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精霊の階級

クラリスに連れられて僕たちは賑やかな街中に戻る。


アルムはいいのかと聞くと。


「問題ないわ、もとよりアニキたちは三日間神樹の祭壇に籠りっきりになるから」


なのであの場所での役割は見送りだけだったらしい。


「それよりも早くしないと、いなくなっちゃうわよ」


クラリスの言葉に何がと聞くと見たほうが楽しいと言われた。






「ああ、もう顕現している」


クラリスが何を指してそう言っているのか質問する人物は俺らの中にはいなかった。


「急ぎましょう」


町を進んでいくと昨日とは段違いの熱を感じる。


それもそのはず、町の中には様々な淡く輝く動物や光の玉が至る所にいるのだから。


「これが精霊よ、神樹から放出する魔力と精霊王の祝福でこの三日間だけ姿を見せてくれるの」


数多くのエルフが精霊石をもって町の中を練り歩いている。


「クラリスさん!それで精霊石はどう使えばいいのですか!!!」


セレナは興奮を抑えられないのかクラリスに詰め寄ろうとする。


「こら」

「ぐぅえ」


襟首をつかみ阻止する。


クラリスはこう見えてもノストニアの王族だ、こう見えても。


「ふふ、簡単よ、精霊石に魔力を注ぎ込めればいいのよ」


アドバイスをもらうと早速セレナは魔力を籠め始める。


「ふんぬぬぬぬぬ」


なにやら変に力んだ声が聞こえるがとりあえず無視する。


「セレナちゃんもう少し魔力は少なくていいわ」

「そうなんですか?」

「ええ、むしろ程よくやらないと魔力が少ない人族(ヒューマン)は機会が少なくなるわよ」


セレナはアドバイスをもらいながら籠める魔力を調整していく。


「なんでこれが精霊を呼び寄せられるんだ?」

「ああ、それはね―――」


精霊石は効率よく拡散させることが目的らしい。


「精霊は自分に適した魔力を持つ存在に宿るの、だから魔力を拡散させていろんな精霊に呼びかけるのよ」


つまり数撃てば当たる作戦というわけか。


精霊石で効率よく魔力を増幅拡散させて自身の魔力がどんなのかを宣伝する。


そして自分に適した精霊を見つけて契約する、それがこの祭りの趣旨なのだとか。


(なるほど、セレナが興奮するわけだ)


セレナならこの祭りの趣旨は知っているはずだ、なのでこんなに興奮して契約しようとしているのだろう。


そしてすでに契約しているエルフたちは露店を開いたりして各々祭りを楽しんでいる。


中には精霊に餌付けなどをしている露店すらもある。


「普通の祭りと思って楽しめばいいわよ」


ということで幻想的な祭りを楽しむことにした。











一日目の祭りを楽しみ、アルムの別荘に戻ってきた。


ズゥウウウウゥゥゥゥンンンン


という擬音が聞こえそうなほど落ち込んでいるセレナがいる。


「まぁ仕方ないさ」


机に突っ伏しているセレナを慰めている父上。


「すみません」

「いいのよ、セレナちゃんは期待していたものね、落ち込むのも仕方ないわ」


母上もセレナに声をかける。


「まだあと二日あるから、頑張りましょ」


クラリスすらセレナに声をかけている。


「うぅ、ありがとうございます」


セレナは祭りの最中何度か倒れそうになった。


理由は魔力切れになりそうだったからだ。


「なら初めから精霊石に魔力を籠めることをお勧めするわ」


今朝、クラリスがやっていたあれのことらしい。


あらかじめ魔力を入れておけば、自動的に拡散してくれるらしく、その間に魔力回復に努めることができるという。


「………それにしても」


俺は遊んでいる三人を見る。


「「……………」」


セレナとクラリスも複雑な目でノエル、カリンを見ている。


その理由は明白、二人とも精霊と契約できたのだから。


ノエルの周りに藍色の光る球が、カリンの周りには緋色の光る球が浮かんでいる。


クラリスの説明によると、あれが生まれたばかりの精霊なのだとか。










精霊には階級があり、低級、中級、上級、王級と別れている。


低級は今二人の周りを飛んでいるようにいまだ確固たる姿を持たない精霊のことを言う。


中級は何らかの姿を持つことができるようになり、意思を持つようになった状態のことを指す。


上級は自力で顕現できるようになった精霊のことを指す。


王級は以前説明した通り、森王と契約している精霊のことを指す。この精霊は神樹とつながることができ上級とは一線を画す実力を得ることができるという。









そしてそんな低級精霊に二人は認められた。


すでにクラリスの指導のもとで契約もできている。


ノエルの精霊は闇属性でカリンの精霊は火属性だとわかっている。


(俺も精霊と契約できるのかな)


壊れた精霊石を見ながらそう思う。

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