いや、なぜここに?
「バアル様!!!」
それからリンと合流するのだが。
その表情か鬼気迫る顔になっており、少しだけ怖かった。
「まぁ問題ないからよ「くないですよ!!なぜ護衛がいるのかお考え下さい!!確かに並大抵の相手ではバアル様にはかなわないでしょう!ですが汚い手を使われたらどうするつもりですか!何のために解毒できる私がいるとお思いで、バアル様はよく屋台で飲み食いをなされますが、その際に私が必要なのはご理解しているでしょう!!ほかにも――――」」
それからはかなりの精力を削られる説教をされた。
「ということで、これからは私や護衛を引き連れて行動してくださいませ」
「ハイ、ワカリマシタ」
「………それで何をしていたのですか?」
「いや、実はな」
リンとノエルだけを連れて人気のないところに行く。
亜空庫から例の大鎌を取り出す。
「これって………」
「ああ、あいつが持っていた大鎌だ」
リンと合流する前にモノクルで鑑定してみたのだが…
―――――
命刈鎌デスサイス
★×8
【ⅩⅢ死神】
アルカナシリーズの一つ。命刈る鎌は存在を持たない。いつの間にか現れ、いつの間にか体に触れ、いつの間にか冥界にいることになる。
―――――
まさかのアルカナシリーズの武器だった。
(外見もヴィクスが持っていた時のまんま………なんであの婆さんの倉庫にあったかは謎だが、なんにせよいいものが手に入ったと思っとこう)
なにせ物を透過して直接肉体に攻撃できるんだ、どれほど有益かは理解できるだろう。
「まぁこれの検証は後回しだな」
「…………」
「どうした、ノエル?」
「あ、いえ、何でもありません」
そうは言うが視線がずっと鎌に吸いついている。
「ほらさっさと行くぞ、変に勘繰られたらたまらん」
「「はい」」
「今日はありがとうございました」
「いえ、こちらも楽しかったです」
手配した宿の前でレインと別れる。
「おかえりなさいませ」
宿に残っている騎士が出迎えてくれる。
「今戻った、ほかの奴らは全員いるか」
「……いえ、ほとんどが未だに帰って来ておりません」
まだ日が出ているし、遊んでいるのだろう。
「騒ぎを起こした奴は報告しろ、明日に影響しそうな状態の奴も報告しろ」
「了解です」
騎士に休息させるように指示すると部屋に戻り、先ほどの大鎌を取り出す。
「やっぱり大きいな」
さすがに手に余るサイズだ。
「ふん!」
ブン!
ガッ
「は!?」
試しに振ってみたら壁に突き刺さった。
(なんでだ?)
収穫祭のダンジョンではリンの刀を透過して攻撃で来ていた、だがそれはこの武器の特性ではないようだ。
「となるとバベル同様に武具の技かな」
ちなみにだが武器に備えられている技は、持ち主のLvやスキルに関係なく、魔力さえあれば使用できてしまうものだ。
種類は多様で、唯一の物から一般的に使われている技もある。
リンの『風辻』や『嵐撃』、バベルの『神罰』や『怒リノ鉄槌』が最たる例だ。
「一度使ってみるか」
デスサイスに触り魔力を流そうとするのだが。
パァン!!
腕が破裂する幻覚が見える。
「っ!?」
瞬時に手を放す。
「今のは……(偶然…じゃないよな)」
あんな鮮明な幻覚、普通に見ることなどないはず。
「惜しいけど、亜空庫に入れっぱなしにしておくか」
コンコン
「いらっしゃいますか?」
亜空庫に仕舞おうとすると扉がノックされる。
「バアル様、食事の準備ができたとのことです」
ということで亜空庫に仕舞い、食堂に向かう。
「こちらになります」
現在泊っている宿は高級宿なので、食堂でバカ騒ぎなどはできない。
なので今回連れてきた兵士たちはそとの大衆食堂とかで飲み明かすしかない。
(ほんと、騒ぎだけは起こしてくれるなよ)
父上に同行したことがある物だけを連れてきたので、そこまで心配はないと思うのだが。アルコールが入ると人は何をするのかわからないから怖い。
「こちらが今晩の料理になります」
一人の給仕が料理の皿を運ぶ。
「お前たちは座らないのか?」
リンとノエルは背後に立っている。
「護衛ですので」
「侍女ですので」
「……」
なんか堅苦しい、セレナやクラリスがいればもう少し楽しめるんだが。
それからは黙々と食事を済ませて部屋に戻り、再び鎌を取り出す。
「どう検証しよう……はぁ~聞いてみるか」




