表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
341/470

それぞれの学部

王都にに来てから数日後。


「それでは新入生代表――」


グロウス学園中等部の進級式にが始まる。


学園長がエルドとイグニアの名前を呼ぶと、二人は壇上に上がる。


(毎度思うがめんどくさそうだな)


進級式は学部ごとに行われるのではなく中等部へ進学する生徒全員を集めて行われる。


となると挨拶も成績が高く、血筋がしっかりしている生徒が行うのだが今年は二人の殿下が同時に進級してしまう。


最初にエルドが自身の派閥の生徒を激励し、次にイグニアが同じく自派閥の生徒を激励する。


「あれ?」


すると隣にいるセレナが疑問の声を出す。


「どうした?」

「いえ、アークくんたちが見えたんですけど、なぜだかオルドの姿だけ見えなくて」


セレナの視線の先を見てみると確かにアークたちがいるのだがその中にオルドの姿はない。


「進級試験に落ちたか」

「ですかね~?」


とりあえずオルドのことよりも周囲のエルド、イグニアの派閥を確認する。


式場は扇形に広がっており、中立派閥を挟んで壇上のエルド、イグニアの左右に合わせて派閥も分かれている。


となると左右どちらが人が多いかで派閥の大きさをはかることができる。


(若干だがイグニアが優勢か)


もちろん十分逆転される可能性はあるが、人が人を呼んで派閥はでかくなる。


誰だって勝ち馬に乗りたい、それゆえに元から人数が多いほうが優勢になりやすい傾向がある。


「あ、ユリア」


リンがイグニアの婚約者であるユリアを見つけたようだ。


一瞬を視線を送り、様子を確認する。


どうやら向こうも派閥の大きさをはかっているようだ。


「エルドは『魔術』学部、イグニアは『武術』学部か」


挨拶により、それぞれの学部が判明した。


「リン、セレナ、学園で取り込まれないように注意しろよ」

「はい」

「へ?」


リンはしっかりと理解しているようだが、セレナはわかっていないらしい。


「簡単に言うと、二人の王子がリンとセレナと同じ学部なの、となると当然二人はあなたたちを取り込もうとするわ」

「なんで?」

「バアルの直属の部下ってことで、うまくいけばバアル自身も取り込めるかもしれないってことに加えて、二人はユニークスキル持ちでしょ?フリーでも十分勧誘の対象になるわ」


全く持ってクラリスの説明通りだ。


「うへ~」

「嫌そうにするな、どっちにしろ深くかかわらなければ何も問題ない」


式が終わると、その場で解散となり式場を後にする。










「バアル様部活見に行きましょう!部活!」


式が終わり帰ろうとしているとセレナがそういってくる。


「部活か……いいかもな」


初等部では学園が終わると、そのまま帰宅し、イドラ商会から届けられている書類を片付けたり、要請がある場合はキラのほうを動かさなければいけないため時間がなかったのだが。


イドラ商会とキラの件に関してはこの二年で解決策ができた。


そのため部活などに時間をさけるようになった。


「では行きましょう!!」


そういってセレナに連れられたのは中等部の中心にある広場だ。


初等部のクラブとはまた違い、中等部の部活は正式に学園から部費が出る。


では初等部ではどうやって資金を賄っていたのかというと、実費や寄付だ。


クラブでは学園が居場所を貸し出すだけ、それであとは自分たちで好きにやってくれというわけだ。


そして部活だが成績と人数さえそろえることができれば部室を拡張したり、部費を大きく上がるため、人集めがかなり活発に行われている。


だから―――


「剣術部!剣で力をつけたいのならここにはいるべきだ!!!!」

「槍術部!安全な間合いを取って戦いたいならここだよ!」

「弓術部、ギルドでの小遣い稼ぎなどにも使える便利な部活だよ~」

「拳術部~武器がないとき戦えないと困るよね、そんなときには拳で戦うしかない!クラブに入ってなかった人も歓迎だよ」


といった風にお祭りもかくやという具合に帰り道すべてで呼び込みをかける人だらけだ。


「ここはまだいいほうですよ」


セレナの話だと、各属性魔法の部活はさらに躍起になって新人部員を確保しようとしているとか。


「魔法でパフォーマンスをするんですけど、当然各属性の優劣があるじゃないですか、となると得意属性に対して嫌がらせをしているんですよ」


少し気になって魔法方面に行ってみると、それぞれ高台を設置し、魔法で攻撃しあっている。


「燃えろカス!」

「凍らせて黙らせろ!」

「去勢してやるからじっとしていろ!」

「てめぇら全員つぶす!」

「邪魔すんなボケ!」


罵詈雑言が飛び交いながら、魔法も飛び交いお互いを攻撃する。


もちろん威力は調節しているらしく初級魔法しか使っていない。


「は~い、けがした人はこっちに来てね、光魔法で癒してあげるから~」


その中心で、『光魔法』の部活がけが人を介抱していた。


「お前ら、しっかりと受け止めろよ」

「「「はい」」」


外縁部では『闇魔法』部の全員が闇魔法で被害が出ないようにしていた。


「ああ、うん、やめておこう」


殺伐している雰囲気がでているので入りたいとは思えなかった。


「ここに入る奴はいるのか?」

「ええ、まあ、初等部のつながりなどで」


剣聖(ソードマスター)』からそのまま剣術部へ、『太陽槍(ブリュナーク)』から槍術部といった具合に初等部のクラブの延長線上にある部活に入るのが普通らしい。


もちろん魔法関係のクラブもしかり。


「ん?あっちはなんだ?」


横道を見てみると何やら細々とやっている集団がいる。


「あ~あそこは同好会の場所ですね」


当然ながら部活と認められない集まりもある、それが同好会だ。


「部活になるにはそれなりの実績などが必要になりますしね」


部員、実績を証明して晴れて同好会から、予算を支給される部活となる。


募集している場所も部活とは違い、細道の方角だった。


「『筋肉同好会』『美脚同好会』『美肌同好会』『遊戯同好会』『魔物同好会』『料理同好会』

『算数同好会』『歴史同好会』『鉱石同好会』『小麦同好会』『小技同好会』『宴会同好会』…………」


読み上げた中には妥当なものもあれば、ナニコレというものもあった。


……というかほとんどがナニコレに類するものだったが。


「まぁ、これは部活にはなれないわな」


どう考えても人員を集めうることも難しいし、実績を作るのだって不可能に近い。


『美脚同好会』や『美肌同好会』ってなんだよ、見る方なのか、それとも体を維持する方なのかすらわからん。


それにどうやって実績を作るつもりだよ、婦人方にでも売り込むのか?


リンが以前取った『高濃度保湿液のレシピ』がダンジョンから出てくるぐらいだ、一通りの化粧品などは出回っている中、資金も知恵もない状態で実績を作るんだよ。


さっさと同好会の範囲を出て部活のところに戻ろうとすると、一つの同好会に目が留まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