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相性のミスマッチ

4/10まで12時・19時の毎日二話投稿いたします。


読み飛ばしにご注意を。


※この度再投稿することにいたしました。もしこの作品のブックマーク、評価してくださっている皆様はもしよろしければ再投稿先でもお願いいたします。


変更点などはあらすじに記載しておりますので、参照ください。


再投稿先はこちらのURLとなります。

https://ncode.syosetu.com/n5978gw/

「お~ちょっといいか~」


外で食事の準備をしているとマシラがやってきた。


「何かあったか?」

「なんも、用件があるのはそこの坊やさ」


そう言うと火を挟んで対面に座る。


「それで何の用だ?」


兎の肉を頬張りながら問いかける。


「いやな、お前の武術の違和感が気になってな」


俺の武術にか?


「なんかあったか?」


リンやほかの教官の指導通りやっているはずなのだが。


「まず一つは体の動かし方だ」

「そんなところあったか?」

「言葉じゃ難しい、あの武器を出して構えてみろ」


そう言うので手にあるウサギ肉をレオンに渡してバベルを取り出す。もちろん渡した瞬間に肉は骨となったが。


「まずは普通に構えてみろ」

「こうか?」


俺は穂先を下にした下段の構えを取っている。


「まぁそこまでは言い、では次にこの距離を攻撃しようとしてみろ」


マシラは攻撃の当たりやすい位置まで移動する。


「ほれ、振ってみろ」

(よくわからんが、ふん!)


下段に構えたまま背中から回るようにして振り下ろす。


ドン


バベルはマシラに当たることなく、地面に突き刺さる。


「ほら続けてみろ」

「了っ解!!」


バベルを蹴りあげて、流れるように横なぎに振るう。


「……やっぱりか」

「何、が!」


問題なさそうだからそのまま連撃を続ける。


右薙ぎ払いから振り下ろし、バベルを蹴りあげて左薙ぎ払いと連撃を続けるがすべてが躱される。


「うん、もういいぞ」

「ふぅ~了解」


バベルを仕舞い、戦闘は終了する。


「うん、やっぱ違和感がすごいな」

「どこがだよ」


今までの動きに可笑しい部分があるとは思えない。


「いや、動き自体に問題はない、ただお前の体質には合っているようには感じてなくてな」

「どういうことだ?」

「試してみるのが早いな、ほれ」


そう言うと俺の背丈ほどの棍が渡される。


「これでさっきみたいな動きをしてみろ」

「???ああ」


再びバベルのような構えをしてみる。


「さっきみたいに動かしてみろ」

「?ふっ」


下段に構えたまま、先ほど通り振り下ろす。


(?バベルの方がしっくりくるんだが?)


訳も分からずそのまま先ほどの打ち込みを再現すると一つの違和感があった。


「ふっ」


バベルよりもよほど早く振れるようになっており、連撃の頻度が増す。


コン!


「そこまで」


マシラが棍を止めたことにより模擬戦は終了した。





「どうだ?」


再び火を挟むように座りとマシラが訪ねてくる。


「なんだろうな、ハルバードよりもしっくりくる」

「だろうな」


当然だろうとマシラは頷くのだが。


「なんでだ?」

「簡単さ、お前の攻撃は回る力を使う才能がけた違いなんだよ」


それからのマシラの説明だと、俺の攻撃方法は遠心力を乗せた攻撃が多い、だがハルバードの性質上一撃一撃ですべてのエネルギーをぶつける。だが俺は遠心力を乗せる能力が高すぎて一回一回ゼロから衝撃力を付ける斧槍術がミスマッチしているらしい。その点、棍術だとすべての衝撃を殺さず継続して打撃を与えるのでこちらの方がよりしっくりくるらしい。


「まず、坊やは適切な力加減をする才能がある」

「それが今の武器に合っていないと?」


マシラは頷く。


「棍てのはすべての衝撃をぶつけるわけじゃないからさ、一度ぶつければ反動する力をそのまま受けてそれを使いまわすことができる。けど坊やの獲物は一度一度に全力を出すから微妙なんだよ」

「なるほどな」


単発の重さではハルバード、連撃だと棍ということになる。


(まぁ、このスタイルを変える必要はないな)


俺の本来のスタイルである『飛雷身』からの重い一撃の攻勢を知らないのなら、より連撃が続く棍の方を進めるのも理解できなくはない。


だが


(ユニークスキル自体ではないが、魔力を封じられれば使えない。そんな時は斧槍術よりも棍の方が戦いやすいのも確かか)


するとマシラが提案する。


「どうだ、この棍術を習う気はないか?」


一考の余地ありだ。


兼ねてより、連撃は武術の課題になっていた。斧槍は一撃の重さは申し分ないが、速度や連撃の面で剣などの取り扱いのいい武器よりもワンテンポ遅れる。その面を何とかするためにバベルではなくもう一つの武術を学ぶのも手だ。


だが


「時間がな……」


明日にはレオンと共に魔蟲の方面に行くことになるだろうし、その後はクメニギスとフィルクの対処をしなければいけない。


その期間を考えると教えてもらう期間が存在しなさそうだ。


「時間か、よし、じゃあ、あたしも行くとしよう」

「「「「はぁ?」」」」


これには全員驚く。


「なんだ、だめか?」

「いや、ダメじゃないが、いいのか?」

「問題ないさ、というかどこに問題がある?」

「いや、一番の実力者がいなくなったらまずいだろう」


マシラの立ち位置は長の伴侶なのだが、ラジャ氏族では一番の実力者らしい。


「テンゴがいるだろう?それに実力なら魔蟲や人族の軍に対処しているはずだし問題ない」


このタイミングで縄張り争いを仕掛けてくる奴らにそこまで実力はないという。


「それに実力者であるあたしが行けばより早く魔蟲共を葬れるぞ」

「それもそうだな、ではマシラさんよろしく頼む」

「ああ」


そう言ってレオンと話が済むのだが。


「いや、少し待て」

「ん?どうした?」

「どうした?じゃないよ、こちらとしても武術を習うのはむしろ、こちらからお願いしたい、だけどその対価は?」


対価のない話は信じることができない。


「対価?そんなものいらんよ」

「じゃあなんで棍術を教えてくれるんだ?」


すると全員が不思議そうな顔をする。






「子供に生き延びる方法を教えるのに対価がいるのか?」

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