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中等部へ

11/01~11/10まで毎日二話投稿いたします。


読み飛ばしにご注意を。

バタン


「さて、ではお話があります」

「ああ~私の癒しが~」


未練がましく扉を見ているが、今はまじめな話をする。


「エルド殿下、イグニア殿下両方とも他国に援助を求め始めました」


すると先ほどまでお茶らけていた、表情が引き締まる。


「援助の見返りは?」

「関税の緩和から始まり、多少の土地の割譲となっていますが、今後、両者ともに拮抗を保つのならどれだけの代償が必要になるかは不明」

「ふむ、ちなみに情報の出どころは?」

「父上もご存じのあの(・・)騎士団です」


ここ数年でグロウス王国国内では魔道具が一般的に普及したためほぼどこでも通信を行うことができるようになっていた。


そして国内の配備が終われば次は他国へ。


(現地から情報を得られる、これで他国よりも情報を集めやすくなったな)


そうなればわざわざ、国境を渡り情報を届ける必要など皆無となっている。


「わかった、ほかには何かあるか?」

「いえ、重要だったのでこれだけ先に報告に上がりました」


下手をすれば売国という罪状が出てきそうなほどの情報だ。


だが、どうやら口約束らしく物的な証拠が集まることはまずないらしい。


そのほかにもある程度の書類のことを父上の耳に入れて今日の仕事は終了だ。










「では行ってきます」


出発当日、屋敷の前には多くの人が見送りに来た。


「うむ、ではしっかり学んでくるように」

「ふふ」


なんとか妹弟の前では威厳を保とうとしているが、すでに父上のだらしなさは伝わっているので少し面白く感じる。


「「にぃに」」


足元にはしがみついている、二人がいる。


「すまんな、帰ってきたらまた遊んでやるから」

「「やくそく!!」」

「ああ、約束だ」


そう言って頭を撫でると素直に離れてくれる。


「バアル様、準備が整いました」

「それじゃあ、行ってくる」

「ああ、向こうでもしっかりな」

「体に気を付けてね」


父上と母上が頭を撫でてくる。


不思議と嫌な感覚はない。










俺が進学するのはグロウス学園中等部の『経済』学部だ。


ちなみにリンは『武術』学部、セレナは『魔術』学部に進学する。


クラリスに関しては俺と同じ『経済』学部に進学することになっている。


初等部は全員がそれぞれの科目を履修するから一緒にいることができたが、中等部からは学部によって校舎ごとに分かれているので全員がそれぞれ違う場所に向かうことになる。


「ですが、本当にいいのですか?」


そうなると当然護衛であるリンがいない時間が出てしまう。


「まぁ大丈夫だろう、今回はそのためにネロがいるわけだしな」


王都に向かう馬車の中には俺とリン、セレナ、クラリスの他に今回は俺の専属になったノエルに、今回護衛のために連れてきたネロの六人で王都に向かっている。


『我らを忘れるな』


そう言って足が何かに当たる。


「すまんすまん」


今回は初等部とは違い、ウルとネアを連れてきている。


「武術には従魔と連携する戦術もあるんですね……」


リンのつぶやいた通り、武術には従魔と共闘する戦い方がある。


もちろんそれは従魔が必要なので今回からはウルを連れて行くことになっている。


「うにゃ~」

『おい、尻尾で遊ぶな』


……ネアに関してはただただウルについてきただけだ。


それに一匹もに二匹もさほど変わらない。


「泊まる場所はどうするの?」

「とりあえずは王都のゼブルス邸を考えている、あそこなら信用できるし、防犯もしてある」


当然ながら二年目の誘拐未遂事件の後からたびたび暗殺者が放たれるようになった。


もちろん公爵家と裏の騎士団の防衛を突破できることなどなく、すべてが白日の下にさらされることもなく済んでいるが、王都となれば公爵家の防衛力は多少なりとも落ちる。


(裏の騎士団がいる限り問題ないとは思うんだがな……)


本拠地である王都なら裏の騎士団が全力を持って守ってくれるとは考えている。


「一言で言えば、いろいろ不安なんでしょ?」

「その通り」


クラリスの一言には全面的に同意せざるを得ない。

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