不意打ちにはかなり効果的なんだよな
「うひゃ~~やっぱり、お酒おいしい~~~~」
契約を交わし終わり、金銭を納め終わるとセレナは安堵したのか俺の家でどこからか買ってきたワインをがぶ飲みしている。
まぁ当然ある程度のアルコールを一気に飲んでしまえばどうなるのかは
「うきゅう~~~~~、すぅーーーーーー」
自明の理だ。
「はぁ~」
ソファに横になり、そのまま眠っているセレナを見る。
「こいつ絶対またやらかすぞ」
ため息を吐きながらそう言うとリンもクラリスも頷く。
「それで、本当に借金を肩代わりするためだけに集まったの?」
「な訳ないだろう」
当然ながらそんなどうでもいい問題ではない。
「とりあえずクラリス、お前にはアジニア皇国の危険性について話しておこう」
「危険性?」
「ああ、少し待っていろ」
俺は3つの物を取り出す。
「筒と鉄の球、それと黒い粉?」
「これはアジニア皇国で新しく開発された武器だ」
「これが?」
摘まもうとする腕を止める。
「なによ?」
「待て、下手に扱うと爆発するぞ」
「これが?」
クラリスはいぶかし気な表情をし、手を引っ込める。
「少し試してみるか」
本当にごく少数の火薬を紙で掬い、石の上に置く。
「『ショック』」
パァアン!
雷魔法に反応して少量の黒色火薬が破裂する。
後には独特のイオン化合物の匂いが立ち込める。
「とっこんな風に……何しているんだ?」
クラリスは耳を握っている。
「私たちは人族よりも耳がいいのよ」
つまりは音にびっくりとしたわけだ。
「次からはもっと音が出ないようにして」
「無理言うな」
とりあえず二人に火薬が爆発することを教えた。
「それで?」
「まぁようするにだ」
銃身に黒色火薬を詰め、球を装填し、縄に火をつける。
準備が終わると庭に出て実践することになった。
ドォオン!
衝撃が体に伝わっていく。
「これがジュウの威力だ」
銃弾は残念ながら的にした樹を貫通することができず埋まっているが、二人は驚いている。
「リン、見えた?」
「私はぎりぎり、反応しろと言われればまず無理ですね」
クラリスは銃弾を見ることができなく、リンはぎりぎり視界を横切っていくのが見えたみたいだ。
「でも、樹すらも貫通できないなんて、案外弱いのね」
「ああ、だがこの速度は脅威だぞ」
不意打ちに眼球でも狙われたら、危険だからな。
「反応するのは無理ね」
「私は……『風妃の羽衣』か『神風』を使えば切ることはできそうです」
まぁ二人とも素面の状態じゃついてくのは無理ってことだな。
「だから対策にこれを渡しておく」
俺は引き出しから三つの腕輪を取り出す。
「これは?」
クラリスは疑問が上がるが、リンは見たとことがあるので素直に腕に嵌める。
「これは障壁の腕輪といって飛び道具に対して勝手に魔力を使用し防いでくれるってものだ」
これは俺がエルドの注文を受けて作った魔道具だ。
「ふぅん」
「まぁこれがあれば不意打ちはとりあえずは大丈夫だろうな」
「なるほどね、これを渡すということは敵対する可能性もあるということなのね」
肩をすくめて何も言わない。
「俺はジュウに対する防衛策を教えただけだよ」
「そう言うことにしておくわ」
これでノストニアにもアジニア皇国にジュウという物が伝わっただろう。
「それとこれはもらっていいのよね?」
「ああ、三人にやるよ」
するとリンとクラリスは嬉しそうな顔になったのが記憶に残った。




