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争いの成り立ちと今の立ち位置

一言で言うなら俺が生まれる数年前に第一王妃が死んだのが争いの原因だ。


「なんで?」


まぁいろいろと省くがグロウス王国の王妃は本来その一人だったんだよ。


「え?そっちでは王妃は一人なの?」


まさか、その王妃が子を生せない時のために普通は(・・・)複数の王妃を娶る。


だが陛下はそれを頑なに拒否し、一人の王妃しか娶らなかった。


「なぜ?」

「そこは知らん、特殊性癖がちょうど合致したとかだったんじゃないか?」


そこの真相は俺も知らない。


だけどその王妃との間には三人の王女しか生まれなかった。


「あっ話が見えてきた」


そう、第一王妃が死んだことにより新しい王子を作ることができなくなった。


そうなると陛下も仕方ないと第二王妃と第三王妃を同時期に娶った。


「ちなみにだけど第二と第三の違いは?」


勢力、派閥の違いだな。


唯一の寵愛を得ていた第一王妃がいなくなったならばと様々な派閥が動き王妃を斡旋した。そして力関係はほぼ同じ、なので別段第二第三で権力の差などはなかったに等しい。


「なるほどね、それで」


そう、エルドとイグニアが同じ年に生まれてしまった。


「第一王妃の子を女王にしようと思わなかったの?」


ノストニアではどうだかわからないが、グロウス王国ではできない。


なにせ人族(ヒューマン)は弱い。


さらには女性なんて孕んでから出産まではとても危険な状態が続く。


場合によっては命を落とす、そんなことになれば国は大荒れだ。


国にとって次の代表を作り出すのは必須、なので避けては通れない。


その点


「男だったら出すだけ出して終了だもんね」


そう、一人の王妃が子を宿していても、ほかの王妃と子作りができる。


「まぁその分継承位争いが生まれそうだけどね」


そこは仕方がない王系が全滅して貴族たちがそれぞれ国を興すよりはよほどましだ。


なので第一王妃の子を王に仕立てようとする勢力はなく、第二第三王妃が同時期に王子を出産してしまった。


そしてお互いの派閥が欲を出し、それぞれ陛下にしようとしたためこのような事態に陥っている。








「はぁ~納得」

「本当に頭が痛いよ」


だが起きるべくして起きた問題なのだ、仕方ないと言えば仕方がない。


「で、今の勢力はそれぞれどんな感じ?」

「ほぼ互角、しいて言えば第一王子側がほんの少しだけ優勢」


それぞれ西と東に勢力圏を築いており、今は寝返り工作や無所属を取り込もうと必死になっている。


「バアルのところは」

「中立だな、どちらのが陛下になっても尽くすと約束している」

「まぁ無難だね」



リスクもリターンもゼロの立ち位置。


(いや、なんで協力しないんだって少しは恨まれるか)


ということでローリスク、ゼロリターンか。


「それじゃあ北の部分はどうなっているの?」

「アズバン家は後継者争いに参加しない、いや、できない」


アズバン家は外務大臣つまりは他国と強いつながりがある。


自身の懐に入られると他国に情報が漏れ出るリスクが生じてしまう。


それだけは国として、してはならないのだ。


ネンラールもクメニギスも隙を見せたら食らいついてくる、なので外務大臣であるアズバン家は継承位争いに参加させないのが暗黙の了解だ。


「それじゃあバアルはモテモテだろうね」

「嫌なモテかただけどな」


俺は中立を崩すつもりはない。


なにせお互いの派閥が蹴落とすために何をやるのかわからないのだから、監視者をする派閥が必要になる。


「これで話せるところは全部だ」

「ありがとう、参考になったよ」

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