もういいんじゃないか?」
「ムールまで!?」
女性二人からの援護で最後にはレオンが折れた。
「……いいだろう、レオネ好きにしろ」
「ほいさ~!!」
ということでレオネがついてくることになった。




