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罪ってのは無自覚におこす

そこからは自身でも考えられないくらい頭が動く。


(考えろ考えろ、どうにか生き延びる方法は)


あまりにも集中しているからか、周囲がスロー再生しているかのようになっている。


(自身が動いて避けることは無理、MPは10かそこらしかないから魔法での防御もできない、どこかの部位を犠牲にして躱したとしてもそのあとすぐに殺される)


様々な可能性を模索するが取れる手段があまりにも少ない。


結論から言うと一人でこの場を生き延びることはできない。


(…………どうしよう)


頭の中で詰んだとしか結論を出すことができない。


剣先が手の届く範囲にまで近づくと、もはやどう道ずれにしてやろうかとも考え始める。


だがあと数十センチというところで何かがそれを掴んだ。


「………危ないぞ」


いつのまにか横に真っ黒いローブを被った存在が剣を掴んでいる。


「え!?」


さっきまでいなかったとところに人がいるのだ、驚く。


「あ、貴方は?」

「……善良な市民だ」


(((いや…無理だろう)))



この場にいる本人以外の気持ちが一致する。


なにせ現れたのは真っ黒いローブを被り顔すら見せない存在なのだから。


「……無事か?」

「貴方は味方だと思ってもいいの?」

「……ああ」


私を殺すのが目的なら飛んできた剣を防ぐ必要もないし、姿を現す必要もない。


(と言うことは少なくとも明確な敵ではないのね)


「……魔力は残っているか?」

「ないわ」

「……ならこれを飲め」


そう言って腰に付けてあるポーチから小さな瓶差し出してくる。


「……安心しろ上級のマナポーションだ」

「対価は?」

「……こんなとこで戦闘になっている理由を後で教えろ」

「わかったわ」


瓶を受け取り、飲み干す。


「ぷはっ、ありがとう助かったわ」

「……とりあえずこの二人をどうにかするぞ」


そういい、一人の方に短剣を構える。


となると必然的に私は剣持ちの方になる。


「お~い、どうする?」

「………退くぞ」

「はぁ?まだ何とかできるだろう?」


私側にわけわかんない男が付いたけどまだ普通に倒すことができなくわないだろう。


「無理だ、お前の耳は飾りか?」

「なに………あ~なるほどな」


もう一人も納得した表情になると共に横道に入り、逃げていく。


「待て」


助けてくれた男も二人の後を追っていく。


「助かった、の?」


死にそうになって、助けられ、逃げられ、置いてかれる。


このあまりにもな変わりように茫然としてしまった。


ザッザッザッザッ


「君!」

「え?へ?はい」

「この場で何をした!!」


大通りの方から10人ほどの憲兵がやって来ていた。


「実はそこで戦うことになりまして」

「……君が?」

「はい」


正直助かったと安堵しきっていて憲兵の表情なんて確認してなかった。


「つまりはこの破壊に関与しているんだな」

「……え?」


視線の先では土の弾丸により壊された家の壁や土壁を生み出したことに道がボコボコに成っていたり、火壁(ファイアーウォル)により火が燃え移ろうとしている。


「子供とはいえこれは無視できないな」

「ですね」


ガシャン


「………は」


私の腕が鎖で縛られる。


「これから話を聞かせてもらうぞ」

「ちょっ!?」


私は市街地で暴れたということで憲兵に連れて行かれた。











「それからここに連れてこられたわけです!!」


泣きながらに話すセレナ。


「まぁ、ドンマイ」

「軽いわね!?」


怨みがましい目で見てくるセレナを見ながら考える。


(セレナを襲った?なぜだ?)


襲撃者がスラムの件での襲撃者ならフォンレン側であることになる。


だがもし今回の襲撃者も同じならフォンレン側がセレナを襲ったことになる。


(会話を聞いていた限りではフォンレンは友好的に接したいと思っているはずだ)


なのにセレナに襲撃をした。


そこから思考を巡らせるがどうやっても明確な答えが出てこない。


「…………」

「バアル様?」

「ああすまない、何の話だ」

「私はどうなるのかって話です」

「ああ、まぁ話からして襲われて反撃しただけだから、明日には解放される」


そういうとセレナは安堵したような顔になる。


「そろそろ面会終了のお時間です」

「ああ」

「バアル様!」

「なんだ?」

「もう少しだけ料理の質が良くなるようにお願いできません?」

「……わかった」


帰りに憲兵に金を握らせて料理の質を上げさせた。

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