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学院にて

4/10まで12時・19時の毎日二話投稿いたします。


読み飛ばしにご注意を。


※この度再投稿することにいたしました。もしこの作品のブックマーク、評価してくださっている皆様はもしよろしければ再投稿先でもお願いいたします。


変更点などはあらすじに記載しておりますので、参照ください。


再投稿先はこちらのURLとなります。

https://ncode.syosetu.com/n5978gw/

「放してください!!!!!!」

「その体じゃ無理だよ!?奇跡的に瓦礫の隙間に挟まったからいいものの、普通に考えればぺしゃんこだからね」


獣人は門を崩すため無茶したようで門はかなり大規模に破壊されていた。いくらステータスが高いとしてもあまりにも大量の質量に押しつぶされればただでは済まない。


だが幸いにもリンがいた場所は大きな瓦礫の間のようで命は助かった。


「ですが、バアル様が攫われたのですよ!!!!」


ベットの上で動かない体に鞭を打ち起き上がろうとする。


「無理よ。左腕は潰れ、肺には肋骨が刺さり、右足はちぎれかけて左足は膝から曲がっていたんだ、学院の魔法でなんとか治ったけど今すぐは無理。リハビリを行わないと、後遺症が出るのよ」


壊れた体はマナレイ学院が総力を挙げて治してくれた。だが、今回のように肉体欠損がある怪我の場合、怪我をする以前に戻るにはリハビリをしないといけない。


これを怠ってしまえば、修復した箇所が十分に機能しなくなる。腕を生やせば、ろくに動かなく、足を直せばろくに走れなくと言った具合に。


「それにバアルの行先がわからない以上はとりあえずは安静にしておくべきだよ」

「ですが!!」

「落ち着きなさい、探しに行くにしても、今の体で?どう考えてもバアルの足手まといになるのは目に見えているでしょう?」

「っ」


たしかに今のままでは十分な戦力としては見られることはない。


「それに、バアルの捜索はマナレイ学院が全力を挙げて行う。見つかるのも時間の問題だろうね」

「!?なら、私もそこに、っ」


立ち上がろうとするが腕に裂けるような痛みが走る。


「言わんこっちゃない、治癒した体は言うなれば取り換えたばかりの体なんだよ、少しずつ体に慣らしていかないと」

「でも!!」

「だ、か、ら!!!最後まで聞きなさい!!!!」


ゴンッ!!


ロザミアの頭突きで強制的に寝かされる。


「いてて、聞いて、確かに捜索は行われる、だけどそれは捜索の得意な人員のみでよ、そしてそこに私たちが入ることはできないわ」

「っなら」

「落ち着きなさい、本題はここからよ」


そう言うと、一つの紙を取り出す。


「いい、今回の襲撃は獣人による同胞救出。つまりは多くの救助者がいる、それはつまりどうやっても動けば見つかりやすい」


身体や数が多くなれば見つかりやすくなるのは当たりまえだ。


「だから最初に捜索に長けた先遣隊を出すの。そして次が本命、実力の長けた人たちが集められた実働部隊が先遣隊を追いかけて、襲撃者に追いつきバアルとほかのみんなを救出する。だけど実働部隊を編成するのには時間がかかるの。なにせ襲撃してきた獣人に加えて、逃げ出した獣人の奴隷も相手にしなくちゃなんないから」

「……どのくらいで編成し終わりますか?」

「正直なところわからない、こればかりは人と物資が集まる時間によるから、けど獣人は町の倉庫から大量の食料も盗んでいったから早くて1週間はかかると思っていいと思う」

「なら、私もそこに」

「残念ながら、ドクターストップだ。リンの様子からだと最低でも4か月は安静にしなくちゃダメだ」

「そん、な」


それではとてもじゃないが間に合わない。


「そう悲観しないの、この三か月という期間は普通の(・・・)治癒士の見解だよ」

「……どういうことですか」


ロザミアさんの言い方だと、普通じゃないやり方もあると聞こえる。


「私が持っている特殊な手段の一つを使えば、まぁより早く治ることは間違」

「お願いします」

「逸る気持ちがあるのは分かるけど、もう少し落ち着きなさいよ」

「無理です」


私は当然ながら即答するのだが、その様子にロザミアとノエルはため息を吐く。


「説明ぐらいは聞きなよ……激痛を伴うけど大丈夫?」

「問題ない」

「即答だね、じゃあ……いくよ」


右手が足に左手が瞼の上に乗せられる。


すると


「【再現しろ】」

「が、あああああああああ!!!!!!!!!」


触られたところから今まで感じたことのないような激痛が走り、脳内には何かの映像が見えた。


「リンさん!?ロザミアさん!!」

「わかっているよ」


ロザミアが手を放すと嘘のように痛みは消えた。


「い、今のは」

「まって一からちゃんと説明してあげるから」


そう言うとロザミアは深く椅子に座りこむ。


「まず、欠損を直した際に、なぜリハビリが必要なのかというと、感覚を慣らす必要があるのよ」


それからの説明では。


どうやら腕や足は元に戻ったわけではなく、新しく生やしたと言った方がしっくりくる処置をされている。


なので治した部位は新品同然と言える、なので治して直ぐに激しく動いてしまえば、それはすべての刺激に対して異常に反応したり、イメージの動きと実際の動きの齟齬、下手をすれば感覚の鈍化などを引き起こしてしまう。


しかもそれらは治ることなどせず、永続的にだ。


故に欠損が起きた際には長い時間をかけて、感覚を馴染ませていかなければいけない。


その期間が大体三~四か月とされているようだ。


「そしてなぜ、三か月という期間が制定されているのかと言うと、考案されたリハビリをすべて行うとそれくらいの期間がどうしてもかかってしまうからさ。そしてリハビリだけど、これは刺激を順序だてて経験していく内容になっている、すべてのリハビリを終えれば感覚のチューニングが終わったと言ってもいいよ。そして私がやったことだけど」


もう一度足に触れられる。


「そして私がやったのはリハビリの再現よ」

「どう、いう、こと」

「簡単に言うとね本来受ける刺激とその時の映像を瞬時に流してあげたの、これは10項目のリハビリ内容ね」

「……ちなみに何回これをやればいいのですか」

「ざっと、日に20回」

「っ」


あの痛みを20回も……


「あ~勘違いしないでね、普通のリハビリならこんな激痛は来ないから。あくまでこれは凝縮した分普通の痛みが何十倍にもなっているからだよ」

「……ではそちらでお願いします」

「いいのかい?下手すれば心が死ぬよ?」

「それがいち早くバアル様の元に行けるなら」


迷うはずがない。


「了解だ、では処置を始めていくが、やめたくなったらいつでも言ってくれ」


そういいロザミアは再び手足と瞼に手を添える。


「【再現しろ】」

「が、ああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


この日から学院の一部から絶え間なく絶叫が走ることになる。

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