魔道具の神髄
『『『『『!?』』』』』
奥の通路から血だらけの男を掴んだ大男が出てきたんだ、広場にいた全員は驚き固まっている。
「さて、ここにいる諸君に告ぐ、この場にいると血を見ることになる、今日のところは会計は不要だ、とっとと失せろ」
そこからはネズミが散っていくがごとく店から全員出ていく。
「さて、まさかお前ひとりとは言わないよな?」
バァン!
一際大きい銃声が鳴り響くと吹き飛ばされていくのがわかる。
「大丈夫か」
「なんとか」
先ほどまで掴んでいた男は手から離れて仲間に介抱されている。
(想定以上の威力だな、対物ライフルでも作ったのか?)
腹部に強烈な衝撃が出たことが表示される。
(だが、危険視するほどでもないな)
確認するが衝撃を受けただけでミスリル、オリハルコンなどの希少な魔鉱物をふんだんに使ったか体には一切傷がついてない。
(何度も吹き飛ばされると面倒だな)
周囲の魔道具からの魔力供給量を増加させ、飛躍的に頑強にする。
ガラガラガラ
「「は!?」」
カウンターの瓦礫をどかしながら二人に近づく。
「お前は人じゃないのか!?」
まぁ普通に考えたらあの攻撃だと死なない人間はいないだろう。
「さぁな、お前らの礫が軟すぎたんじゃないのか」
会話と同時にとある機能を作動させる。
「………」スッ
バァン!
腕を振り上げるともう一度銃声が聞こえるが、今回は吹き飛ばされることはなかった。
カラ、カラン
「な!?」
「ふぅん」
地面に落ちたのは10センチほどの弾丸だった。
(消費魔力量から算出するに普通の拳銃とは比べ物にならない威力だな)
「この!!」
先ほど掴まれていた男が拳銃を取り出す。
パンパンパン
「無駄だよ」
「な、んで」
銃弾は体に当たることなく体のすぐ近くで静止している。
「魔法か!?」
「まぁ当たらずも遠からずだな」
種は簡単だ。
この魔導人形には数多くの機能が備わっている、そのうちの一つがエルドに売った『守護の腕輪』の機能である『自動魔障壁』だ。
「ほら、もっと撃ち込んでみればもしかしたら届くかもしれんぞ?」
「舐めるな!!」
それから何十発もの弾丸が飛んでくる。
エルドに渡した腕輪のみなら自身の魔力のみしか使用できず、下手すればこの一発を止めるだけで魔力の大半が失われるかもしれない。
だが魔力が足りなくなれば供給すればいいのがこの体の利点だ。
魔道具が出回っていることで魔力の貯蔵庫としての役割がどこにでも存在するようになった。これにより飛び道具でこの体を傷つけるのは不可能に近いだろう。
「やめろ!」
「ですが」
「弾にも限りがある、相手の挑発に乗って目的を見失うな」
「……はい」
もう一人は冷静に見定めて飛び道具ではらちが明かないと気付いた。
「俺はこいつを抑える、その間に標的を殺せ」
「了解です」
冷静な方が腰から刀を抜き切りかかってくる。
「行け!」
「はい!」
冷静な方は俺に直進し、最初の男は回り込み通路を進もうとする。
(手負いとはいえ、あの武器だと少し拙いな)
片腕潰しているとはいえ、もう片方の腕でも十分に拳銃は扱える。
「よそ見をするな!」
剣が振られるがそちらに興味はない。
「ぬ!?」
なにせ『自動魔障壁』を起動している。飛び道具はもちろん、剣すら止めることも出来る。
(しかも無尽蔵と言ってもいいほど魔力の貯蓄はある)
こうなるともはや周囲の魔道具総てを破壊するしか手段は無くなる。
「さて、あっさり抜かれるのも味気ないな」
ガシャン
腕から小型機関銃が出現する。
「な!?」
「じゃあな」
ギギギギ、ガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
もはや過剰と言ってもいいほどの弾丸をもう一人に打ち込む。
「やめろ!!」
目の前の男が何度剣を振るっても魔障壁に阻まれ意味をなさない。
ギシュゥウウ~~
弾幕が終了するともはや男の影はなく血と肉塊が転がっているだけだった。




