表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
300/470

狂った勢力図

「何を悩んでいるんですか?」


家のリビングでお茶を飲んでいるとリンが問いかけてくる。


「…まぁ…な」


今この空間には俺とリンそれとクラリスがいる。


(部外者であるクラリスに話すのはな…)


婚約者という地位にいるが、飾りでしかなく実態はノストニアから送り込まれた諜報員みたいなものだ。


「なになに、なんか悩んでいるの?」

「………ああ」

「説明してよ、力になれるかもしれないわ」


少し考え、教えてもとりあえずは問題ないと判断する。


「まず問題が起きたのはフォンレンとの面会だ」






この問題の最初はアジニア皇国の皇帝が俺に書状を渡してきたのがきっかけだ。


「フォンレンは交易という名目で俺に面会、そして皇帝の指示で書状にとある細工されており、それに気づくかを調べていた、だが」

「それにあなたではなくセレナが引っかかってしまった」

「そのとおり」


まぁ皇帝の読みは正しくて、俺がミスリードを誘っただけなんだがな。


「それで話は変わり、スラムの戦闘に関与する」


憲兵(裏の騎士団リーク)の調べた情報ではその先頭にアジニア皇国のジュウという兵器が使われていたらしい。


「つまりフォンレンが関与しているということ?」

「おそらくな」


先日、スラムでフォンレンと共にアジニア皇国からやってきたフシュンという人物が関わっていること、襲撃者がアジニア皇国のジュウという武器が使われていたということ。


「それとアジニア皇国だが―――」


2年前に平民による革命が成功し王侯貴族が処刑されたことを教える。


「そしてフシュンは前皇帝に仕える存在だったらしく、人手不足と言うことで今の皇帝に仕えているようだが、いい感情は持ってないらしい」

「ということは」


クラリスもスラムでの襲撃にどんな意図があるかを理解しただろう。


「理解したわ、何であなたが悩んでいるか」


クラリスもどう悩んでいるか分かったようだ。


「え?!」


だが俺の後ろで、未だにわかっていない声を上げる人物が一名。


「簡単に説明するとだな―――」


まず前提にフォンレンとフシュンが対立していると考える。


「スラムでの襲撃はフォンレンがフシュンを狙ったものだと推測される、ここまではいいな?」

「はい」


で次に問題なのは、セレナの襲撃だ。


「???そこがわかりません。ただセレナがフォンレンの目的の人物とわかり、フシュンが暗殺しようとしたのでは?」

「そこなんだがな」


俺はルナからもたらされた情報(ソースは俺)を二人にも教える。


「重要なのは三番目のこれだ」


『去り際に何かをやらかすことをつぶやいていたこと』


を指し示す。


「もしこれがセレナの暗殺だったら?」

「………????暗殺者はどの陣営なのですか?」


リンの言葉の通りだ。


フシュンを暗殺しようとしたのはフォンレン陣営、そしてセレナを殺そうとしたのはフシュン陣営。


これなら別段おかしくもない、むしろしっくりくるだろう。


だがフシュンを殺そうとした暗殺者とセレナを殺そうとした暗殺者が同じだったら、どうだ、矛盾していることになる。


「ですが、この指し示すことがセレナのことをじゃないとしたらどうですか?」

「それはあり得ないと思うがな」


なにせスラム街での使用された武器が銃であると確定している、そのため目的はほぼ確定でフォンレン陣営の暗殺者であるとわかる。


そしてフシュンの暗殺以外での目的は俺が転生者か確かめに来たこと、それ以外の目的として商談などがあるが、主だってほかに標的でするものが無い。


なので俺を探りに来て、セレナが反応したことから、目的は俺からセレナに移った。


よってフォンレンの標的は、セレナとフシュンになる。


「では、なんでフシュンはスラム街に出ていたと思う?」


俺がリンのような考えをしないわけ、それはキラを操作していなかったらわからなかった。


「??????用事があった?」

「その用事ってのは何だと思う?」

「何かの情報を得るため?」

「だとしても普通は本人が出るか?普通は部下に任せて自身は疑われない場所に身を置くだろう?」


俺だったらそうする。


ニーチェの言葉よろしく。『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』と同じで、情報を得ようと動くと、その動きも相手に知られてしまう。


ここでフォンレンを殺すために情報を得ようと動くと、もしフォンレンの陣営につけられていたら警戒されてしまう。下手すれば粛清される可能性もある。


そのために普通は足がつかない駒を使い情報を集めるのが定石だ。


裏の情報を得ようとするときはキラを使っているのもこれが理由だ。


最悪は自爆でも何でもして有耶無耶にしてしまえばいいからだ。


「……それもそうですね、ではなぜ?」

「簡単だ、自分で動くしかなかったから、だ」

「………あ!!!」


リンもようやく気づくことができただろう。


「そうフシュンは今回、付き添って来たに過ぎない、そしてここで自身がスラムに赴いた理由が重なる」




「「「フシュンには動かせる部下がいない」」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