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止まらない不幸

「うっうっうっうっうっ」


フォンレンたちがいなくなった数日後。


俺の部屋でセレナが泣いている。


理由はテーブルの上にある一枚の紙に由来する。


「………」


リンもこれには何と言ったらいいか、同情している。


なにせ内容が。


「家の修繕費グロウス金貨10枚、都市破壊の罰則金貨50枚、街道の修繕費金貨30枚、さらには」


これだけなら今までの給金を合算すれば払えなくはないだろう。


だが


「地面を操作したことによる、地下水道の破壊……罰則に金貨200枚、修繕費に同じく200枚」

「うわぁあああああああああああああああああああああああああーーー!!!!!!!!!!」


クラリスが読みだした内容を聞き、セレナがもう一度泣き出す。


運が悪いことにセレナの家の下には地下水道があった。


そして戦闘でそれが壊れてしまい、連日あの辺りでは地下水道が使えなくなっていた。


「そんな!あんまりよ!なんで私がこんな借金を負わなければいけないの!?」

「それは敵を殺したからだ」

「私も殺されそうだったんだけど!?」

「それでもだ、生け捕りだったらお前に一切の罰則を負うこともなかったのに」


もし相手側を生け捕りにできていたらすべての罰則や罪を相手側にあることになる。


もちろん殺してもしまっても証拠やらがあればいいのだが………


「あんな薄暗いところでさらには防音の障壁を張られていては証言者も集まりませんね」


クラリスの言葉の通りだ、あの破壊行動が相手側にすべて責があるなら全く問題ない。


ただ今回はその責を判断する材料がないので、セレナに罰則が来たわけだ。


「計グロウス金貨490枚、か」


現在セレナの給金は月に金貨1枚と大銀貨5枚、もしこれを年利1パーセントから借りたとしよう。


給金の全額で返済にしたとして、単純計算だとしても32年かかることになるぞ。


「はぁ~~」


本当にこいつを雇ってて意味あるのかって疑問が出てきそうだ。


「セレナ」

「なんですか!!!!」


救世主を見たような表情で見上げてくるが、そこまで俺はお人良しじゃない。


「がんばれ」

「バアル様の鬼!!!!!」


再びソファで泣き始める。


「バアル様、遊ぶのもほどほどに」

「はいはい、じゃあ本題に入ろう」

「ほ、んだい?」


涙を流しながら顔を上げるセレナ。


「罰金は俺が肩代わりしてやる」

「本当!?」

「ああ、お前が働いている間は利子無しだが、俺との雇用関係が終わった瞬間から年利7パーセントが発生するようになる」

「た、高くないですか?」

「雇っているうちになんか副業でも見つけて頑張って稼げるだろう?」


俺との雇用関係が継続する限り取り立ても利子も発生しない、いい条件だと思うがな。


「ちなみにだが、そこまでの大金となると平民であるセレナにはどこも貸してくれないぞ」

「うっう、お願いします」


と言うことでとりあえずはセレナの件は片付いた。


「本当にありがとうございます。頑張って返します」

「ああ」


まぁ正直、戦闘を見ていただけの俺にも少しは責任があるからなこれくらいはするとしよう。


「では問題ないならこの契約書にサインしてもらうぞ」


先ほどの条件の契約書に自分の名前を書き、セレナの借金はとりあえずは肩代わりすることになった。


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