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獣人とはいったい………

4/10まで12時・19時の毎日二話投稿いたします。


読み飛ばしにご注意を。


※この度再投稿することにいたしました。もしこの作品のブックマーク、評価してくださっている皆様はもしよろしければ再投稿先でもお願いいたします。


変更点などはあらすじに記載しておりますので、参照ください。


再投稿先はこちらのURLとなります。

https://ncode.syosetu.com/n5978gw/

交渉が成立すると。もう逃げる必要はないので抱えてもらうことなく俺も走ることになる。


人族(ヒューマン)にしては速いな!!」


森の中を突っ走るのを見るとレオンが驚嘆する。


「まぁな、エルフの森ではなんどか走り回ったからな」


ノストニアでフィールドウォークを修練したおかげで、森林などでは早く移動できるようになっている。


「じゃあ、これについてこれるか!!!」


そう言うとレオンは体の大部分に獣の特徴を出すと、先ほどの倍の速度で走っていく。


「舐めんなよ」


ユニークスキルを発動するとすぐにレオンの横まで追いつく。


「!?お前も獣の力を受けているのか」


何を言っているかわからないがとりあえず、横に並び立つ。


「これが本気か?」

「その喧嘩買った!!」


するとわずかに残っていた部分まで『獣化』して再び俺を追い抜いていく。


「へぇ~獣の姿を取ることもできるのか」


今のレオンは金色と赤色の毛が入り混じった獅子の姿を取っている。二足歩行から四足歩行になっており本当に獣のようだ。


「はは!!これならついてこれないだろう!!」

「それはどうかな」


力強く地面を蹴りレオンの後を追っていく。








「いや、あの速度は無理なんだが」

「……エナ、俺たちは俺たちの速度で行こう」











「あれがラジャの里だな」


レオンが指示した場所は森の中だ。


「…何も見えないんだが?」

「もう少し近づけば、はっきりと見えるさ」


どうやら獣人の視力は人族よりも断然いいようだ。


「いや、この距離はオレらでも無理だからな、レオンだから見えるだけだ」


俺の視線に気づいてエナが補足してくれる。


「まぁいい、さっさと行くぞ」


そう言うとレオンは駆けだす。


「毎度のこと、勝手だな」

「…行こう、エナ」

「あいよ」


そんなレオンの後について行く。












森は少し深いという程度の普通の森だ。草木もあれば、所々に石や岩が転がっている。


仮に特徴を上げるとしたら、獣の数は少し多い位程度でしかない。


「それにしてもラジャの氏族は大丈夫なのか?」


魔蟲共に耐えられる戦力があるのか不安になる。


「ここは狩場には最適なんだ、だから縄張り争いも絶えない。そんな土地で何年も縄張りを維持しているぐらいには実力はあるさ」


そう言って奥に進んでいく。


「安心しな、ラジャ氏族はテス氏族と同じぐらい強い、特に長とその伴侶が異常でな」

「……ああ、俺なら戦いたくない」


ティタは嫌な表情をする。


「それにアシラも実力者だしな」


レオンが振り返りながら話に加わる。


「アシラ?」

「ああ、ラジャ氏族の長の子でな次期族長候補の一人さ。実力で言えばレオンとタイマンを張れる奴だよ」


いや、そうは言われてもレオンの実力を正確に把握してはいないんだが……






「止まれ」


突然どこからか声が聞こえてくる。


「お~、ナーラか」

「って、あれ、レオンさん?」


バサ、ガサ


すると一つの木の枝から一人の少女が下りてきた。


「何でここにいるの?」


少女はレオンやエナとはまた違う独特の服装をしており、小麦色の肌とオレンジの髪が似合っている。


そして特徴的なのが頭の上に見えるフカフカした長い尻尾だ。


(…リス?)


残念ながら耳は髪に隠れてよく見えないが、尻尾で判断できる。


「なんでレオさんがここに?人族(ヒューマン)を蹴散らしに行ったのでは?」

「まぁ、いろいろあってな、それでアシラはどこだ?」

「今は魔蟲の討伐に行っていますからここには居ませんよ」

「そうか、ではマシラさんに繋ぎを頼みたい」

「それでしたらいいでしょう、ではついてきてください」


しばらく森を進むとようやくラジャの里が見えてきた。








里は切り開けた場所ではなく森の真ん中に存在している。家は木材や大きい葉しか使われておらず、遠目からでは判別しにくい。さらには場所も意図的に目立たないようにされており、遠目からの発見はまず困難だろう。


