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これが日常ですか…

※この度再投稿することにいたしました。もしこの作品のブックマーク、評価してくださっている皆様はもしよろしければ再投稿先でもお願いいたします。


変更点などはあらすじに記載しておりますので、参照ください。


再投稿先はこちらのURLとなります。

https://ncode.syosetu.com/n5978gw/

ザッザッザッ


エブ氏族が襲撃された翌日には、グファ氏族へと向けて足を進める。


「にしても向こうは大丈夫なのか?」

「大丈夫だろう、行きにある程度露払いはしておいたし」


マシラはエブのみんなを隣のクル氏族へと護送している。


「しかし、あの里は守る戦力がないのか?」


今思い返すと、子供と多少戦える大人しかいなかった気がする。


だが氏族の長は戦闘に最も長けているはずだ、なのにあのやられようはどうなのか。


「仕方ない、ここら辺の氏族はほとんどの戦士が前線にいる、たとえ長が居たとしても数が多すぎれば当然、死ぬ」

「そうか」


守護のためある程度は戦力を残すはずのなのだが、それすらもままならない状況なのか。


「まぁ大丈夫だろう」

「なんだエナ、匂いはいいのか?」

「問題ない、危険な匂いはするんだが、いつも通りだ」

「そうか、いつも通り(・・・・・)か」


以前と同じ陣形で移動しているのだが、なぜだか二人の空気はそこまで重くない。


「いいのか?」

「……なにがだ?」

「顔が変だぞ」


ティタが不機嫌な顔をしている。


「……うるさい」


そう言うと距離を取る。


(わかりやすいな)


ザッザッザッザッ


それからもひたすらに走り続けると


「!?おい!」


何かを見つけたのかレオンが声を上げる。


「左に少し逸れろ、そっちにある(・・)

「了解だ!!ついて来いよ!!!」


そう言うと二人はギアを上げる。


「どういうことだ?」

「……準備しろ、すぐに始まるぞ」


ティタもそう言い先に出る。


(……始まるか)


気を引き締めて三人に続く。


森を走っていると死臭が漂ってくる。


「おい、これって」

「黙って走れ!」


そして走った先ではエブ氏族に似た柵が見えてくる。


「エナ」

「大丈夫だ、とりあえずはいないみたいだ」


エナが断言するとレオンとティタの肩の力が抜ける。


「……ほらさっさと里に入るぞ」










里に入るとそこはひどい光景だった。


いたるところにけが人がおり、家の中に納まらないのか地面に寝ているけが人すらいる。


「これはひどいな」

「ああ、だが仕方がない」


そう言うとレオンとエナはけが人の中を入っていき、一つの家に押し入る。


「おい!アシラ!いるか!!」


大声を発しながら家に入ると、すぐさま拳が飛んできてレオンが外に吹っ飛ばされる。


「おい、こら、いままでお前の穴を埋めてやった恩人に礼もなしか」


家の中から出てきたのは熊だった、それも身長は2メートルはある。


「いてて、それはすまんな、向こうも放っては置けないからよ」

「ふん!それで向こうはどうだったんだ?」

「無事に救出は完了した、ただ…全員とはいかなかったが」

「致し方ない、レオンでも無理なものは無理なのだろう、あと」


すると熊の獣人、アシラは俺の目の前に立つ。


「なんで人族(ヒューマン)が居やがるんだよ」


しゃがみこんで覗いてくるのだが、熊の顔なので普通の子供なら泣くところだろう。


「一言でいうと援軍だ」

「援軍?……く、くく、ははははは」


すると腹を抱えて笑い出す。


「おいおい、レオン、笑わすな!こんなガキに何ができるんだよ」


そう言ってバカにしてくる。


「エナの鼻がそれがいいっていうからな」

「なに?エナがか?」


そう言う表情が嘲笑から疑惑に代わる。


「ふぅ~ん、まぁいい、とりあえず中に入れよ」









藁と木材でできた建物の中にはアシラのほかに、豹の獣人、狼の獣人、犀の獣人、象の獣人が存在した。


その中で豹の獣人は唯一の女性だ


(……でっかいな)


