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なぜ彼は攫われたのか

4/10まで12時・19時の毎日二話投稿いたします。


読み飛ばしにご注意を。


※この度再投稿することにいたしました。もしこの作品のブックマーク、評価してくださっている皆様はもしよろしければ再投稿先でもお願いいたします。


変更点などはあらすじに記載しておりますので、参照ください。


再投稿先はこちらのURLとなります。

https://ncode.syosetu.com/n5978gw/

ガラガラガラガラガラガラ!!!!!


「で、急にどうしたんだか」


夜が明けると、すぐさま檻が台車に乗せられて、昨日までとは違い、急速に走り出した。


「****!!!」

「******!!!!」

「***、******」

「******!!!!!!!!」


台車を引いている数人の獣人が何やら口論している。


(本当、言葉が聞ければ、どれだけよかったか)


今は様子を見てなんとなく察するしかない。


(急速に移動しているのは危険が迫っているからだ。食料が思いのほか少なかったから急ぐということもあるが、それなら朝食で豪勢に食うわけがない)


獣人たちが遠慮なく食べていたことから食事にはとりあえず困ってはいないだろう。


では急ぐのには他の理由がある。


(まぁ妥当なのが、外敵の存在。魔物の領域に入り込んでしまったら納得できる)


魔物の領域とは一定勢力の魔物が住み着いている地域のことを指す。


そしてその中に入り込んでしまえば、魔物の集団に囲まれて袋叩きにあう。統率の取れている魔物ほど危険なものは無い。


かく言うゼブルス領にも何か所かそのような場所が存在している。もちろん例外を除いては立ち入り禁止地としてだ。


(そう考えると神樹ってチート染みた存在だよな)


エルフに最適な環境を良い委することができて、株分けである聖樹を植えたらより範囲が広がる。


(それに領域には必ず上位種や変異種がいるから、下手な人員を送り込むと死ぬ)


なので領主としては頭痛の種でもある。


そして獣人が逃げるのにはもう一つ考えられる


それが


「追手かな」

「なっ!?それは本当か?」


隣にいた男が声を聞いて声を上げる。


「ええ、こうして急ぐ理由はそれかもしれませ」

「おーーーーーーーーーーーーい!!!!!ここだーーーーーーーーーーーー!!!!!!たすけてくれーーーーーーー!!!!!」


説明している最中に大声を上げて、男は居場所を伝えようとする。


「おーーーーーーい!!!!!!!!!」


(ばかだろ)


逃げている最中にそれを邪魔しようとするとどうなるのか


「*****!!!!」

「************!!!!!!!!!!!!!!」

「なっ、おい!!やめ!?っ――――」


台車の横にいる獣人は檻に獣化した手を入れて男の喉を切り裂く。


「******?」

「******、********」


獣人は何事もないように並走していく。


(ダメだな、下手に騒げば即座に殺される。やっぱ機を待つしかないか)


どこかから爆発音が聞こえてくる。


(爆発……追手の確率が増えたな)


魔物が爆発を使うことはまずない、よって先ほどの爆発は魔法でる可能性が出てくる。


(さて、このまま逃げ切れられるかな)


するともう一度爆発音が聞こえるのだが。


(??少し離れている?)


その後も爆発音が続くのだが、少しずつ音の大きさが小さくなっていく。


「****?」

「*******」


台車を押している獣人が何かを会話すると笑うのが見える。


(つまりは逃走成功か)


そのまま揺られながらどこかに連れて行かれる。







夜になり、追手を巻いた獣人が合流すると所々で喜びの声が上がる。


(奴隷で劣悪な環境でいたのにこの元気を持っているのか)


合流した獣人の中には襤褸を着ている奴隷もいた。なのに追っ手を引きはがせるほど体力が回復している。さらには戦闘跡らしき血しぶきがついている奴隷すらいる。少し前までは劣悪な環境にいたとは到底思えない。


ジィーーーー


(またか)


そんな獣人を観察している俺も、また監視されている。


(毎度毎度何なんだよ)


毎夜こう見られれば落ち着かない。


(にしても、本当にどうなるんだろうな)


他の檻の中には成人男性、身なりからそれなりの地位があると予想できる。


(蛮国とやり合っているクメニギスの重鎮を攫うのはリスクがあるけど理解はできる)


人質にしてもいいし、単純に邪魔な存在を攫う。上をが攫えば下は荒れていくからな。


もちろんリスクとしては、獣人がより危険と判断されて本腰入れて戦争に乗り出すかもしれない。


(そうなれば確実にエルフと同じような問題に発展するな、しかも獣人は恐れられてはいないから容易に戦争になりやすい、か)


クメニギスが獣人を攫って奴隷にしている。エルフよりも脅威に思われていないのでそうなっても何もおかしくない。


(だからこその人員を絞ったともいえるか、女子供まで攫ったらどれほど風評被害が出るか……まぁ獣人が奴隷にされている時点でお互い様か)


そう考えるとあいつらは攫われても文句は言えない。


だが俺は?


(俺はグロウス王国から来た留学生、ゼブルス家の嫡男にして、イドラ商会会長、陛下から信望の熱い人物……かどうかは知らないが有益な使い道がある人物ではあるだろうな。問題は獣人が俺のことをどこまで知っているかだ)


グロウス王国からの留学生と言うことで攫う線は薄い、なにせ争ってもないし、何よりグロウス王国は奴隷を禁止している……裏では一切ないとは言わないが。


ではゼブルス家嫡男という観点からか?だがそれも微妙だ、ゼブルス家の縁者を攫う理由がない。あるとして食料が輸入できないようにするためのカードだが。そんなものクメニギスからしたら、ダメージなどない。


ではイドラ商会会長?、これこそ意味が解らない。今回の襲撃に何のつながりもない。


他にはあるとすればマナレイ学院に泥を塗るためとかだが、そんなの他の人を攫えている時点で全く意味がない。


(ほんとう……なんで攫われたのだか)


この夜も頭を悩ませながら眠りに落ちる。

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