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獣人の本領

4/10まで12時・19時の毎日二話投稿いたします。


読み飛ばしにご注意を。


※この度再投稿することにいたしました。もしこの作品のブックマーク、評価してくださっている皆様はもしよろしければ再投稿先でもお願いいたします。


変更点などはあらすじに記載しておりますので、参照ください。


再投稿先はこちらのURLとなります。

https://ncode.syosetu.com/n5978gw/

「待て!!私はレシュゲル・エル・サラスファス、第七魔法師団長だ!!」


すると魔法使いたちに同様の動きがある。


「俺はエフィン伯爵家当主だ、助けてくれ!!」

「私は西方軍務大臣だ、何とかして助けろ!!」


レシュゲルの叫び声に応じて、ほかの人たちも身分を明かして助けを求める。


だが魔法使いの動揺は広がるばかりだ。


それもそうだろう、なにせお偉いさんが獣人に捕まっているのだから。しかも人質にされているので魔法を放つことができない。


「殺傷力の低い魔法を放て!!」


この状況に対して現場の指揮官は俺たちが死なないように弱めの魔法を放つように指示する。


だがそれでは。


「「「「「「「「「ガァアアアアアアアア」」」」」」」」」


弱い魔法など気にせずに突き進む獣人達。


魔法により多少は勢いを殺すことはできても止めることはできない。


「っ戦士は前へ出て敵を食い止め、魔法士は後ろに下がりそれの援護をせよ!!!」


指揮官の命令で獣人を止められるように指示を出す。


「「「「「「「「「ガァアアアアア!!!」」」」」」」」」

「「「「「「「「「おおおおおおお!!!」」」」」」」」」


そして両者が激突するのだが。舞ったのは人族(ヒューマン)だけだった。


三方向から堅いものがぶつかり合う音が聞こえてくる。


『どうする?』

(っち、イピリア、俺に『身体強化』をした後、お前の雷で台車だけ壊せるか?)

『了解じゃ』


イピリアが消えると『身体強化』が発動するのがわかる。


スッ


つぎに台車を壊そうとするときに首元に手を当てられる。


「***、****」


その正体はいつも関していたハイエナの獣人だ。


『どうする?』

「**、****」


イピリアの念話と同時にハイエナの獣人が話しかけてくる。


(なんでそんな表情をするんだ?)


ハイエナの獣人の表情はどこか懇願するような表情だった。


(殺させないでくれ、か、邪魔しないでくれ、か、それともはたまた別の意味か、まぁ、こんなタイミング逃す手はないな、イピリア台車を破壊しろ)

『了解じゃ』


グググ


イピリアに命令した瞬間に首に力が籠められる。


(くっ、イピリア早くしろ)


窒息死しないうちに台車を壊してもらうしかない。


『【雷鳴】!!』


台車が大きく揺れる。


そして破壊音が響き、檻が投げ出される。


(よし!!これで拾われて、獣人の捕虜を取れていれば)


何も問題ない。


ガシッ


すると檻を掴む手が見えた。


バギッ


手早く檻が壊されると、檻の中から引っこ抜かれる。


(っなんで!?)


俺を抱えているのは、あのハイエナの獣人だ。


「な、ん、で」


痺れるからだから何とか声を出す。


「****、****」


悲しそうな声を出しながら走る。


「*****!!」

「******!!!!」

「****!」


他の獣人からは何か言われているが無視して、俺を抱え続ける。


(本当になんでかな、イピリア、この女に雷撃を与えてくれ)

『了解じゃ』


次第に俺の体が帯電していき、それと同時に放電していく。


「***!?」

「****!!!!」


周囲は騒ぐがハイエナの獣人は俺を離さない。


「いい、かげん、にし、ろ」

「!?」


たどたどしいがフェウス言語で話しかけられる。


「き、がい、は、くわ、ない、しず、か、して」


たどたどしいが言葉を話せる。


(……イピリア、信じていいと思うか?)

『殺すつもりなら、とっくにやっておるであろうよ』

(そうだよな……雷を止めてくれ)

『いいのか?』

(ああ、話ができるなら無事に解放してくれるかもしれない)


もしここで逃れることができたとしても捕虜にした獣人が魔力が使えない状態のことを知らない可能性がある。なので話ができるなら交渉してこの状態を解除したい。


『了解じゃ』

「いい、こ。******!!!!!!!」


雷撃が止まるとすぐさま周囲に何かを指示する。


すると何名かの獣人が何か筒状の物を放り投げる。


カラン、フシューーー


筒状の物が地面に転がると白い煙が噴出し、辺りを包む。


(……煙幕か?)


息苦しさもなければ、目にも沁みないし、咳も出てこない。純粋に視界を塞ぐための物だろう。


それからも進むごとに筒を投げつけていく。


「****」

「*******?」

「*****!!」


なにか周囲で不安視する声色が聞こえる。


「*****!!!」


そしてそのたびにハイエナの獣人は何かを伝える。


だが周囲の顔色は良くならない。


なにせ軍の中を突っ切っているんだ、少ないが死人も出ている。


「ガッ!?」


また一人槍に貫かれて絶命する。


「っ******!!!!!」


ハイエナの獣人が何かを叫ぶと、どこかから獣の叫び声がする。


それを聞くと獣人が聞くと全員が嬉しそうにする。


「ガァアアアアア!!」

「オ゛オ゛オオオオオオオオオ!!!」


獅子の青年に答えるよう叫び声が上がる。


何とかそちらの方を向いてみると、こことは別に戦塵が上がっている箇所がある。


(イピリア、アレは先導している獣人なのか?)

