違和感の原因
11/01~11/10まで毎日二話投稿いたします。
読み飛ばしにご注意を。
ちなみにこの二年で変わった部分も多くある。
まずはカルスたちの配置が代わった。カルスはアルベールの執事見習いに、カリンはシルヴァの侍女見習いに。
そしてノエルはというと
「お待たせいたしました、昼食をお持ちいたしました」
ノエルがワゴンを引いて部屋に入ってくる。
「ありがとう」
「いえ、バアル様の専属侍女なのでこれくらいは当然です」
本人が言うように、俺の専属メイドとなっていた。
「ねぇ、ノエル、私の分はあるの?」
「もちろんですクラリス様、リンさん、セレナさんの分もきちんと用意があります」
ワゴンを見ると4人分の食事分が並べられていた。
それから執務を行う机ではないほうに配膳を行うと全員が席に着く。
並べられたのは新鮮な野菜と肉を使ったボリューミーなサンドイッチだった。
「そういえばノエルも今年からは王都に行くのよね?」
「はい、今年からは私もお供させてもらいます」
セレナとノエルの会話の通り、今年からノエルも王都に連れていくことになっている。
「まぁ借家じゃなくなるとすれば、ゼブルス邸に寝泊まりするからな」
「でも向こうにもメイドとか執事がいるでしょう?」
「ああ、でもノエルである必要があるんだよ」
「光栄です」
ノエルを連れていく意味は大いにある、なにせほかのメイドではできない業務を行ってもらう可能性があるからだ。
「それとだがネロも今回から連れていく」
「そうなの?」
「ああ、父上と話しあった結果そう決まった」
なんでも一度陛下と面会させてほしいと父上にお願いされた。
「里帰り?」
「みたいなものじゃない?」
セレナとクラリスは楽観的に考えているが、ネロが王都に行くのだ、それ相応の騒ぎが起こってもおかしくない。
(というか必ず起こるって)
俺だったら安全な穴倉から出てきた獲物を放置なんてしない。
「あと三日で出発だからな、それまでに準備を済ませておけよ」
「「はい」」
「「は~い」」
一通りの書類を処理すると、一つの手紙をもって父上の元に向かう。
「父上いいですか」
「うむ」
「???失礼します」
中に入るとやたらときりっとしている父上がいた。
「……どうしたんですか?何か悪いものでも食べましたか?」
「おぅい!?」
(あっいつもの父上に戻った)
あまりにも違和感がすごかったので思わず口に出してしまった。
「いやなに、私はいつもこんなだよ」
そういうが部屋の中を見渡して原因がわかった。
「「にぃに!!」」
父上の足元から小さい足で歩いてくる二人が見えた。
俺の場所までくるとひしっと足にしがみついてくる。
その行為に自然とほほが緩むのがわかる。
そのまま二人を抱き上げてソファに座る。
「二人ともいい子にしていたか?」
「「うん!」」
元気に返事をしてくる二人の頭をなでる。
二人はある程度の話ができるまでに成長しており、とてもかわいらしい存在になっている。
そして父上だが簡単に言うと二人が来ていたのでいい姿を見せようとしていたのだ。
二人の容姿は俺と同じ金髪に空色の目、はたから見れば一発で血がつながっていると理解できるだろう。
「それで、何の用だ、バアルよ」
「……違和感があるので元に戻ってくれませんか?」
「元に戻る何を言っているのやら」
埒があかないので壁際で控えているカルスとカリンに母上とウルを呼んでくるように指示する。
「にぃに!遊んで!」
「遊んで!」
服を引っ張り、気を引こうとしてくる。
「そうだな、二人が来るまであそぼっか」
「「わ~い」」
ということでソファの上で軽くじゃれついてやる。
シルヴァの頭に手を当てて軽く押しあったり、アルベールに触ろうとして、それを躱すという、何のこともない遊びで時間をつぶす。
そしてしばらくして扉が開き母上とウルが二人に連れられてくる。
「あら」
『げっ!?』
母上は微笑ましそうに笑い、ウルは二人が見えたとたんに逃げ腰になった。
「ウル、こっちに来てくれ」
『……嫌だと言ったら』
ウルの返答に軽く微笑んでやると、観念して俺の足元に横なり始めた。
「「ウル~~」」
「ギャイーーー!」
ソファの上からダイブされて二人につぶされたウル。
「それでバアルちゃんが呼んだのはどうして?」
「いえ、すこし父上と大事な話をするので少々二人を預かってもらいたくて」
「あら、わかったわ」
そういうと二人に何かをつぶやくと、二人を抱えて連れていく。
ちなみにウルはカルスとカリンに引きずられていった。




