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まぁ………うん、そういう年ごろか

はぁ~


大きなため息を吐く。


そして同時に納得した、こいつの貴族への対応やら、青臭いところやらが。


「俺がやっていたゲームは『アルティアフロンティア』ってゲームだ」

「へ?『ロイアルラバーズ』じゃないの?」


セレナが思わずといった風に口に出してしまった。


「あ」

「え」


二人は少しの間お互いを見合う。


「お前も、なのか?」


セレナはこちらを見て確認してくる。


「いいだろう話してやれ」

「は~い」


許可を出すとセレナも話し始める。


ゲームをやっているときに機械の不具合で死んだこと、神に会い転生したこと、そして現在俺の下で働いていること。


「ちなみにお前は前世とやらではどんな存在だったんだ?」

鐘原(かねはら) (りく)。XXX中学一年。」


思った以上に若かった。


「さて、妄想の話は終わったか?」

「妄想じゃない!」

「……」


セレナは何も言わないがオルドに同意しているのだろう。


「お前らの身の上話などどうでもいい、必要なのはなぜ国賓であるクラリスに執拗に挑んだか、そして大けがを負わせた理由だ」


こいつが転生した存在であれ、ユニークスキル持ちであれどもどうでもいい。


「さっきも言った通り、仲間にしたくて」

「じゃあ死罪だな」

「………へ?」


信じられない言葉を聞いたかのようになる。


「当たり前だろう、つまるところクラリスに欲情し自分のものになれと強引に迫り大けがを負わせた」

「ち、違う!!」

「違わねえだろう!!!!」


強く否定してやるとビクと震える。


「はっきり言ってやる、お前のやったことは強姦と何ら変わりがない、ただ妄想に取りつかれ、けがをさせた、しかも動機がそんな下卑た理由だ」

「で、でも、死刑なんて!?」

「当たり前だ!クラリスはノストニアの王妹なんだぞ!そいつにけがをさせたなんて首が飛んでも何らおかしくない!」


事態の重さに気付いたのかオルドの顔が真っ青になる。


「俺は、死ぬのか?」

「ああ」

「俺はただクラリスと一緒にいたくて」

「けがをさせたのは事実だ」

「転生までして、あんなみじめな生活から抜け出てきたのに」

「知るか、お前のしでかしたことだろ」


完全に口をつぐんだ。


「バアル様」


リンのほうを見てみるとクラリスが目を覚まそうとしていた。


「さて開口し、どんな罵倒が飛んでくるかな」


「んぅ~…………何があったの?」


クラリスは起き上がり周囲を確かめる。


「まぁ、こいつが試合終了後も攻撃を続けそうだっから拘束している」

「ちが!」

「わねぇだろう?」


オルドはうつむく。


「それで彼はどうなるの?」

「死罪が妥当だな」

「そうなのね………何とか穏便に済ませない?」


予想した言葉と違った。


「許すのかこいつを?」

「ええ、問題ある」

「ある、なにせお前を」

「どうせ、私に惚れてほしかったんでしょう」


この言葉にはオルドは目を見開く。


「どうしてそう思った?」


すると肩をすくめて答えてくれる。


「私はノストニアでもかなりモテていたのよ」

「それで?」

「もうすこし興味を持ってよ……もちろんいろんな意味でよ、王の妹ってことで寄ってくる奴もいたし、私の容姿で寄ってくる奴も大勢いたわ」


それこそ汚い手を使ってでもとクラリスは付け足す。


「それに比べたら、その子はまだかわいいほうよ、なにせ自分の武だけで私を惚れさそうと頑張っていたし」

「それでも国としては許容できないな」

「あら?この場を整えてくれたのはだぁれ?」


思わず顔をしかめる。


「お前だろう?模擬戦を受け入れたし」

「違うわね、私にけがをさせないようにするならあなたは止めるべきだった。違うかしら?」

「………」

「てことで死罪はやめてあげて」

「はぁ~」


盛大なため息を吐いた後、わかったと告げる。


「セレナ、拘束を解いてやれ」

「はいはいさ~」


オルドを拘束していた土が元に戻っていく。


「いいのか?」


オルドはふらつきながらクラリスに近づこうとする。


「何がかしら?」

「俺はクラリスを」

「あなたにどんな気持ちがあったかなんて知らないわ、でもあなたは私にその力を見てほしかったんでしょ?」

「ああ」

「ならそれまでよ、それに私を物にしたいならバアルに勝たないとね」


「おい」


さらっと標的を俺に変更させられた。


「ありがとう、ありがとう」


オルドは泣きながら頭を土につける。


なにせクラリスの許しがなければ本当に死罪になるところだったんだ。


(ワイバーンには勇猛に突っ込んでいけるんだけどな)


少しイメージがおかしくなっているが、とりあえず納得することにした。


「さて、じゃあ約束通り、用事もないのに声をかけないでね」

「はい、本当にごめんなさい」


オルドの謝る姿が年相応に見えた。


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