やはり事後はこうなるんだよな
ここまで暗殺対象にコケにあれたのは初めてだ。
カッカッ
ブン!
ジュウ!
今は音の出ているところをしらみつぶしにしている。
なにせ今目の前には無数の土壁があり、奴の体を隠している。
俺が探知系のスキルを所持していればよかったんだが、残念ながら持っていたのは相棒のほうだ。
(にしても、急激に魔力が上がったな)
以前の奴ならこんな芸当は到底無理だった。
だが今は目の前でそれができている。
(俺と同じく、アレでも貰ったか)
俺は魔力が貯蔵できるアクセサリーを様々なところに装備しており、MP800ほどまでに上がっている。
奴がたとえ上がったとしてもここまではないはずだ。
なので俺は片っ端から壊してやつが魔力切れするのを待っている。
カッ
ブン!
ジュウュ!
壊れた土壁はすぐに修復されていく、継続的に魔力を消費している証拠だ。
それを幾度の繰り返すと徐々に修復が遅くなっていっている。
「はは!そろそろだな!!!」
そろそろ魔力が尽きると分かる。
すると突然音が聞こえなくなる。
「どういうことだ?」
逃げたにしては足音がない。
「となると隠れたか」
魔力切れになったのなら、もはや戦えない、ならば少しでも時間を稼いで誰かが来ることを願うしかなくなる。
「さて、相棒の仇を取らねばいけないな」
ということでなぶり殺しにしようと動こうとすると
『陸神の大咢』
すべての土壁が引っ込み、奴の姿が現れる。
「そこか!、!?」
殺そうと動こうとするのだが片腕が何かにつかまれていて動かない。
「くそ、この土くれが!!」
つかんでいたのは土で出来ていた触手だ。
すぐさま引きはがすがすぐにまた、同じような触手がつかみかかってくる。
「うっとうしい」
1潰したら2に、2を潰したら3になっていく。
ズズズズズズズ
触手を潰していると地面に無数の牙が出てくるのが理解できる。
「なにが!?」
それはまるで大きな口で俺を食い殺そうとしているようだ。
「こんな大魔法を使うのかよ!?」
普通、大規模な魔法は数人で協力して発動させなければいけない。
だがここには奴しかいない。
ということはこれは奴の実力ということになる。
「っち、仕方ねえからあきらめてやるよ」
俺はある魔道具を発動させようとするのだが。
ガシッ!!
「なっ!?」
何本もの土の触手が左腕をつかみ動かないようにしてくる。
ズズズズズズズズズズズ
「こんなときに!!!!!!!!!!!!!!」
ガシャン!
敵が挟まれるのを私を見ていた。
「……終わりよね?」
これが突破されたら本当に勝ち目はない。
なにせ発動している魔法を解除してまで魔力をかき集め発動させたんだ。
すでに私もふらふらになりそうだ。
しばらくしても反応がないので問題ないと判断し、魔法を解除する。
すると閉ざされた咢は崩れていく。
中心の部分を見てみると、短剣を握っているつぶれている片腕を見つけた。
「私は悪くないわよ」
多少の罪悪感にさいなまれるが、これは正当防衛だ。
責められるいわれはない。
「あっ」
すると片腕の先に先ほどの短剣が落ちている。
「………戦利品としてもらうわね、来世はまっとうに行きなさい」
その後、ボロボロになった家を見ておもわず膝をつきうなだれるセレナの姿があった。