犀の獣人とアシラでかなり窮屈そうなのに、象の獣人などもはや拷問だ。


「待たせたな、皆」

「問題ないぜ」

「ああ、ありがとな、ムール」


豹の獣人はムールというらしい。


長い髪には豹の特徴的な模様が浮き出ており、目はレオン同様に猫の目、獣人特融の服装から見える肉体はしなやかさを備えており、女性的な魅力を感じさせる。


「それで、同胞は取り返せたのか?」

「ああ、迷惑かけたな、ルウ」

「よせや、同胞を守るのは当然のことだ」


狼の獣人はルウ。


目つきは鋭く、右目は切り傷がついており見えてないようだ。特徴はその灰色の毛並みだ。


「しかしながら、レオンがいなかったのは少々でかかったの」

「そうじゃな、我々も努力したのだが、少し押し返されてしまった」

「いや、ノイラやエルプス爺さんがいたからこそ、ここまで抑えられたんだ」


頭の上に犀の耳を生やしたガタイのいい人がノイラと呼ばれ、耳が広く大きい象の獣人はエルプスとよばれた。


「それで現状はどうなっている?」

「っち」


エナが会議に入るとムールは不機嫌な顔をする。


「おい」

「わかっているよ、数でいえば両方とも同じ数が削れたさ、けど元から向こうのほうが数が多いんだ、損害でいえばこちらのほうが大きいな」


エナに促されると報告してくれる。


「もっと詳しく」

「あいよ、って言いたいんだが、なんだこのガキは?」


レオンとエナ、ティタに並んで話を聞いていると全員の視線が集まる。


「俺はエナの捕虜さ、別にいないものと考えてくれていい」

「いやいやいや、捕虜でも何でもいいけど、なんでここにいるのさ!?」


ムールの言葉に同意するようにレオンたち以外が首を縦に振る。


「こいつはオレが連れてきた」

「なぜじゃ?」


エルプスがエナに問いかけると、エナは得意満面な笑みになる。


「なぜ?おいおい、オレの鼻を信じろよ。こいつでどれだけお前らの窮地を救ってきたと思っているんだ?」


すると全員が何も言えなくなる。


それほどまでにエナの発言力は絶大なんだろう。


「しかし扱いはどうするんだ?」

「それは簡単さ、こいつはオレのところにいれる。もちろん責任は全部俺がとってやるから文句はないな?」

「それならば」


ということで全員が納得した。


「それでムール現状を話してくれ」

「ええ、まずレオンのところだけど、先に謝っておくわ。あなたのところが一番損害を受けている」

「…………そうか」


レオンはムールに何も言うことなく受け入れた。


「ごめんなさい、本当に」

「気にするな、俺も無理言ってお前に奴らを託したんだからな」

「ああ、今度はあたしも一番先頭に立つ」


それからの話でムールはもともとレオンの側近で、クメニギスの同胞救出の際に彼女にレオンの部隊を任せたらしい。


「あ~あ~夫婦水入らずのところ悪いが、話を進めてもいいか?」


ルウがそう言うと、周りが同調するようにうなずく。


それより気になるのが


「レオン、お前、妻帯者だったのか?」

「俺か?当たり前だろう、すでに三人いるぞ」

「…………なぁティタ、獣人はみんなこうなのか?」

「……ああ、レオンやバロン、同じように強いやつらは大抵が数名の妻を得ているぞ」


ティタの説明だと、獣人は力があればモテる、力があれば大人数を養える、力があれば子を守ることができるということで、基本が一夫多妻なのだとか。


「……もちろん、夫婦になるには長の許可が必要、まず家族を養っていける力を見せる、それができれば女性に告白し、了承を得れば長の名の元に結婚がなされる。二人目のときは一人目の時よりも長に力を見せなければいけない、三人目はさらに多く、四人目はもっと多くといった具合にだ」

