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新たな仕込み

「強くなる……」


(お、案外食いつきがいいな)


「そしてこれに関してだが、当分の間はお前の家族には身を隠してもらうことになる」


問題が解決するまではゼブルス領で療養でもしてもらえばいい。


メリットとデメリットを総て伝えてセレナに選択させる。


「私は………強くなりたいです」


なにかがあったのかセレナの目には強固な意志があるように感じた。


「わかった、だが今のところ、俺たちにできる修行は武芸を鍛えるしかない」


一番効率がいいのはダンジョンに潜ることだが、潜るには冒険ギルドの認可が必要で、俺達の年齢では冒険ギルドに登録ができない。


もちろん、野にいる魔獣を倒すのも手の一つだが、魔獣の群れを見つけるのに時間がかかる。


「だからセレナ、一つ提案がある」


亜空庫を開き、一つの実を取り出す。


「それって」

「ああ、神樹の実だ」


取り出したのは『神樹の実・焦茶』だ。


「強くなりたいのなら、今のところこれが手っ取り早い」

「たしかにね、色もかなり似通っているからちょうどいいわ」


クラリスが納得する。


実際、俺とクラリスはその効果を体感している。


計ってみたら大体700ほど最大MPが増加していた。


後から聞くと神樹の実の色が自分に似通っているほど増加魔力量は増えるみたいだ。


これをセレナが食べれば相当な強化となるだろう。


「でも、そんな貴重な物をいいんですか?」

「もちろん、それなりに契約をさせてもらうぞ」

「……どんなですか?」

「最低でも10年は俺の部下でいてもらう」



それから契約書を作成する。


内容は下記の通り。


・セレナ・エレスティナは対価である『神樹の実・焦茶』を受け取る代わりに10年間、バアル・セラ・ゼブルスの部下として作業に従事する。


・バアル・セラ・ゼブルスはセレナ・エレスティナを一部下として扱い、不当な扱いはしない。


・セレナ・エレスティナは指示がない限り、グロウス王国から出ることを禁じる。


・この契約を終えるには、10年間仕事に従事し満期完了するか、グロウス金貨3000枚をバアルに支払い契約を破棄すること。


というものだ。


「休み給金などは今のところ変わらない、この条件でどうだ?」

「………うん、はい、お願いします」


と言うことでセレナと俺との間で契約が結ばれた。








「では、いただきます」


前世で聞いた挨拶を聞き、神樹の実を食べる。


「どうだ?」

「……違和感がすごいです」


俺が渡した実は形が洋ナシなのだが色が名前の通り焦げ茶色なのだ。


「形と色も合ってないのに、味は柿で………変な感じ」

「でも、まずくはないでしょ?」


クラリスの言葉にセレナは頷く。


ごくん


実を総て食べ終わると、セレナの様子を観察するのだが。


「……魔力は増えているか?」

「徐々にだけど増えているわよ」


鑑定のモノクルで見てみると。


274→281→290→297→309、とどんどん上がっていく。


「この調子だと明日の朝には終わってそうね」

「どれくらいになると思う?」

「そうね、元の4倍近くはなるんじゃないかしら」

「???」


俺の時もそうだったが、色が似通っているときは無痛なので、特に何の感覚もなく上がっていくからわかりづらい。


「それで、これからどうするのですか?」

「ん?それはな―――」









と言うことで翌日、学園を休み、俺は王城に向かう。


「―――では、お願いできますか?」

「急にきてアレを貸せっていわれてもな」


俺がいるのは近衛騎士団長の執務室だ。


となると必然的に会っているのは。


「では手はず通りお願いしますよ」

「これも貸しだぞ」

「ご冗談を、裏の騎士団の協力者として妥当な要請ですよ、グラス殿」

「……いいだろう、手はずは整えよう」


ということでグラスに計画してもらう、ある手はずを整える。


「それで、今回の落としどころはどうするつもりだ?」

「さぁ?向こうの誠意次第ですかね」


まぁ表立って被害を被ったわけでもないが、面倒ごとは持ち込まないようにしてもらうつもりだ。

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