いいんだよ・・・でもね場所をわきまえてくれ
期限から1週間後、俺たちはゼウラストに帰って来ていた。
「それにしても結構楽しかったな」
あれから日が出ている間はダンジョンに潜り、日が沈むと町に戻り休息をとる。
「そうでござるな」
「ええ、ステータスが伸び悩んでいたんですがあんな方法で伸びやすくなるとは……」
二人にはステータスが伸びやすくする方法を実践してある。
「わかっていると思うが他言するなよ」
二人は頷く。
といっても俺が二人の体に触れてあることをしたくらいなので、何が起こってかは理解できないだろう。
ちなみに俺たちのステータスだが
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Name:バアル・セラ・ゼブルス
Race:ヒューマン
Lv:29
状態:普通
HP:597/597
MP:1132/932+200
STR:71
VIT:64
DEX:83
AGI:96
INT:112
《スキル》
【斧槍術:29】【水魔法:2】【風魔法:2】【雷魔法:11】【時空魔法:4】【身体強化:5】【謀略:17】【思考加速:7】【魔道具製作:8】【薬学:2】【医術:7】
《種族スキル》
《ユニークスキル》
【轟雷ノ天龍】
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Name:風薙 凛
Race:ヒューマン
Lv:30
状態:普通
HP:561/561
MP:671/671
STR:46
VIT:35
DEX:53
AGI:55
INT:29
《スキル》
【抜刀術:49】【槍術:8】【風魔法:13】【身体強化Ⅳ:2】【悪路走破:14】【威圧:5】【縮地:1】
《種族スキル》
《ユニークスキル》
【暴嵐の風妃】
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Name:ラインハルト・ガルリオ
Race:ヒューマン
Lv:38
状態:普通
HP:412/412
MP:251/251
STR:37
VIT:40
DEX:26
AGI:32
INT:27
《スキル》
【聖剣術:9】【槍術:5】【光魔法:4】【闇魔法:1】【身体強化:14】【威圧:7】
《種族スキル》
《ユニークスキル》
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こんな感じにあんまり変わってない。
それには理由がある。
「3ステージ目までは変わってなかったのですが、苦戦した狼と武者がいなくなっていましたから」
ラインハルトの言う通り二回目からは魔物が変わって、4ステージ目の二足歩行の黒い狼は二足歩行の茶色い犬っころに、5ステージ目の武者は石のゴーレムになっていた。
しかもレベルもステータスも大幅に落ちていたので簡単に勝つことができた。
ただ初回じゃないことから報酬がほとんど★か★×2しか出なく。ほとんどがポーション類でたまに★×3の素材が出るくらいになった。
屋敷に向かうと。
「「「「「「「おかえりなさいませ、バアル様」」」」」」」
屋敷で働いている使用人たちが挨拶してくる。
「今戻った、それで父上はどこにいる?」
「執務室におらっしゃると思います」
「あ~~~~ん」
「あ~~~~ん、ん~~~エリーゼに食べさせてもらうと、とてもおいしいよ!」
「あら、じゃあこれも、あ~~ん」
「あ~~~~~~」
俺はなにを見せられているんだ……いや、両親の仲がいいのは喜ばしいんだけど……。
「ん、ん!」
「「?!」」
「父上、ダンジョンの調査から戻りました」
「う、うむ、ご苦労!」
何とか体裁を保とうとするがもう遅いぞ。
「とりあえず詳細をまとめましたのでご覧になってください」
俺は報告をまとめた書類を机の上に置いておく。
「では」
「待て待て、それでバアルはどのようになった」
この部屋を出ようとするのだが父上に引き留められた。
「……このようになりました」
俺はモノクルを取り出して自分のステータスを見せる。
「お前……それは鑑定のモノクルか」
「そうです、どうやら俺が初制覇者だったようでクリア報酬でこのモノクルが出ました」
「よくやった!」
父上は俺に抱き着いてくる。
「あなた、モノクルもすごいけどこのステータスも見て」
「どれど……は?」
母上はこの数値を見ても何ともないが父上は時間が停止したようになってしまった。
「よく頑張ったわね」
母上はそう言って頭を撫でてくれる。
「いや!いや、ちょっと待ってくれなんでこんなステータスになっているんだ!?」
「あなた、バアルなのよ?これくらい普通だわ」
「エリーゼ、さすがにこれは無視できない問題だと思うのだが」
父上もさすがにこの異常性には無視できないのだろう。
5歳児が英雄と同等のステータスを得たのだ、馬鹿でない限りこの問題を放置しないだろう。
「大丈夫よ、どうやってバアルがこのステータスにしたのかはわからないけど、だからと言って他人に簡単にはしゃべらないでしょ」
…こう見えて母上は抜け目ない。
俺のステータスは異常だと気付き、なにからの方法で上げたのだろうと予想ができているだろう。
そして俺がステータスの上げ方を喋ることなどまずないと理解している。
理由は二つ。
一つは俺が優位を得るためだ。ステータスの効率的な上げ方を喋るとする、その恩恵を受けるのが味方だけなら問題ないが、いずれ情報は敵側にも漏れてしまう。わざわざ敵側を育てる必要はない。
二つ目はゼブルス家の利益のためだ。効率的なステータスの上げ方が一族の限られたものにしか伝わらないならゼブルス家の重要性は今よりも強くなるからだ。
「ね、だから問題ないわよ」
「……うむ、エリーゼがそういうのであれば」
俺が思案していると母上が父上を説得し終わっていた。
「ねぇバアル、これだけは答えて。このステータスにするには何か特別な方法はあるの?」
「はい、あります」
有るか無いかはしゃべっても問題ないだろう。
「じゃあほかにバアルがステータスを効率的に上げられる方法を知っている人物はいる?」
「……リンとラインハルトは知っています」
既に効率的に伸ばせることは二人は知っている。
「ですが、内容までは教えていません」
「それでいいわ、これはあなただけの武器になる、大事にしなさい」
母上の言う通りだ。
もしゼブルス家が国に見捨てられたらこれを餌に他国に亡命の手引きをしてもらうことすらできるだろう。
「バアル、あとできちんと二人に口止めをしなさい。ああ、口止め料はきちんと出すのよ」
「わかった」
母上の許しが出たので、ある程度の条件なども飲めるだろう。




