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思わぬ才能……でも令嬢にはあまり必要ないのだが

ギャアギャア

ブゥルゥウ

シューーー

ホゥオオウォ


中に入ると様々な獣の鳴き声がする。


「うるさいですね」

「ははは、ここはまだいいほうですよ、なにせ雑食か草食動物しかいないのですから」


つまりは肉食の騎獣はまた別の場所にいるらしい。


「雑食を混ぜても平気なのか?」


雑食は草食でもあるが、肉食でもある。


「実は雑食は生まれてから草や木の実のみを食べさせると肉を食べなくなるんですよ」


そのほかにもいろいろな育成方法を取り入れているので肉を食うことはまずないのだとか。


「それでレインがいつも乗っているのってどれだ?」

「……あれです」


ダクンが指さしたのは馬よりも二回りもでかいオオツノジカだ。


しかも角がより攻撃的になっており、大きく鋭く広がっている。


斧角鹿(オロンエルク)といいまして、あの斧のような角で大木を伐ったりする危険な騎獣なのですが……」


視線の先でレインが斧角鹿(オロンエルク)に近づいていく。


「さぁ、今日も遊ぶわよ!」

ヒュ~ン


レインが声をかけると、斧角鹿(オロンエルク)は動き出し、レインが乗りやすい体勢になる。


「……放っておいていいのか?」

「本当はダメなんですが、今までレイン様が攻撃されたことがないので」


視線の先ではレインが檻のカギを外し、そのまま外へ出ていく。


「………」

「それじゃあ、追うとしましょう」


呆然としている中、ダクンに連れられて放牧地に向かう。










「ひゃっほ~~~~~」

ヒューーーーーン


レインのはしゃぐ声と共に鹿の鳴き声が聞こえてくる。


「今更だが、レインって実はすごい奴なのか?」

「………判断しかねます、ですが、同じように何種類かの希少な騎獣を乗りこなせるので才能といえば才能かと」

「ユニークスキルとかではないのだよな?」


メイドに話しかけてみると首を振り否定される。


「じゃあ、あれを素でやっているのか…………」


突然レインが得体のしれない何かに見えてきた。










「あ~楽しかった~~~」


レインは楽しそうにしているが、俺たちは少し疲れた。


「レイン様」


メイドがレインに話しかける。


「あ~そうだね、バアル様」

「なんだ?」

「父さまにはあそこに行ったのは黙っててくれないかな?」

「なぜ」

「まぁ~、ほんのちょっと怒られちゃうから」

「レイン様は御当主様に騎乗するのは禁止されているからです」


……つまりは俺たちをダシにして遊びに行ったわけか。


「もちろん、今日のお礼はさせてもらうつもりだよ」

「いいよ、別段、隠すほどの事でもないし」


黙っているだけで恩を売れるなら問題ない。







一度宿に戻ると、ほかのメイドが晩餐の準備ができたと告げにくる。


護衛の騎士数名を引き連れてキビクア城に入る。


「バアル様ですね」

「ああ」

「ではこちらにお越しください」


執事についていくと晩餐の会場に連れていかれる。


「待っておったぞ」


中では長いテーブルに座っているレイフォン様。


「お待たせして申し訳ない」

「問題ない、それよりも席に着いたらどうだ」

「では、お言葉に甘えましょう」


対面する席に座る。


リンとノエルは扉の脇で控えている。


(これがセレナやカルス、カリンなら下手すれば中までは行ってきそうだな)


しばらく席についていると料理が運ばれてくる。


「では、バアル殿の息災を願って」

「私はグロウス王国の栄光を願いましょう」


レイフォンはお酒を、おれはジュースを口に着ける。

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