融通ぐらい効かせてくれ
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「おい、おい、起きろごら!!」
誰かの大声で意識が起き上がる。
「おい!寝床に女を詰め込むなんて、ガキにしちゃいい身分だなぁ!!」
意識がはっきりしてくると体を起き上がらして、うるさく怒鳴っている本人を見る。
「なんだルウか、どうした?」
「時間になったから呼びに来たんだ、が!!」
すると俺の横を指さす。
「まさか女を連れ込んでいるとはな!!」
「女?」
隣を見てみると見たことがない少女が寝ていた。
「????(イピリア、これはどういうことだ?)」
『いや、お前が寝入ってから少ししてから入ってきたんじゃ』
(いや、なんで排除しないんだよ)
『??害意は無かったぞ』
いや、確かにそうは言ったがな。
(融通を聞かせてくれよ)
『知らんがな』
イピリアに呆れながら立ち上がる。
「んん~~、確かにそろそろ日の出か」
ルウを押しのけて外に出てみると青と赤が入り混じった色をしている。
「御苦労ルウ」
「おう!……じゃねぇ!!さっさと準備しろ、もうお前以外は準備ができているぞ」
「了解だ、じゃ早速案内してくれ」
「お、おう」
いまだに寝ている少女と俺の間に視線を彷徨わせるが、何も言うことなく案内してくれた。
「バアルが最後だぞ」
「悪いな、結構熟睡していた」
「しっかりしろよ、蜻蛉共はお前が担当するんだぞ」
「ああ、わかっている」
「………………」
レオンと普通に会話しているだけなんだが、ルウの視線がなんか痛い。
「おい、レオンそろそろ出発するぞ、あとバアル、これ」
エナが大きい葉で包んだ何かを渡してくる。
「これは?」
「例の薬だよ、30日分、ティタが何とか作ってくれたんだよ」
葉を開き中を見ると、白い結晶が30個入っていた。
「ああ、約束通りだな」
亜空庫を開き薬をしまう。
「それじゃあ、連中に檄を入れる、バアル、お前も来てもらうぞ」
「了解だ」
「…………」
レオンに続いて移動するのだが、ルウは何か言いたげにしている。
「今日であの忌々しい蟲共を殲滅させるぞ!!ガァアアアアアア!!」
「「「「「「ガァアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」」」」」
レオンが一言の後に咆哮を上げると、ここにいる全員が獣の咆哮を上げる。
(ん?なんだ?)
レオンの咆哮に呼応した獣人から陽炎のように揺らぐ何かがまとわりつく。
(レオンのユニークスキルの力か?)
「では皆!!それぞれの持ち場につけ!!」
「ほら、おまえはこっちだ」
そう言うとエナが集団の端っこに案内する。
「おし、じゃあ今から俺達はこの坊主の命令を聞くことになる、異論はないな!!」
「「「「「「「「「おう!!!」」」」」」」」」
集団は少なく見積もっても200はいる。
「お前ら、『母体』を倒したいなら命令は聞け、いいな」
「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」
どうやら言うことは聞いてもらえるみたいだ。
「エナ、いいか?」
「ああ、今回はオレはバアルの下につくから問題ないさ、ただ意見はしっかりさせてもらうぞ」
「それは歓迎する」
今までの推察ではエナのユニークスキルは危険を察知するものだ、その時になったら教えてもらいたい。
ガァアアア!!!
先ほどレオンがいた方向から咆哮がこだます。
「では行くぞ!!」
そう言うとレオンが先頭に立ち、そのまま東南の方角に走り出した。
「たく、せっかちだね、ほらさっさと行かないと同時攻撃が無意味になるよ」
俺達じゃないもう一つの集団も東方角に移動する。
「おし、それじゃあ移動する!エナ、案内を頼む」
地形に詳しくない俺が先導するのはよした方がいいと思う。
「じゃあ、野郎どもついてきな!!!!」
「「「「「「おお!!」」」」」
エナが咆哮を上げると、みんなもそれに呼応し『獣化』してから移動する。
今回、キクカ湖に向かう俺たちの編成は
エナの部隊が100人、ティタの部隊が50人、それとアシラやほかのところから選出してもらった水辺に強い獣人が14人、それと唯一の人族である俺だ。
「まず手順としては水中で動ける獣人はすぐさまキクカ湖に潜ってもらう、いいな、カイマン」
「おう、任せておけ」
カイマンはアシラの部隊に所属していた鰐の獣人。
鰐の獣人だけあって、ガタイが大きく、水中で動きやすいように水掻きと水中で推進力を出す尻尾が出ている。
「カイマンたちはそのまま待機、水中に落ちてくる魔蟲を処理していってくれ、水の中だったら奴らも簡単にやれるはずだ」
水中に落ちた虫なんてほとんど無力化できていると言っていい。
「次にエナの部隊だが、お前らは周囲に展開してもらい、増援に駆け付ける魔蟲の発見にあたってもらう」
「了解だ」
戦闘があまり得意でないと聞いているエナの部隊は湖の周囲に展開してもらい増援を警戒してもらう。
「ティタの部隊はその護衛だ」
「…承知」
当然ながらエナの部隊は増援を見張ってもらう最中も戦闘になるリスクがある、なので戦闘があまり得意でないエナの部隊には警戒を任せてその護衛にティタの部隊を使うのが効果的だ。
「で、バアルは?」
「オレは『母体』を探し、つぶす、当然ながら反撃してくるだろうから数名はそのままでいてもらう」
「できるのか?」
「ああ、ただ飛んでいる的なら問題ないさ」
正直隠しておきたい手札もあったんだが、早々に魔蟲を殲滅するとなるとそうも言ってられなくなった。
「…俺が護衛になるさ」
「ティタが、か…じゃあオレも護衛にあたるさ、伝令とかもうちの奴らに任せればそうそう問題ないだろうし」
ということで二人が戦闘中の護衛となった。
「了解だ、作戦通りに」
「「「「了解」」」」
一通り、説明し終えると湖めがけて疾走する。




