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晴れた疑い

フシュンが観念するように言った。


「これはお前たちの国で使われている銃弾であると認めるんだな?」


ここで口をはさむ。


「少し疑問なのですが、なぜ、子供たちがこの場にいるのです?」

「俺が強引に割り込んだんだよ、少し聞きたいこともあったからな、それで、それはアジニア皇国で使われている銃ということで間違いないな?」

「残念ながらわかりかねます、本当に私の国のものなのか、はたまた他国が同じようなものを作ったのか?」


フシュンは曖昧な返事をする。


「んん、それとフシュン殿、あなたはその日にスラム街に出かけていますよね」

「ええ、少し苦しいとは思いますが、私どもはこの国に来るのは初めてです、なので多少触れてはいけない部分について情報を得ようとしていました」

「別に表にいる奴らにでも聞けばいいだろう」

「そうはいきません、たとえ表のルールを知ったとしても知らず知らずに裏のルールを破っていたら危険ですから」


本当によく口が回る。


「それに私は今回は仕事専門の部下しか連れてきていません、なので何かあって標的にされては」

「ロンラン商会にも護衛はいるはずだろう」


するとフシュンの眉が少しだけ動く。


「残念ですが、彼らは私を守ってくれません」

「なぜだ?」

「それについてはアジニア皇国の革命の話をしなければいけません」

「革命については大雑把に知っている、核心だけ話せ」


それすらも本当は知っているのだがな。


「一言で言うと私は前皇帝に仕えていたものだからです」

「ふ~ん、じゃあ今回のスラムの件はロンラン商会がお前を殺す企てだったんじゃないか?」

「可能性は大いにあり得ますね」

「じゃあ、やはりアジニア皇国が原因で今回の件が起こったと考えますが、よろしいですか?」

「確たる証拠があるなら」


暗に認めると言っていると同時に証拠を持ってこいとも言っている。


「ルナ、もういいか?」

「ええ、こちらとしては聞きたい情報は聞けました」


こう言っているが本来、こんな聴取をする必要すらなかった。


これはあくまでこの場を作る口実を強引に作っただけに過ぎない。


「さて、じゃあ次は俺が話をさせてもらう」

「君は誰なんだい?」

「俺はバアル・セラ・ゼブルス。名前くらいは知っているんだろう?」


フシュンの表情を観察するが驚きがない。


「君がですか、道中にかなりのうわさを聞きましたよ、君がいればグロウス王国は安泰だと」

「世辞はいい、いくつか質問するそれに『はい』か『いいえ』で答えてくれ」

「いきなりだね」


少し印象を悪くさしたが、これぐらいしないと揺さぶりにならない。


「まず一つ、ロンラン商会が俺に面会をするのが大部分の理由だと知っていたか?」

「ええ、皇帝は魔道具の製作者にひどく関心を持っておられましたから」

「次に俺は皇帝にとある書状をもらったのだが、あれには何かあるか知っているか?」

「いいえ、お褒めの書状ではないのですか?」


これに後ろの像を見てみるが反応がない。


「では次にスラム街での件でお前は何か後ろ暗いことをしていたか?」

「いいえ、さきほどもいいましたが―――」


先ほどの理由を言っているが後ろの像が震えてフシュンを指さす。


(無事に作動しているな)


なんで音が聞こえないかというとリンに頼んで像の周囲を真空にしてもらい音が漏れないようになっている。


「ああ、わかった、では少し、こっちの話をしていいか?」

「それに何の意味があるんですか?」

「フォンレンが何度か俺に接触しようとしてきている」


こういうと開きかけていた口を閉ざし続きを聞こうとする。


「まず、俺がフシュンを怪しんだのは書状を渡された時だ」

「というと?」

「書状を渡されたときフォンレンは俺を観察していた。思い過ごしとか言うなよ、そのあとに部下に何かに気付いたふりをしろと命令してみた、そしてら見事にフォンレンの興味が俺から部下に移った」

「…つまりフォンレンの目的はその部下であると?」

「もっと言うと、書状に反応した者だろうな、知らなかったのか?」

「はい」


後ろの像を見てみると反応がない。


「で、その数日後にスラムでの例の件が起きた。ここまではいい、問題はそのあとだ、スラムの数日後、部下がフォンレンと接触し、その後その部下が何者かに襲われた」

「…………!?私を疑っているのですか?!」

「当たり前だろう」


フシュンも大体の構図が浮かび上がってきただろう。


「バカな!そんなことはしない!」


これには面白いことに後ろの像が反応していない。


「それを今すぐ信じられるほど、お人良しじゃない」


表所を隠し、そう告げるが水面下では俺もある程度は動揺している。


(セレナを襲ったのがフシュンではないことが判明、となるとフォンレンかはたまたもっと違う奴か)


「ではお前ではないのだな?」

「当たりまえです!」

「ならいい」


こうして俺とフシュンの話し合いは終わった。

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