そして里の中で明らかな違和感が一つだけ存在した。


「………なんで人族の子供がいるんだ?」


走り回っている幼い子供には獣人特有の獣の特徴が見受けられない。


「何を言ってるんだ?どこにも人族の子供なんていないじゃないか?」


レオンは周囲の見渡すが、何言っているんだという表情をしながら振り返る。


「いや、アレは違うのか?」


子供を指さしてみるがレオンは何を言っているかわからない顔をする。


「レオン、人族は鼻が効かないんだよ、だから子供たちの違いも判らないのさ」


エナの言い方だと、あの子供たちは獣人と言うことになる。


「……獣人は子供の頃は人族と何も変わりが無い」

「そうなのか?」


ティタの話だと、獣人は生まれたての姿は人族(ヒューマン)と何ら変わりないらしい。


「じゃあなんで、レオンやお前(ティタ)みたいに獣の部位を持つことができるんだ?」

「それは獣の儀を行うからですよ」


ティタとの会話にナーラと呼ばれた先ほどの少女が加わる。


「獣の儀?」

「はい、5歳になると獣の儀を言うものが行われて、この姿になるのよ」

「(生物学的にどうなんだそれは…………まぁ『獣化』で骨格から変えている時点で今更か)じゃあナーラの親はリスなのか」

「???違うよ、私のママは鹿、パパは牛よ」

「……はい?」


遺伝子で獣の部位が決まっている訳ではない?


思わずティタの方も振り向く。


「……ああ、俺も両親は蛇の獣人じゃないぞ。老人たちは獣の儀を行うと獣の一つが宿ると信じている」

「そうだね~私はこの姿しか(・・・)なかったからこうなったけどね」

「……俺もだ」


ナーラとティタが通じ合っているが俺には分からない感覚だ。










しばらく進むとコケや蔦などで覆われた石造りの遺跡らしきところが見えてくる。


「あそこにマシラ様はいるよ」

「おう、ありがとうな」

「ううん、レオさんも魔蟲(カボインセクト)に負けないようにね」


そう言うとナーラは来た道を戻っていく。


「それじゃあ行くぞ」


レオンに続いて石造りの建物に入っていく。





(へぇ~面白いな)


中に入ると様々な壁画の道が存在している。


「おい、さっさと行くぞ」

「少しだけ見せてくれないか?」

「ダメだ、用件を済ましてからならいいがな」


そう言うとレオンは襟掴み俺を引きずる。


しばらく進むと日の光が差し込む場所に出る。


「アレがそうなのか?」

「ああ」


たどり着いた場所は祭壇らしき場所で、その中心に枯れ葉のベットで寝ている二人の姿がある。


「誰だ?」


低い女性の声が聞こえてくる。


「マシラさんか、俺だレオンだ」

「レオン~~~?何の用だ?」


枯れ葉のベッドからのっそりと起き上がったのは黒い髪を長く垂らしている背の高い女性だ。


(なんの獣人だ?)


マシラと呼ばれた女性が起き上がるのだが、上半身に獣の特徴が無い。


「アシラがどこら辺にいるのかを聞きたくてな」

「あ~アシラか、少し前に負傷者を連れて帰って来ていたな~、う~ん、どこに行くって言っていたか」


そう言って頭に手を当てて唸る。


「アシラなら、グファ氏族の地に赴いている」


すると横たわっていたもう一つの影も起き上がる。


「昼寝の最中悪いなテンゴさん」


テンゴと呼ばれたゴリラの獣人は、とにかくでかかった。


身長は目測だが2メートルを超えて筋肉は異常なほど膨れ上がっている。もしこの世界に代表的なボディービルダーを上げるとしたら真っ先に名が述べられるほどだろう。


そしてなぜゴリラの獣人かわかったかと言うと、特徴的なのが体毛が異常なほど濃いのと……とにかくゴリラ顔だった。


「いや、いい、本当ならアシラやレオンじゃなく俺やバロンが行くべきなんだがな」

「それこそいいぜ、アルバンナの土地は俺達で守らなければいけない、いつまでも親父たちの力を頼りにはできないさ」

「それでも危険になったらいつでも呼べ、お前たちを守ることも長としては当然のことなのだからな」


そう言うと再び寝床に横になる。


(え、それだけ?)


「それで用件はそれだけか?」

「ああ、俺たちは魔蟲共の方に向かう。その時にアシラと合流したくてな」

「ふぅ~ん、そこの人族(ヒューマン)の子供も連れてか?」


マシラの視線が俺だけを見据える。


「ああ」

「なぜ?子供をそれも、人族(ヒューマン)のだ」

「それは俺も知りたいところだ」


レオンはエナに視線を向ける。


「ああ~エナの差し金か~」


そう言うと納得の表情を浮かべる。


「ならいいだろう、エナの鼻がそうしろと言うのであればそうするがいいさ」


そう言うと立ち上がる。


「だがな、人族だろうが関係ない、こいつに魔蟲共と戦える力はあるのか?」

「ある……よな?」


レオンが断言しようとするがここにいる全員がバアルの実力がどのくらいか推し量れていない。


「あたしとしても無力な子供を戦場、ましてや魔蟲の奴らと戦わせるのは気が引ける、そこでだ」


コン!!


いつの間にかマシラの手には身の丈ほどの木の棒があり、それで地面を打ち鳴らす。


「すこし確かめさせてもらうよ」

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