まっすぐな奴ら
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まずこれを提案したことには三つ根拠がある。
一つ目は目的をぼかすこと。もし『王』の個体が知恵を持っていて、危険なところに援護を送っているとしたら、一か所の集中攻撃は失敗に終わる可能性が高い。
二つ目はそれぞれ適性のあるフィールドで戦ってもらうこと。岩場はノイラやエルプスなどが戦いにくい場所となっているし、泥ばかりの湿地帯ではレオンやルウといった機動性で敵を翻弄する奴らにとっては最悪のフィールドだろう。湖なんてはもってのほか、こちらは遠距離攻撃をほとんど持たないので湖の上に避難されたら手出しは全くできないと言っていい、ほかに水上にいたとして泳いで戦うことになってしまう、聞いたところによると一応は泳げるらしいが、鰐や蜥蜴といった水場でも動ける獣人でないと戦力はがた落ちだ。なのでそう言ったことのないように各々が最も得意な場で最善に戦ってもらう方がいいため。
三つ目は広範囲に人員を配置し、あわよくばほかの『母体』や『王』の個体に遭遇させやすくさせるためだ。
これらのことを詳しく説明する、が。
「「「「「「?????????」」」」」」
「「なるほどな」」
レオンとエナは納得したがそのほかは頭から煙を出しそうだった。
「じゃあ、割り振りはどうするつもりだ?」
「まず岩場にレオンとルウの部隊を配置する」
「理由は……湖、湿地帯だと機動性に難があるわけか」
「その通り、次に湿地帯だが、アシラとノイラ、エルぺスに対応してもらおうと思っている」
「なるほ、って!?残りの全戦力じゃないか!?」
その通りだ、なぜなら
「キクカ湖での戦闘は俺が当たる」
それに空に逃げられただけでも普通の獣人は攻撃手段を失うのに湖の上だともはや手の出しようもない。
「それに湖が最も得意とする獣人がいるのか?」
「…いる、マシラのところに」
意外だ、いるんだ。
「そうだな、俺のところに鰐の数名が、あとはルウのところに獺がいるな?」
「ああ、だが10人にも満たないぞ?」
ということで水辺での戦闘が得意なものもいるようだ。
「まぁいい、じゃあその数名は俺と一緒にキクカ湖に向かってもらう」
「そんな少数でいいのか?」
「まぁ問題ないだろう」
ということで話が纏まりそ
「おい、なんでお前が仕切っているんだよ」
うだったんだが、ルウが話を遮る。
「だとよ、どうするレオン」
「そうだな、ここは我々の流儀で話し合いをしようか」
「獣人の流儀だと?」
なんか嫌な予感がする。
「では親善試合を始める!!」
「「「「「「「「「「おおおお!!!!!!!」」」」」」」」」」
里の広場で何十人ものけが人が俺とルウを囲む。
「レオン?」
「まぁ、これから俺達は一緒に魔蟲に対抗するんだ。一回ここでわだかまりをなくしておいた方が楽だぞ」
「戦ってわかるもんかね?」
「安心しろよ、俺達は力を見せられればとりあえずは納得するんだよ」
そう言うとルウは『獣化』し、狼の顔つきになる。
「じゃ始めようぜ、エナが連れて来たんだ、退屈はしないだろう!!」
ルウが地の上スレスレを走ると同時にバベルを取り出し、振り下ろす。
「そらよ!!」
バベルを横切るように移動すると、眼前に毛深い膝が見える。
「危な!?」
ルウは容赦なく顔面に飛び膝蹴りを繰り出す。
すぐさまバベルから片腕を離し、何とか受け止める。
「はぁ!はは!!さらに行くぜ!!」
ルウは膝を受け止まられたまま頭の上で手を組み振り下ろす。
「ッチ」
すぐさま膝を押し返し、距離を取るとすぐ目の前を振り下ろした拳が過ぎ去る。
「よく反応した!!」
そのまま中で身を翻し、地上に降り立つ。
「速いな~」
「そりゃな、力は大型猫種には勝てないがスタミナと速度だけなら俺達に分があるから、な!!」
