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こういう時は羊だな

(十中八九転生者だよな…………)


フォンレンは書状を読んでいる俺を観察している。


(何か反応があるのか確かめているのか……だったら)


「セレナ、この書状をもっていろ」

「はい」


背後にいるセレナに開いたまま渡してやる。


(さて反応は)


「え?」


フォンレンが鋭くセレナを見る。


「お嬢さん、どうかしましたか?」

「いえ、なんというか、その~」

「なにかその書状におかしい点がありますか?」


フォンレンの反応で気づくことができた。


こいつの目的は招待することではない、おそらく転生者かどうかを見定めに来たのだろう。


転生者という存在を知っているならこの反応に納得できるし、転生者という存在を知っていなくとも皇帝が書状に何かしらの仕掛けをしたことを教えられているのならその様子を報告するためだ。


「フォンレン、今話をしているのは俺だろう」

「これは失礼しました、それで返事は」

「少なくとも協議しない限り返答はできない」

「では快い返事をお待ちしております」


フォンレンはそういうが少しも残念そうにしていない。


「それで要件はこれで終わりか?」

「はい、ご多忙の中わたくしめのために時間を割いていただき誠にありがとうございます」







フォンレンがいなくなったので気を抜く。


「ふぅ~~」

「なんか変な客だったわね」


となりで話を聞いていたクラリスがそう言う。


「まぁな………それとセレナ」

「なんですか~」


堅苦しい場面は終わったと思っているのかソファーに寝転がっている。


「お前はこれから気をつけろよ」

「どうゆうこと!?」


セレナは驚いた表情でこちらを見てくる。


「まぁ一言で言えばフォンレンは探りに来ていたんだよ」

「探りに?」


セレナはわかっていない表情だ。


「お前はこの書状を見て、なにか思わなかったか?」

「……」

「文におかしな点がない、紙にも違和感はない、となるとほかの部分、おそらくこのふちの模様だろう」

「その通りです」


セレナは教えたそうにするがクラリスのほうを見る。


「クラリスなら問題ない」

「そう?じゃあ言うけど、このふちの部分に『あなたは転生者なのか』って書いてあるわよ」

「????」


隣で話を聞いていたクラリスが頭に大量の疑問が浮かび上がっている。


人族(ヒューマン)はフェウス言語以外にも使っているの?」


クラリスの言う、フェウス言語とは今使われている言語体系のことを指す。


この言語の起源は昔この地域は一つの国だったらしく、その時に運用されていた言語がフェウス言語であったそうで、年月が経つと徐々に広まりこの大陸ではフェウス言語が主流として用いられている。


ゆえにグロウス王国やネンラール、クメニギスなどこの大陸にある国ではフェウス言語が使われている。


「とりあえず気にするな」


クラリスにはそう説明する。


もちろんセレナは不服そうだ。


「つまりは探りを入れてそれにセレナが引っかかったってことね」

「その通り」


クラリスは何があったかを予想できたのだろう。


「相手側はあの文字を読める存在を探している、そしてその対象が今回は俺だった、だから接触してきたと思う。けど」

「バアルではなくセレナがその存在だったのね」

「ああ」


何のために近づいてきたのかわからない以上警戒することになる。


「たしかに気を付けておいた方がいいわね」

「どうしてですか?」

「だって相手が殺す目的で近づいてきていたらどうするの?バアルならその点は対策できているだろうけど」


ここまで言えばセレナでも言いたいことが理解できただろう。


「俺なら公爵家の人だからあらかじめ暗殺などの対策をしている、そして相手はそのことを知れば暗殺なんて手段には出ずらいだろう、けど」

「セレナだったら平民でバアル様に雇われている護衛の一人だから暗殺って手段に踏み出しやすいのよ」


身分は時に盾になるということだ。


「ど、どうしたら!?」

「とりあえず危険な場所には一人で出歩くな、襲われても身を守れるように鍛えろ、あとは相手が友好的に接してくれるのを祈っていろ、この三つだな」


俺が言えるのはここまでだ。


「…………」


もっと助言を欲しいと顔に書いてあるが、もうすでに言えることはない。

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