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囚われたからってじっとはしていない

大変長らくお待たせしました。第八章の投稿を始めます。


4/10まで12時・19時の毎日二話投稿いたしますので読み飛ばしにご注意を。


※この度再投稿することにいたしました。もしこの作品のブックマーク、評価してくださっている皆様はもしよろしければ再投稿先でもお願いいたします。


変更点などはあらすじに記載しておりますので、参照ください。


再投稿先はこちらのURLとなります。

https://ncode.syosetu.com/n5978gw/

ガタ、ガタ、ガタン!!


「っ~、もう少し丁寧に運べよ」


さて、現在俺、バアル・セラ・ゼブルスは(つた)の手錠を嵌められ、木製の檻に入れられている。


ガタン!ガタガン、ガタン!


檻を載せた台車が爆速で道を進む。だがスプリングなどは存在しているわけもなく振動がダイレクトに伝わっていて、何度も舌を噛みそうになり、天井に頭をぶつける。


「****、******?」

「*****、**********」


檻を運んでいるのは、聞いたことのない言語を喋っていて様々な獣の特徴を持つ獣人(けものびと)という人種だ。


「くそ!!おい!!!!俺を誰だと思っている、お前らのような蛮族が触れていい相手じゃないんだぞ!!!!」


台車の上には他にも檻があり、その中には同様に拘束された人物がいる。


「****!!!!」

「がはっ!?」


その豪華な服装を着ている人物は、うるさかったらしく棒で叩かれている。











(本当に何でこうなるのかな………)


事はマナレイ学院の研究発表で起こった。研究発表の際に獣人が乱入、場をかき乱し数人を拉致、現在どこかに逃走中。俺は最悪にもそれに巻き込まれてしまった。


(手際から考えてかなり前から計画していたはずだ………ルナの奴に賠償金でも請求してやる)


こういう時の人員のはずなのに役に立ってない。セレナの比じゃないほどの大金を請求しても文句は言われないはず、いや言わせない。


(進む方角は詳しくは分からないが、西方向か)


残念ながら拉致された時には気を失ったので、攫われてから目を覚ますまででどこまで来たのかはわからない。


唯一分かるのは日の登り沈みで西に向かって進んでいることがかろうじてだ。

















そのまま檻に閉じ込められたまま、どこかに向かって進むのだが、獣人がいくら速いと言ってもそんな数日でたどり着けるわけがない。


なので当然、時間が立てば夜になる。


「*****」


獣人の一人が檻の中にクッキーに似た何かを置いて行く。


「んぐ(味は案外好みなんだよな)」


柔らかいクッキーではなく、固く。甘いわけではなく、塩味が利いていて、さらには肉らしきものも入っている。


もちろん本来なら食うべきではないが、とある事情で食わざるを得ない。


「………」

「……なんだよ?」


時たまに檻の外にあの時のハイエナの獣人が監視に来るんだ。


「安心しろよ、魔力(・・)の使えない今、抗うつもりはないから」









どうやらは寝ている間に俺の体に何かしたようで現在魔力を使用できない。


具体的に説明すると魔力をうまく操作できない、例えると全身麻酔を打たれているような感覚だ。


それは体外で発動する魔法も、体内で発動する身体強化も、スキルの(アーツ)も、果てはユニークスキルまで使用できない。


(まさか、ユニークスキルを封じる方法があったとはな)


なにか痕跡はないかと体を調べてみたら腕の一部に針を刺したような跡があった。おそらくこれが原因だろう。


そしてこれが食料事情に関係する。


(『亜空庫』が開ければ、食う必要もないんだがな)


なので仕方なく、獣人が用意した食料を食べている。


(攫った以上は使い道があるはずだ、それがある間は殺される可能性は退くと考えていいだろう)


こういった理由から毒が仕込まれている可能性は少ない。


またこの食事が魔力が使えなくさせる可能性も考えて最初の1日は何も食わずにいたのだが、魔力が使える気配はなかった。


(なので食事が原因ではない……とは考えられないが、現状だともしも逃げ出すときに体力を残しておかなければいけないから断食はしないほうがいい、それに)


ギヂィ


ほんの少し手に力を入れると蔦が軋む音がする。


(全力を出せば手錠も檻も素手で壊せなくはない、機を見るのが一番だろう)


やろうとおもえば魔力が封じられている現状でも抜け出すことはできるはずだ。







ジィーーーー


「だから、なんなんだよ」


さっきからハイエナの獣人に見られて落ち着かない。


「******?」


すると俺を拉致した蛇の獣人が現れる。


ハイエナの獣人と裏腹に真っ白い肌に、白銀の髪をしており、目つきは鋭くまさに蛇というにふさわしい。


「******、*******」

「*****」

「**************」

「*************」

「********************」


なにやら目の前で会話が始まるが、言葉が理解できないので、内容など知りえるはずもない。


(しかし、俺を拉致した理由は何だ?)


他の檻に入っている人物を見て考える。拉致されたのは成人した男性のみ、子供もいなければ女性もいない、しかも言動や身なりから結構な立場の人間だと判断できる。


(………とりあえずじたばたしても始まらないか)


檻の中で楽な体勢を取る。


(やることは大まかに三つ。一、身の安全の確保。二、現在地の把握。三、魔力が使えない理由の解明)



一つ目の安全の確保は言わずもがな。


二つ目は逃げるための布石、現在地がわからなくて帰れないなんて笑い話にもならない。


そして三つ目だが


(まさかとは思うが魔力を封じる方法が永続だとは思いたくない)


一生魔力が使えないなんてことになれば笑い事ではない。


(ま、そんな方法は未だに発見して…ないんだけどな……)


楽ない体勢を取っているからか徐々に眠気が襲ってくる。


(はぁ~リンやノエルはどうしているかな?俺を守れないから自決なんてことは……そんなことはしないか、するなら一人で蛮国にでも突っ込むぐらいか)

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