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早まったかもしれない契約

翌朝、俺は朝早くからアルムに拉致られ城の一室にいた。


「で、どうしたんだよ急に?」

「いや~バアルも契約できたって聞いたから、どんなのか見てみようと思ってね」


肩をすくめながらイピリアに出てくれって伝える。


『なんじゃ?まだ眠いんじゃが』


イピリアは頭の上で仰向けに寝転がっている。


「こいつ」

「へぇ~中級精霊か、どう?知り合い?」


アルムがつぶやくと俺を囲むように四体の精霊が姿を現す。


「まずは紹介するね、僕と契約している精霊さ」


まず、紅いオオトカゲは火の上級精霊『不滅の焔(サラマンダー)』。


『よろしく、人族(ヒューマン)


次に深い青色の人魚は水の上級精霊『静かな漣(ウンディーネ)』。


『よろしくね、人の子』


腕が翼になっている翠の子供は風の上級精霊『踊る疾風(シルフ)』。


『よろしくね~』


最後に土で出来ているカラーコーンをかぶっている小人、正体は土の上級精霊『遍在の大地(ノーム)』。


『…………』ペコリ


この四体の精霊がアルムの契約精霊だ。


「そういえば複数契約している場合は精霊王はどうなるんだ?」


一つ気になっていることを聞いてみる。


「簡単さ、契約している上級精霊全員が精霊王となるんだよ」


つまりはここにいる全員が王級となったらしい。


「………俺何かした?」


四体の精霊は俺のことを、もっと言えばイピリアを凝視している。


『『『『起きろ爺』』』』


四体の思念が響いてくる。


『うっさいの~』


思念を受け取ったイピリアは眠そうな思念を飛ばしながら起き上がる。


『…………ああ、四バカかどうした?』


この思念が響くと何やらすごい圧が感じられる。


「おい、仮にも精霊王なんだからある程度は敬意をもって接しろよ」

『それじゃあおぬしも敬意をもって接しろ、儂は四度精霊王になったのじゃぞ』


俺にまで被害が及びそうなので注意をするが、聞き入れる気はないらしい。


「知り合い?」

『遺憾ながら』

『残念ですけど』

『はぁ~』

『………』(頷こうとするが頷きたくない)


四精霊を見ると微妙な反応が返ってくる。


『なんじゃ?昔はよく遊んでやったろうに』


イピリアは懐かしそうに目を細める。


「なんか反応がおかしいんだが」

『照れているんじゃろう』


そんな反応には見えない。


すると不滅の焔(サラマンダー)は器用に手招きして俺を呼ぶ。


『実はな―――』


アルムと契約しているこの四体は同時期に生まれた精霊なのだが、その時にはすでにイピリアは存在しており、年齢としては約300歳違いだという。


『だから俺たちはあの人のことを爺と呼んでいる』

「そうですか、それでなんで苦手そうにしているのですか?」

『それはな―――』


一言でいうとイピリアは変人(変霊?)なのだ。


『普通に上級精霊なのに当時の精霊王にケンカを売ったり、聖獣の子供をおちょくって親の怒りを買っていたし、一時期は精霊王としても働いていたのですが、神樹に勝手に指示を与えて土地の豊かさを邪魔したり天候を壊したりと、やりたい放題』


この話を聞いてくるとDQNというワードが頭をよぎる。


『実力はあったから消滅はしていなかったが相当厄介な存在だった、かくいう俺も何度もいたずらされて迷惑していた』

「…………」


やばい、契約するの早まったかもしれない。


領地で雷なんか落とされたら山火事にでもなりかねない。


『それで仕方なく、遠方の地にうまく住まわせることができたのですが、いつの間にか無くなっていて』

『ある意味消えて安心したから下手に捜索なんかもしなかったしね』


横からシルフが会話に加わる。


『さすがに今の状態なら私らでも抑えることはできるから問題ないけど………神樹の外に出ると何をやらかすかわからないわよ』


なるほど、イピリアがエルフではなく俺と契約したのはこのためか。


ノストニアで好きにやろうとすると力が落ちた状態だとすぐに押さえつけられてしまう。


なら力が戻るまでは抑える存在がいない場所に行こうということだろう。


『安心しろ人の寿命ほどなら全盛期までの力は戻ることはない、何かあったらここに連れてこい、抑えてやるから』


なんとも頼もしい。


『話は終わったかのう?』

『ああ、爺俺たちがいる間変なことをするなよ』

『わかっとるわい』


とりあえず精霊たちはイピリアに釘をさすと消えていく。

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