以前とは違うわ!!
それからすべてが終わったのかのように普通の生活が始まる。
私たちは普通に学校に行き、帰り、仕事を終わらせ、寝るのルーティーンが数日続く。
「本当に良かった~」
私は帰路についている。
「にしても本当に襲撃はなくなったのね~」
「油断はできないですよ」
相変わらずリンさんは真面目で今でも軽く警戒している。
それもバアル様の指示でなぜだかここ数日一緒に帰ることになっている。
聞いた話だけどフシュンとバアル様が繋がったことによりフォンレンが動けなくなったらしい。
そんな状況で襲撃なんて
(ないわよね~~)
フォンレンもフシュンもすでに動く理由がない、さらには今までの騒動で様々なところに目が存在する。
こんな状況で動けばどの組織か一目瞭然となるだろう。
「ではセレナ、私はここで」
バアル様の借家と私の借家への分かれ道に来るとリンさんとは別方向に分かれることになる。
「相変わらず暗いな~~~」
私が借りている家は学園に近い代わりに入り組んだ路地の裏側にある。
そのため日が落ちると道がかなり暗くなるのだ。
(まぁ普通に考えたらこの道が一番襲いやすいわよね)
腰の剣を意識しながら家へ向かう。
(昔は少し怖かったけど、ここまで慎重になることはなかったのに)
歩く速度を遅めながら家まで進んでいく。
(とりあえずは大丈夫そうね)
家の目の前までくるが何事もなく終わることができた。
ガチャ
「!?」
ドアノブを触ると嫌な予感が頭をよぎる。
すぐさま離れると同時に扉の向こう側から剣が突き出てくる。
「あれ?引っかからなかったか~」
ドアの裏側から出てきたのは以前襲撃してきた一人だ。
「なんで?!」
警戒はしていたけどいざ襲撃が起こると頭が混乱する。
だが、目の前の敵は殺しに来ているのだ、下手に考えるのをやめて戦闘に集中する。
「『輝晶剣』」
すぐさま剣を抜くと周囲に展開する。
「俺ばかりに集中していると危ないよ~」
男の言葉とともに真下から尖った岩が出てきて突き刺そうとしてくる。
ぐにゅ
「ありがとう!!」
だがその攻撃も周囲の土が変形し覆いかぶさるようにして防がれる。
「ありゃ~、おいミスってんじゃねえぞ~」
「うるさい」
私を挟んで反対側から一人の男が出てくる。
「お前が、殺せないのはこれで何人目だ~~」
「黙れ殺すぞ」
二人は私を挟んで言葉を交わす。
「なんで、ここ数日はいろいろなところで衛兵が見回っているのに……」
「ああ、そうだな~だが、すべてじゃない」
「その通り一部にある細工をしてやれば、すぐさま暗殺の場が完成だ」
どんな方法を使ったかわからないが、衛兵がこの場に来ないことを理解した。
「どうする大声で助けを求めてみる~~~?」
「意味ないだろうがな」
まさにそれをしようとしていたが、どうやらそれすらも防ぐ手立てがあるようだ。
「ふぅ~~~『多重思考』」
となると取る道は一つ。
戦い、勝ち残ること。
三つの思考を以前のように、体の操作、魔法の構築、『輝晶剣』の操作に分ける。
「さて、今度は時間をかけるへまはしないぜ」
「ああ」
二人はそのまま私に襲い掛かる。
「『火壁』」
まずは後ろの敵を分断、一人でも技量は負けているのに二人だともはや生き残ることはできない。
「行け!!」
その間に二本の『輝晶剣』を後ろの敵にまとわりつかせる。
「およ」
「はぁ!」
その間に私は目の前の敵に集中する。
ギィン
「っ」
「まだまだガキだな~」
当然ながら私は非力だ、『身体強化』を使っても、相手側が同じように使えば意味ない。
「『岩散弾』!」
一つの思考で魔法を構築し、接近しながら魔法を放つ。
「わぁは!?」
だが敵は滑らかな動きで躱す。
ギィン
さらには躱すと同時に切りかかってくるが『輝晶剣』を動かし防ぐ。
「おいおい、短期戦なのはわかるがこのペースだと、お前の魔力が持たねぇぞ」
以前の私ならこの言葉を受け取り、後ろの敵に対して魔力を温存しようとしただろう。
「は!!」
「はっ、素人がよ」
確かに以前のMPだとこの男の判断が正しい。
現に後ろで火壁を維持しているため、常時魔力を消費していっている。
だけど
「今はそこまで関係ないわよ」




