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どこかで必ず誰かが犠牲になるもんだ

「はぁ~ようやく戻ってきた」


あれから10日ほどかけてゼブルス領まで戻ってきた。


「…………やっぱりたまっているよな」


自分の執務室に移動すると一メートルはありそうな書類の山が三つほど。


「やるしかないか」

「では紅茶を持ってきます」


リンが気を利かせて紅茶を取りに行った。


「さて始めるか」


学園が始まるまでにすべての書類を片付けて、今回の件の報告書を作り、北の交易町の問題点を挙げて始める。





ちなみにだが交易町にあったイドラ商会を覗くと何とか運営できていた。


緊急で店員を派遣し、店の状況を把握させ立て直し作業を行わせるのだが。


(案外にいい人材だったな)


あの臨時で店長にしていた彼女は、頭角を現し、派遣した店員も必要なかったかというほどに手腕を発揮していた。


ちなみに問題を作ったあの豚だが縛り首にしておいた。


(ローグもどうやら会えたようだしな)


交易町に帰ってくるときにはローグが到着しており、ルリィと護衛と一緒に町を回っていたのを見れた。


「あとはこれの使い道だよな」


アルムからもらった四つの果実、これをだれに食べさせるかだ。


(まぁ一年は放置しても腐らないって聞いたし置いといていいか)


果実についてはこのまま亜空庫にしまっておく。


セレナは訓練場で精霊魔法の練習をしていて、カルスたちは一室でメイドや執事から様々なことを習っている。


母上は外でアルベールとシルヴァを見て笑っている。


父は机でだらけている姿が窓から見える。


コンコンコン


「紅茶をお持ちしました」


リンが室内に入ってくる。


「私もいるわよ」


クラリスも続いて部屋に入る。


「うわっこの書類の山を一人でやるの?」


クラリスは驚いているがいつものことなので問題ない。


「それでどうした?」

「なんかまだ慣れないからリンにくっついてきただけよ」


やはりクラリスは偏見の目で見られている。


それがいまだになれないんだろう。


「そこは慣れてくれとしか言えないな」


こればっかりは馴染むまで時間がかかるだろう。


「それでどうだ?何か暮らしにくい点はあるか?」

「全くないわ、むしろ快適なぐらいよ」


生活の違いに苦労しているか尋ねると即座に返答してくれる。


「どうぞ」


リンが紅茶をいれるとテーブルにおいてくれる。


「クラリス様もどうぞ」

「ありがとう」


紅茶を飲むと俺は書類を片付け始める。


リンはソファーに座りながら武器の手入れを始め、クラリスはソファーに寝転がり図書室から持ってきた本を読み始める。







『……………頼む助けてくれ』


そんな中、外とからウルの思念が飛んでくる。


窓を開けてみると庭の真ん中で黒子ライオンと二人の赤子に引っ付かれているウルの姿がある。


もちろんそばにメイドがいるので心配ない。


「ウルよ、そなたに幸多からんことを~」


キャイ――――――ン!!!!!


つぶやいた言葉とウルの悲鳴が重なったことに俺たちは思わず笑ってしまう。

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