揺さぶりの尋問
ということで数日後、学園が終わると用意してある馬車に乗り、王城に向かう。
「あの、私が来て良かったんですか?」
今回連れてきたのはセレナとリンの二人だ。
「問題ない、それとリン」
「なんですか?」
「少し頼みたいことがある」
ということである指示をリンに出す。
「お待ちしていました、バアル様」
城に入るとグラスの部下が迎えに来る。
「呼び出しはできているか?」
「はい、すでに控室でお待ちいただいています」
ということで、俺は城の一室に案内される。
「お待ちしていました、バアル様!」
部屋には正装したルナが待ち構えていた。
「……お前の正装ほどに合わないものはないな」
「へ?」
一応きっちりと着こなしできる女に見えるが、中身を知っている側としては奇妙としか思えない。
「それで用意は?」
「はい、すでに万端です」
部屋の中には真ん中にテーブルとソファーが二つ、それと部屋の壁際に様々な調度品が置かれていて、洒落た部屋に見えるだろう。
「それで、どこにある?」
「はい、あそこに」
ルナが指示した場所は片方のソファからしか見えないところだった。
「できれば俺も一つ欲しいがな」
「だめですよ、これはこの国に一つしかないのですから」
俺たちが指示しているの以前、ノストニアで裏切り者のあぶり出しに使った像だ。
―――――
審嘘ノ裁像
★×7
【真ナル部屋】
すべての偽りを見抜く像。一日のうち二回使用することができ、効果は一刻しか持たない。時の権力者は裏切り者をあぶりだすためにこの魔道具に多大なる費用を掛けたという。この像のある空間では真しか答えられぬと知れ。
―――――
説明文にある通り、裏切り者をあぶりだしたりするのには最適な魔道具だ。
するとルナの腰につけている通信機が反応する。
「バアル様、そろそろ来ます」
「わかった、では起動させろ」
ルナが魔道具を起動させて1分もしない間に扉がノックされる。
「スラム事件での被疑者であるフシュンをお連れしました」
「では聴取を開始します」
ルナがそういうとフシュン本人であるかを確認する。
今回フシュンに来てもらったのは『スラムの戦闘の関係者である疑い』があるからだ。
「ではお名前と提示できる身分を教えてください」
「初めまして、アジニア皇国の政務官のフシュンといいます」
政務官とは言葉の通り政を管轄する文官だ。
「それでここに来た理由に心当たりはありますが」
「何もない、と言いたいのですが、一つだけあります」
そして本人の言葉からスラム街という言葉が出てくる。
「その通りです、我々は少し前に起こったスラム街での戦闘を重く見ております、なぜだかわかりますか?」
「心当たりはないな」
そういうとルナはポッケから一つのかけらを取り出す。
「戦闘があった場所と思わしき場所には大量の小さな穴が開いていました」
「……」
「一つ二つならレイピア使いが誤って刺してしまったなどがあるかもしれません、ですが数百を超えるほどの間違いをしますか?」
「その戦闘だけではなく過去に何度も戦って付いた後ではないのか?」
「それもありません、調べてみると、あの店は一か月前に改装したばかりです、それに突きあとはあっても斬撃の跡がないのはおかしいですよね?」
(………………………こいつだれだ?)
思わず心の中でそう思いそうになるほどルナはきっちりとしていた。
「そこで我々は穴を詳しく調べましたら、そしたら」
「銃弾があったのですか」




