軍の合流
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「ようこそいらした。私はレシュゲル・エル・サラスファス、第七魔法師団長だ」
「こちらは特殊大隊、お飾り総隊長のロザミア・エル・ヴェヌアーボです、よろしく」
私たちは現在、マナレイ学園を出てルンベルト駐屯所に来ている。
「命令書を読んだんだが、バアルって金髪に空色の眼をした少年であっているか?」
「ええ、グロウス王国からの留学生で結構な家の出でして、国際問題になりかねない存在ですね」
ロザミアがそう断言するとレシュゲルは少々うろたえる。
「了解した、それでロザミア殿の大隊なのですが」
「こちらとしては王家直属の独立部隊としての扱いをお願いしたいのですが」
「ふむ……いいでしょう。ただし、行動によっては救援を求められても見捨てることもあるとご理解ください」
勝手に動くのは勝手だが、自分の始末は自分でつけろと言いたいらしい。
「もちろん、余力がある場合は援護をしますが、こちらの命令に従わないのであれば保証しかねます」
当然と言えば当然だ。
「それとマナレイ学園から援助がなされています」
「援助?」
そう言うと扉が開きロザミアの部下が木箱を運んできた。
「これは?」
箱を開けると中にはいくつもの杖が入っている。
「秘密兵器ですよ、対獣人専用のね」
ロザミアの表情からよほど自信がある兵器だろう。
コンコン
「誰だ?」
「フィルク聖法国の聖騎士アベルクナです」
入ってきたのは真っ白い鎧に身を包み、灰色の髪を後ろに流している女性だ。
「こちらに第七魔法師団長がいるとお聞きしたのですが」
「私です」
「この度、援軍として聖騎士隊500名を連れてまいりましたので、ご報告に」
そう言うと私たちに目を向ける。
「込み入ったお話であるならば退室しますが」
「いや、問題ない、いいよな?」
「ええ、こちらとしても周知にしておきたいので」
ということで話し合いにアベルクナが加わった。
「まず、軍全体の規模はクメニギスの魔導師団が第四から第七までの4万人」
「それとフィルク聖法国の騎士団、総勢2万」
蛮国への侵略は計6万人で行われている。
「では現在の軍の体系をお知らせしておきます」
まずルンベルト駐屯地はウェルス山脈とミシェル山脈の手前に設置されており、どのルートにでも伝令を飛ばせる場所に設置されている。それゆえにそこまで人員は配置しておらず両国合わせて大体1000ほどしかいない。
「そして大部分の軍勢はすでにそれぞれのルートに進行しております」
まずは東の砂地ルート、ここはクメニギスが5000、フィルクが2000が歩を進めており。
「だが砂地にいる魔物が厄介でそこまで距離を取れていないと報告が来ている」
砂地に潜む毒蛇の魔物や砂の中を自由に泳ぐサメ、砂を固めて弾丸のように吐き出す蠍などなど。これらは何を言っても砂の中に潜んでおり容易には見つけられない。
なので退路を断たれないように移動するとそれなりに鈍足となる。
「次に西のルートだが、これは論外だ」
こちらは二国合わせて500と少人数で進んでいるが道幅が少なく落下の危険性が高いため大人数を進ませることはできない、そして強風によりさらに危険度は増している。
なのでここに期待している指揮官はまずいない。
「最後に最も安全な中央ルートだが、順調とは言わないが着実に進んでいる」
少し前に一度大きく押し返されたが再び、少しづづ進んでいるらしい。
「何か質問は?」
「一ついいですか?」
ロザミアが手を挙げる。
「なぜあなたはここにいるんですか?」
質問の意図が私にはわからなかった。
「師団長は何もデスクワークが特出して得意でもなれる地位ではありません、長としての実力を持っているはずです。なのになぜこんな後方にいるのですか」
「……それは簡単さ、私は今のところ魔力を使うことができないのさ」
「へ?」
ロザミアがこういうのも無理はない、私も魔力が使えなくなるなんて初めて聞いた。
「少し失礼します」
アベルクナさんはレシュゲルの腕を取ると魔法を発動させる。
「『白キ浄化』」
淡い光がレシュゲルさんを包むのだが。
「どうですか?」
「……駄目ですね」
「そうですか…お力になれずすみません」
「いえいえ、その気持ちだけで十分です」
「あの、私もいいですか?」
腕輪に魔力を流して―――