「なるほど」


自然界で強い雄がハーレムを作るのと同じような感じらしい。


「……もちろん、相手に了承してもらう必要もある」

「当たり前だな」


独りよがりで迫っても意味がないのはどの場所でも同じなのだろう。


「ん!ん!!」


さすがに痺れを切らしたのかルウがにらんでくる。


「さて話を戻すぞ、まず損害だが大まかな数はレオンのところが300、俺のところが270、アシラが90、ノイラが30、エルプスのところが20だ」

「エルプスのところが痛いな」


エナはレオンではなくエルプスの部隊が不味いと言う。


「なんでエルプスのところなんだ?」

「それはな―――」


レオンの説明では


この軍はどの氏族とかの括りではなく、近しい特徴を持つ獣人で纏めたらしい。


一番多いのがネコに似ている獣人、次点でイヌに似ている獣人、次に熊、偶蹄類、象、爬虫類、げっ歯類、と生物的に強そうな種類がより多く存在するらしい。


「へぇ~」

「こういっちゃなんだが、俺たちネコの類は数が多いんだが」

「エルプスみたいな大型種はそう居ないのさ、ノイラのところもな」


数でいえばレオン、ルウ、マシラのところはある程度損耗しても代えが利く。だがノイラのところの犀や猪、牛や、エルプスの象の獣人は人員が少なく代えが利かない。


「さらに言うとだな、それぞれのところで特色が違いすぎる。レオンのところは短期的な戦闘にはもってこいだ、そんで俺のところは―――」


ルウが丁寧に説明してくれる。


レオンの部隊は瞬発的な戦闘力はあるが、長時間持つことはできない。


ルウの部隊なのだが、レオンの部隊よりは戦闘力が劣るのだが、その分スタミナが多く、長期的な戦闘が可能、ほかにも追跡能力もあり深追いも可能。


アシラの部隊は、とにかくタフなのが特徴。戦闘もできる盾職といった感じだ。


ノイラの部隊は、部隊構成からわかるように突進力が随一、敵の分厚い層でも簡単にぶち抜けるらしい。


そしてエルプス、ここはどの部隊もかなうことができない超高火力の部隊だ。ほかの部隊でも対処できない敵を屠るのに最適らしい。


「ちなみに数は?」

「レオンのところで5000、俺が4000、アシラが2000、ノイラが1000、エルプスが200ほどだな」

「それは確かに痛いな」

「だろ?」


エナのいうことも理解できる。


「唯一被害がないのがその二人の部隊だ」

「二人?」

「ああ、卑怯者共(・・・・)の部隊だよ」


そう言うとエナとティタの二人に視線が向く。


「はぁ~どうせお前らがうちの連中を動かさなかっただけだろう?」

「は!卑怯者の力を借りるなんてできるわけないだろう」


レオンは目をつむり何も言わないが、その他はおおむね同意の顔色だ。


「なぁエナの部隊はどんなだ?」

「…………」


隣にいるティタに聞いても答えてくれない。


「では我が答えよう」


代わりに答えてくれたのは口数少ないノイラだ。


「エナの部隊は変わり者の部隊だ、力はないのに生き残るすべを持っている卑怯者共の集いよ」

「そうだ!そうだ!!ろくに戦えないのに戦場をうろちょろしてんじゃねぇ!!」


ノイラの言葉に乗っかるようにルウがそうまくしたてる。


「はっ!!お前らが罵倒している奴らの功績がいなければとっくに負けていることも理解できないのか馬鹿ども?」

「「「「あ゛!?」」」」


エナの一言で、一触即発の空気になる。


「さて、馬鹿どもが騒いでいる間にこっちはこっちで話を進めておくぞ」


唯一冷静なエルプスが話を進める。


「まずレオンが離れてから進展した部分を説明しよう」


(ふぅ、ようやく話が進む)

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― 新着の感想 ―
[一言]  殺虫剤の件了解です。  まぁそのようなバカな考え持ってるから現在の劣勢なのだろうな~と・・・人相手の毒は卑怯はわかるが魔蟲は害虫なのにその区別ができないとかね^^;  自分たちの命は虫け…
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