『いや、違うのぅ、あれは儂らが来た方向と反対側から攻めているようだの』


つまりは小規模だが挟撃を行っているわけだ。


「*****!!」

「「「「「「****!!!!!!!!!」」」」」」


獅子の青年が何かを言うと、全員が死力を尽くして前進する。


先陣にいる獣人達は文字通りの獅子奮迅の活躍を見せて活路を開いて行く、それも後方の人員に負担を掛けないほどに。


(ほかにも……)


「***、****!」

「「*******」」


ハイエナの獣人が指示を出し、数名が走り特定の集団に襲い掛かる。


(的確に指揮官がいる部隊だけを狙っている。だから周囲の兵士はどう動いていいかわからず混乱しているわけか)


証拠に魔法士は後ろに下がろうとし、剣士は前に出ようとしてぶつかり合う。


そしてそれを整理しようとしているのが指揮官なのだが、それが摘み取られていることでうまく動けていない。


(功績で考えるなら一番があの獅子の青年で、二番目がこのハイエナの獣人だな……っと何を考えているんだ俺は)


ゼブルス家では盗賊や大型魔物討伐、貴族同士の戦争での戦功序列を考えることもあるので癖でやってしまった。


「*****!!!」

「「「「****」」」」


(にしても、本当に適格だな)


今も大規模な魔法を用意しようとした部隊に手下を差し向けている。


(正直部下に欲しいくらいだ……だが、なんだこの視線?)


視線は俺ではなく彼女に向けられたものだが、その視線は称賛ではなく侮蔑の色を含んでいる。


「*****!!」

「ッチ、****!!!」


ハイエナの獣人が指示を出すと舌打ちしてから行動に移る。


(……先陣を切っている獣人とは折り合いが悪くて、後方で指揮官を潰している獣人は素直に来てくれている。どう考えても内部分裂だよな)


従う者と従わない者、軍事ではこの線引きは非常に重要だ。


戦時に置いて命令違反は処罰に値する。それも死刑に相当する場合がほとんどだろう。


ハイエナの獣人は優秀な指揮官だとみていれば分かる。だが、その彼女が自分の部隊を掌握していないとは思えない。つまりは違う部隊だと考えるのが一番しっくりくるな。


(けど、なんで侮蔑なんだ?嫉妬とかならわかるのだが)


功績を上げて妬まれるのは理解できるが、功績を上げて侮蔑はよくわからない。


それからも戦闘の獅子の青年とハイエナの彼女の活躍でどんどん奥に入っていく。


「ガァアアア!!」

「オ゛オ゛オオオオオオオオオ!!!」


先ほどから何度も咆哮のやり取りがなされる。


(イピリア、上からの視点を教えてくれ)

『断続的にだが、いいか?』

(頼む)


イピリアに頼み込んで、空から何度も写真を映し出してもらい、現状を把握していく。


(すでにこの集団は軍の中央部まで突破している。反対側の獣人の軍団は三つの槍に似た陣形で突撃中か)


規模に関しては少々少ないが、獣人の性能を考えて均衡を保てるレベルだろう。


それがあと数百メートルと言った距離まで近づいてきている。


「*******!!」


すると最前線にいた獅子の青年とその護衛らしきヒョウとチーターの獣人がこちらにやってくる。


「***、**?」


獅子の青年がハイエナの獣人に何かを訊ねる。


「*************」

「******」

「****、*******?」

「!?*****!!」

「**********!!!!」


なにかを対話をするとチーターの獣人を残して、獅子の獣人とヒョウの獣人は数人を連れて進行方向から外れていった。


(イピリア、こいつの進行方向の先には何がある?)

『ふむ…………なにやら大声を上げている奴らのいる方向だな』

(大声?ということは指揮官の場所か)


今でも突破できそうなに、わざわざ、それらの指揮官を狩りに行く必要があるのか。


「******!!」

「***********!!!!!!!!」


ハイエナの獣人は、残ったチーターの獣人に指示を出す。相性は良くないようだが、渋々指示に従う。


そしてチーターの獣人が前線に戻ると、再び集団が前進し始める。


「****!!!」

「「「「「「「「「「「*********!!」」」」」」」」」」」


そして動き始めるとそれはもう一度大きな動きになる。


そして最後の小隊を蹴散らすと反対側の獣人の軍団に合流する。


「*******!?」

「******!」

「********、******!」


俺達の集団は統制の取れた軍団に覆われるように保護される。


「うっうっうっ」


数多くの獣人が戦場にもかかわらず涙を流す。


「*******!!」

「****」


するとチーターの獣人がハイエナの獣人に何かを伝えると先陣にいた部隊を連れて獅子の青年の進んで方向に向かう。


(さて、俺はどうなることやら)


保護された集団は軍団の波に逆らいながら戦場から遠ざかっていく。

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