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クラリスの祈り

「だから無属性の精霊石が一番安くて、次点が一つの属性持ちの石、その上が二つの属性を持っている石と、どんどん上がっていくんだ」


エルフの店主は詳しく解説してくれる。


「属性はどうやって調べるんだ?」

「は?…………ああ、そうか、君たちは人族(ヒューマン)だったな」


何を当たり前なことをという顔だったのだが俺たちが人族(ヒューマン)ということで納得の顔になった。


「簡単に言えば調べる必要はないよ、なにせ僕たちは見ることができるからね」


その言葉を聞いて納得した。


エルフは魔力を見ることができる。


「だからいちいち調べる必要なんかないさ」

「じゃあ、俺だったらどの属性が一番強い?」

「「雷」」


店主とクラリスは聞くまでもないといったように即答する。


「となると俺は雷の精霊石を持っておけばいいのか?」

「ええ、もちろんほかの魔石でも大丈夫ですね、あなたなら水、風の属性も有しているみたいですし」


そのあとにもちろん雷がダントツで突き抜けているという言葉をもらったが。


「どうする?買ってみる?」


その言葉を聞き、精霊石をながめていると、ふと思い出す


「なぁこれって使えるか?」


俺が出したのは以前クラリスと入った洞窟で見つけた『壊れた精霊石』だ。


「へえ~あなたも持ってはいたのですね」

「ああ、とある場所で拾ってな」

「しかし、これはすでに精霊が宿っていますよ」

「そうなのか?」


説明文では『精霊が住み着いていた精霊石。だが壊れてしまい精霊が住み着けなくなったもの。』としか書いてなかったため、そこまではわからない。


「直したらどうでしょうか?」

「ん?直せるのか?」


水晶は中までひびが入っており修復できるとは思えない。


「神樹の魔力に長く当ててやれば修復はできますよ」

「どうやればいい?」


魔力を当ててやればいいと言われても、魔力が見えない俺たちからしたらどうすればよいのか見当つかない。


「簡単ですよ、この街にいればいいだけですから、ですがその際に肌身に着けていなければいけませんよ」

「情報感謝する」


ということで精霊石をポッケに入れながらほかの場所も散策する。









結局前夜祭では店を冷やかすだけで終わった。


(セレナはあの店主と交渉して『大地の精霊石』を買ったらしいけどな)


金銭はどうしたのかと言うと交易町のイドラ商会でエルフの通貨を得ていたのだ。


町では両替商なども存在して金銭のやり取りはある程度楽に行える。


「セレナは目の色変えて手に入れようとしていたのか」


俺はアルムの別荘ので星空を眺めながら精霊石を空にかざす。


(あんな場所に奉られていた精霊か………)


どんな存在だったのか興味がある。


「お前はなんであんな場所にいたのか、説明してもらうからな」


何が出てくるのか楽しみだ。











『起きろーーーー』

「グフッ!?」


お腹に結構な衝撃がくる。


「って、なんだよ」

『おはよー』


目を覚ます元凶は腹に乗っているネアだ。


「なに、朝からボディプレスしてくれるんだよ」


窓の外を見てみると外はまだ暗いままだ。


『今、外に行ってみれば面白いものが見えるよ!!』


ということでネアに連れられて外に出る。






外に出るとうっすらと空が色づき始めている頃だった。


「それでなにが」

『あそこ』


ネアの視線の先では、地面に座り込み必死に何かを祈っているクラリスの姿が見える。


『クラリス、毎年、あんなことやっている』


ネアは気軽に言っているが、俺からしたら鬼気迫る気迫で必死に懇願しているようにしか見えない。


「…………一応聞くが何やっているかわかるか?」

『ん~なんでも精霊が来てくれますようにってお願いしているんだって』


クラリスがだ。


力を求めて精霊と契約したいならわかる、だがクラリスはすでに十分な実力を持っているはずなのだが……


(そういえば、ウライトもクラリスと精霊の件で口を挟んでいたな)


雪山で不自然に割り込んできたウライトを思い出す。


(……部外者はすっこんでいた方がいいか)


ということでクラリスに声を掛けずに外に出ようとするのだが。


「そこは声を掛けるのが普通でしょ」


目を閉じながらクラリスは声をかけてくる。


「なんか祈っていたみたいだから邪魔しないようにしたんだがな」

「余計なお世話よ、それでどうしたのこんな朝早くに?」

「お前の使い魔に起こされたんだよ」


俺たちは足元でうろうろしているネアに視線を合わせる。


『な~に~?』

「はぁ、そうだったの」


クラリスはネアを抱える。


「でもこの時間から外に出るのは少し不用心よ」


たしかに俺はこの国の住民じゃない、下手すればスパイ行為をしていると勘違いされてもおかしくない。


「確かにそうだな…………じゃあどこかに案内してくれよ」

「いきなりね」

「クラリスとなら変な目で見られないからな」

「はぁ~どこにいきたいの?」


一応は聞いてくれようだ。


「できればみんなが起きるまでゆっくりできる場所で頼む」

「………そうねいいところに案内してあげるわ」


少し考えこんだ後に何やら面白い笑みを浮かべる。

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