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思わぬ答えが思わぬ場所から

「ああ゛!!くそっっ!!!」


外に出ると頭を掻きむしる。


(なんで思いつかなかった!?火魔法のことを考えれば、何もないところで燃焼現象が起こる!それはつまりだよな!!)


狼狽している理由は火魔法の発動条件に合った。


(中性子を直接飛ばしている、ということは中性子線、つまりは放射線の一種じゃねぇか!!!!!!)


中性子線は原子力発電で放出されている危険性がとても高い放射線だ。


そしてその性質は水やコンクリートで防ぐことができる。


それはひとえに水素が中性子線を減速させ、いずれは遮蔽してくれるからだ。


だがそれで安心はできない中性子線を含んだ水素は中性子の数が多くなるとベータ線を発することになり、その後に不安定な原子核からガンマ線すらも出てくるようになるからだ。この二つはがん細胞を誘発するほかに細胞の染色体を損傷させることもある。


「少量だから大丈夫と思いたいが、くそっ!!」

『なんじゃなんじゃ、さっきからうっさいのぅ』


俺が荒れているのを感じたのかイピリアが出てくる。


「ようがないなら寝ててほしいんだが」

『魔力が荒れ狂えば眠れるもんも眠れんわい、それよりも何があった、今まで感じたことがないくらい魔力が揺れているが?』

「ああ、まずいことになった」

『どのような?』


ちらりとほかの三人を見ると、リンとノエルは気にせずにいてくれるが、ロザミアが変人を見た表情になる。


(まぁ客観的に見れば、ひとりごとで会話しているやばい奴だからな)


それを考えると、少し冷静になれた。


『実はな―――』


念話で何が起こったかを説明してやる。







『はぁ~~~そんなことか』

『そんなことってなんだよ、下手すれば今にも何らかの影響が起こってもおかしくはないんだぞ!!』


目の前にいるイピリアの能天気さには怒りを覚えそうになる。


『最初に言っておくがそれは杞憂じゃぞ、なにせお主で言うと中性子線とやらや放射線は表面にはびこっている魔力ですべて防がれているからのう』

「…はぁ?」

『じゃからのう、火魔法の時に放たれるその粒は魔力に当たると受け止められて無力化されるんじゃよ』

『だが、それだったらガンなどは発症することはないのか』

『なわけあるかい、魔力が無くなったらそりゃ粒の攻撃は受けるだろうし、たとえ魔力があってもあまりにな数だったら突破されることもあるわい』


魔力が中性子を吸収できる、また新しい性質が出てきた。


『ほかにも魔力を持つ生物はみな細胞一つ一つに常在魔量があるから、基本は放射線の影響はないと思えばよい』

(なるほど、だとすると魔力が中性子という考えはおかしくなる、なにせ常に細胞内に余分な中性子があることになってします、ならどう考えても考えが合わない)

「お~~い、そろそろいいかい」


イラついたり、戸惑ったり、考え事をしたり、とせわしなく動いているとロザミアが声をかけてくる。


「まず何があったかを説明してほしんだが?」

「あ~なんていうべきか」


説明に困っていると視界の隅でやれやれと首を振っているイピリアがいる。


『儂を顕現させろ』

『いいのか?』

『問題ない』


ということでイピリアに魔力を流し顕現させる。


「うわっ、これ何?」

『これとはなんじゃ、これとは儂はかつて精霊王になったことがある【|虹掛け雨蜥蜴≪イピリア≫】だぞ!!』

「精霊?」


反応に困ったのかロザミアがこちらに振り向く。


「まぁよくわかんない存在だな」

「へぇ~興味深いね」

『その実験体を見る目をやめい、それより、先ほどバアルが荒れた件じゃが』

「ああ、それね、一瞬気が狂ったのかと思ったよ」

『まぁ何も知らなければ、そう思っても何もおかしくないじゃろう』


まぁ、そこは俺も同意だ。


『なんで、バアルが取り乱したか、それは我が与えた知識が原因だ』

「えっと」


ロザミアが真偽を確かめる視線を向けてくる。


『とりあえずは頷いておけ、お主の知識は儂から知りえた知識とすればよい』


イピリアの思惑に乗ることにした。


「ああ、その通りだ、イピリアがあらかじめ教えてくれていた知識で少し混乱した」

『まぁ要するにじゃな』


俺からイピリアに知識を渡し、それをロザミアに伝えることで、俺からの情報ではないとカモフラージュができる。


さらに言えば、イピリアは常に俺の周りにいるし、念話で人前でも知識の受け渡しができる。


『―――ということで中性子はとても危険なのじゃ』

「????」


ひとまずどういった事態化を教えてが知識がないおかげでロザミアは混乱するばかりだ。


「えっと、ようやくすると火魔法を使うと、魔力が目に見えない粒になって燃えない要素と衝突し薪替わりの役割になる、そして素早く熱を作り出して燃焼を起こすと?」

『その通りじゃ』

「だけど、その粒が体にとてつもない悪影響を与えるから、バアルは困惑したと?」

『うむ』

「だけど、イピリアちゃんに表面にある魔力でそれを防げると聞いて、ひとまずは落ち着いた、これで間違いないですか?」

『ちゃ、ちゃん?!んん、まぁその通りじゃな』


ひとまずは辻褄が合う説明となった。


「……イピリア先生」

『……先生?』


何を思ったのかロザミアはイピリアを先生と呼んで頭を下げる。


「どうかお願いします、私にもその知識をご教授ください」

『………(どうする)』


イピリアが視線で問うてくる。


『気分次第とか言っておけばいいんじゃないか?』

『それもそうじゃな』


とりあえず二人で念話会議をし、適当にはぐらかしておくことにした。


『それは気分次第で』

「ではその気分になってもらうにはどうしたらいいでしょうか!!」


イピリアが煙に巻こうとするのだがロザミアがそれを許さなかった。


『……なんで、そこまで知識を求めるんじゃ?』

「??これは異なことを、私は探究者です、すべての真理をを知りたいと思うのは当然じゃないですか」

『ふぅ~む………ではこうしよう』


イピリアがこちらを見て何かを思いついたようだ。


『儂の知識はバアルにしかやらん』

「そんな!?」

『最後まで聞け、だがバアルに授けた知識はバアルの物でもある』


あ、こいつ。


『誰かに教えるのもよし、秘匿して独占するのもよし、全部バアルの自由じゃ』

「なるほど、わかりました」


俺に擦り付けやがった。


『じゃあ、儂は眠るからのう』

「その前に先生は魔力が何なのかわかっているのですか」

『ああ』

「「は!?」」


これには俺もロザミアも驚く。


『まぁ細かくは言えないが魔力とはなんにでもなれる粒だ』

「?」


ロザミアは頭をかしげているが。


イピリアの言葉で一つの考えが浮かんできた。


『さて、よいか?』

「はい、先生ありがとうございました、どうぞ快眠を」

『うむ』


そういうと、イピリアが俺の体に溶けていく。


「さて、バアル、いや、先生と呼んだ方がいいかな」

「今まで通り呼び捨てで言い」

「では早速、イピリア先生からもらった知識を披露してくれないかい!!!」


目を爛々と輝かせて詰め寄られる。


(はぁ~~こうなったか)


それから少しの間、科学について講義することになった。

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