そう言う低い姿勢で回り込んでくる。
(【身体強化】のみじゃ、さすがに使うか)
ユニークスキルを発動させて、さらに強化する。
「ふっ!!」
ルウは貫手で首を狙ってくるので、バベルの柄で防ぐ。
そして体の前で回すように腕を絡め取るとバベルを掴んだまま肘打ちを顔面にぶち込む。
「ガァア!」
「やべ!?」
当たりそうになるとルウは口を開ける、さすがに噛みつかれるのはまずいのですぐさま距離を取る。
「!?はは!よく避けた!」
ルウは嬉しそうにする。
『なんじゃ?動きが鈍いの?』
(仕方ないだろう、手札はできるだけ隠して起きたいんだから)
『その気持ちは分かるが、今の状況だと、お主、負けるぞ?』
「しぇや!!」
ルウの重い拳にガードした腕が吹き飛ばされそうになる。
「とどめ!!」
「させっかよ『放電』」
拳が目の前に迫ってくるタイミングで『放電』を行う。
目の前で攻撃している最中に周囲に電撃が振りまかれればさすがに避けられない。
「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎ」
ルウは電撃を食らうも失神せずに痙攣している。
「ま、まだ」
「いや、こうなった時点で終わりだ」
レオンがルウに近づき終わりを告げる。
「にしてもそれがお前の力か」
「まぁな」
「おう、まだ戦えるかい、人族の子」
すると観戦していた、ほかの獣人がやってくる。
「……レオン?」
「さっきも言ったがいい機会だ。ほかのやつらが納得するまで付き合うことだな」
ということで、その後30人の獣人と模擬戦を行うことになった。
「痛っ」
「じっとしていろ、とりあえずは打撲に効果のある薬草を張ってやるから」
模擬戦が終わると時間は夕暮れというべき時間になっている。
(…………なぜか、本当になぜか宴会になった)
「普通に考えて戦争中にこんな目立つ宴会するやつがあるか」
広場に木を組んで豪勢にキャンプファイヤーをやっている。
「よう、楽しんでいるか~~」
ルウが骨付き肉にかぶりつきながらやってくる。
「いや、普通に考えろ、なんで今キャンプファイヤーやってんだよ」
「いいんだよ、なぜだかわからんが魔蟲は昼間は活動しないんだよ、だからこうやって夜は英気を養うのが戦士のたしなみだ」
「そんなことは聞いたことがないがな」
するとエルプスが話に加わる。
「まぁまぁ、これはお主の歓迎の宴でもあるからな、ルウもお主のためにわざわざ極上の獲物を探しに行ったぐらいだぞ」
「ちょっ、おい!」
「ということで無事、お前さんは俺たちの仲間として迎えられたということだ」
「……そうか」
「それにほらよ」
ルウの眼の先にはなんだかそわそわした奴らがいた。
「あいつらもお前と話がしたいんだよ、おい、お前たちもこっちに来て話に混ざれよ」
「いいんすか!!」
ルウが一人を呼び寄せると、次々に人が集まってくる。
「お前すげぇな!ルウの兄貴に勝てるなんて!!」
「だな、そのあともレオンの兄貴の側近ものしたしな!!」
「もしバアルが獣人なら獣はどれだよ?雷って確かネコ系だよな?」
「いや、確か蛇もあったぞ」
「珍しいが猿もあるぞ、尻尾の小さい猿なら外見も納得できるだろう?」
「「「お~~」」」
なぜだか俺が獣人だったらどの獣になるかで盛り上がっている。
(こいつらはみんなこうなのか?)
やたらとフレンドりーというか、一度遊びに行ったらすぐ仲良くするタイプだな。
「おう、みんな楽しんでいるか?」
「「「「「レオンの兄貴!?」」」」」
レオンが近づいてくると、ほかのやつらが緊張し始める。
「すまんなバアル、ルウ、エルプス、こっちに来てくれ、すまんがこいつら借りるぞ」
「「「「「どうぞどうぞ~~」」」」」
俺達はレオンに連れられて、主要メンバーがそろっている場所に集まる。




