スキル研究発表
それからは迅速に事を済ます。
セレナに資料のすべてを与えて、あとは必要な部分を思い出させて情報の補填をさせる。
そして期日である日。
「終わりました!!」
セレナは疲れている様子もなく、資料を渡してくる。
「それじゃあ報酬お願いします!」
「少し待て確認する」
一通り確認すると、かなりの精度で補填がされている。
「いい出来だな」
「でしょ!廃ゲーマーを舐めないでもらいたいわね、ゲームに関しては何も見なくても攻略本を書けるぐらいよ!」
そう言って胸を張り自慢する。
(スキルのこともセレナの情報に合った、だったら)
「ちなみに聞くが、魔力やステータスの正体は知っているか?」
「????魔力は魔力、ステータスはステータスじゃないの?」
どうやらセレナもよくわかってないようだ。
「こうなんとなく認識できて、操れるものが魔力よね………う~~んなんかのサイドストーリーにヒントとかあったかな」
セレナも記憶を探ってもそれらしい記述はないという。
「まぁなんにせよ、仕事は終了だ」
「ありがとうございます、金貨30枚はそのまま借金の返済に充ててください!」
と言うことであっさりと穴埋めが終了した。
そして夏季休校が終わり再び学園が始まるのだが。
「ふぅ~~、う゛………う~~ん」
学園が始まると同時に学園長に呼び出されたらあれよあれよ話が進んで、入学式専用の式場を用意された。
(絶対、陛下が裏で手を回したよな)
その証拠に式場に様々な人物が座っている。
「陛下はもちろん、近衛騎士団長、副団長、初等部と中等部、高等部の各学園長、そしてその側近の教師、さらには他の騎士団長や王都冒険者のギルドマスター、ほかにも様々来ていますね」
「ぐっ~~~~おなかいたい」
先ほど挙げた人物の他にも、豪華な服装を着た人物が何人もいる。
中には異国の服装をしている人物もいる。
「さて、準備はいいですか?」
「……………」
「??フルク先輩?」
フルク先輩を見てみると、動かない
「……………気絶している」
様子を見てみると立ったまま気を失っている。
漫画で表すなら真っ白に燃え尽きた、と表現できそうだ。
「交代しかないな……」
フルク先輩がこんな感じではどうしようもない。
ステージが魔法で照らされて、一人の少年が壇上に上がる。
「こんにちは皆様方、この度は『スキル研究同好会』の研究発表の場にお集まりにいただきありがとうございます」
『スキル研究同好会』とは聞かぬ名だ。
部活ならまだしも同好会と言うことは碌な実績を証明できないということだ。
今回、友に呼ばれたのだが……どうなることやら。
「まず我ら『スキル研究同好会』の活動目的としてはスキルを明らかにするということです」
スキルを明らかに?スキルはスキルだろう?
「まずはスキルの前提について語らせていただきます。
スキルとは我々が生活している中で自然と身についています、ここで一つ不思議には思いませんか、何かをして技量が上がるのは納得できます、ですがなぜそれが数値化できているのですか?教会にある『神鑑の眼』や『鑑定のモノクル』ではスキルを測れます、ですが、その数値がどのように測られているのか、なぜその数値になっているかを私どもは知りません、それを解き明かそうとするのが私たちの活動です」
なるほど、面白い取り組みではあるな。
その後、ステージに何かしらの魔道具が運び込まれ、後ろに真っ白な大きな布が掲げられる。
「ではこちらをご覧ください」
魔道具らしきものを使うと、白い布に絵が写る。
「まず、スキルを理解するために我々は技について調べました」
それがあれだと?
「まず皆様方も理解しているとは思いますが、技とは武術の一つの型のようなものを再現するものです」
生きているのであれば必ず恩恵を受けている。
「ではなぜ、技が使えるのか、自身でも習ったことがない動きをできるのか、それはひとえにスキルの恩恵、いえ、ここでは仕業といいましょう」
すると白い布に細かい表が映し出される。
「私たちはスキルを解明するため、技を分析しました。ここに乗せたものはその一例です」
……なるほど。
各武術スキルの最初の技について詳細が書かれている。
「まず結論から言います。技には2種類存在します、それを私どもは『初期技』と『派生技』と呼称しています。初期技はスキルレベルとステータスのみを発動条件とすることができますが、それ以外の条件が必要になる派生スキルも存在することが確認されました」
ほぅ、これは初耳だ。
「派生アーツについては、私どもは技を調べる過程で、スキルレベル、ステータスの基準を満たしているにもかかわらず、特定の技を使用できない者がいることが判明、これについて調査をした結果、判明したものです」
……なるほど、その理由を調べたら、ほかの条件が出てきたわけだな。
それからどのような過程で判明したかなどを発表される。
「そして新たに獲得した『派生技』から、また新たな条件が加わってさらに派生していくのも確認しています。このスキルと技の関係を我々はスキルツリーと呼ぶことにしました」
一つのスキルで一つの技を覚えれば、そこからまた新たな技が覚えられるわけか。
「例えますと『デュアルスラッシュ』は、『剣術』のスキルが10以上で――」
それからいくつもの例を交えて、詳しく解説してくれる。
(ふむ、あの子と相性がよさそうだな)
脳内でとある生徒のことを思い浮かべる。
それから、様々な技やスキルについての供述がなされていく。




