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学園の派閥

入学式が始まるとエルドとイグニアが壇上に上がり挨拶を行う。


(暇だな…………)


挨拶はありきたりなものだったのであくびが出そうだった。


周囲を見渡すと俺と同じように暇そうにしている奴が大勢だった。












校舎を進むとまずは自分のクラスへと赴く。


教室は小学校というよりも大学の講義室みたくなっている。


具体的には幅広い机に数名が並んで座る形だ。


中に入るとすでに何人もの貴族が席についている。


「リン、席はどこだ」

「あちらになります」


リンは最後尾の席を指差す。


(よりにもよってあの席か…………)


俺は絡まれると面倒なのでさっさと席に付く。


「おいおい、挨拶くらいしろよバアル」


案の定めんどくさい奴に話しかけられた。


めんどくさいからあまり話したくなかったのにわざわざ近づいてくるか、普通。


「これはこれはお久しぶりですイグニア殿下」


話しかけてきたのはイグニア殿下だった。


「相変わらずだね、バアル」


その横には同じくやってきたエルド殿下までいる。


「エルド、こいつは俺が狙ってるのだ横取りするなよ」

「それはバアルが決めることだろう?それにイグニアは成人するまでバアルを勧誘できないけど私はそんなことないからね」

「チッ面倒な約束しちまったぜ」


二年前、あの何事もないように始まった、決闘だが、なぜだかイグニアは引き分けにもかかわらず自分が負けたと言い、成人前勧誘を控えてくれている。


「やめろ、せめて取り合ってくれるなら華やかな女性にしてくれ」


男二人に迫られるって背筋がぞわぞわとくる。派閥に引き抜きたいだけだと知っていながらもだ。


「あら、人気ですねバアル様は」

「…………ユリア嬢か」

「お久しぶりですエルド殿下」

「久しぶりだねユリア殿、イグニアの婚約者となってからパーティーに参加しなくなって以来だね」


ユリアはなんとこの二年でイグニアの婚約者となっていた。


「それはご容赦を婚約者をおいて私だけがパーティーに出席するわけにも行かなかったですから」










「すご〜い、子供の頃からあんなふうになっているんだ〜」











今の学園には3つの派閥がある。


まずはエルド殿下の派閥、次にイグニア殿下の派閥、最後になぜだか中立派の代表にされた俺の派閥だ。



まぁ中立派と言ってもどちらにも属してない奴の寄せ集めなんだけどな。


なので各派閥の長がこのクラスに集結したことになる。


クラスの皆はそれぞれの派閥の周囲に座っている。


エルドのところはエルドの前に、イグニアのところはイグニアの前に、そして俺の前だがこれはあの派閥争いから逃げてきた奴らが座っている。




「みんな集まっているようですね……では初めまして、私はリーゲル・セラ・アルスと言います。このグロウス学園特待生クラスの担任を務めます。担当は魔法学なのでよろしく」


ここは特待生だけが集まったクラスだ。


「ではこれからどのような生活を皆さんに送ってもらうかを説明します」








一通り説明が終わると解散して学校散策となる。


特待生の第一校舎と貴族の第二校舎、それと平民の第三校舎。


次にそれぞれが泊まる宿舎を案内される。


ここで説明しておくと、特待生は一定の学力を持つ生徒だけが入っているクラスだ。まぁ平民は教育を受けないからここに入れる平民なんてまずいない。いるとしたらそれなりに事情を持っている奴ばかりだ。


散策が終わるとそれぞれ自分の教室に戻っていく。



「これで今日は終了となります、本格的な授業は明日から始まりますのでお忘れないようお願いします」


ということで今日は解散となる。


「さてとバアルこれからどうする?」


なぜだかなれなれしく話しかけてくるイグニア。


「そうだな…まぁのんびりとやらせてもらうさ」

「へぇ~意外だね」



エルドが会話に加わってくる。


「何がだ?」

「国や教会に噛みついた君がこの学園でのんびりとするなんて」


心外だな、好きで噛みついたわけじゃないぞ。


「じゃあ、殿下たちは何をするんだ?」

「それはね…内緒だよ」

「俺は秘密主義のこいつと違って、もっと活動的に動くさ」

「それはクラブに入るということでよろしいのですか」

「そのとおりだ」


クラブ、まぁこれは同じ趣味を持つ者が集まって活動している……そのまんまのクラブだな。


「どうだバアル、一緒にやらないか」

「断るよ、俺は俺のやりたいようにやる」


そういいながら立ち上がりこの場を離れる。


「いいのですか?」

「ああ、最近分かったがイグニアとエルドには、はっきり言った方がいいらしい」


エルドもイグニアもはっきり言わないと勧誘がしつこいのだ。


「…ではこの後はどうしますか?」

「そうだな……暇だから本を読みに行こうか」


ということで俺たちは学園内にある図書館に向かう。


「……すごいな」


屋敷の書斎とは比べ物にならないくらいの大きさだ。


「どのような本をお探しですか?」


図書館に入ると係りの者が近づいてくる。


「そうだな……比較的に暇つぶしできそうな本はあるか?」

「暇つぶしですか?」

「ああ」

「……そうですね、勉強関連なら奥に進んで左手の方に、魔法関連なら奥の右手にあります。ほかにも冒険譚は手前の方にありますので、そちらから探してみるのが良いかと」

「そうか、ご苦労」


俺はさっきの話で興味がわいた魔法関連の本棚に向かう。


そこから面白そうな本を探す。


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