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仕事を増やしやがって!!

「……………どう考えてもお前と豚は繋がっているだろうが」


イドラ商会の事務所で書類を整理しながらぼやく。


王家よりの人間なら魔道具に税がかからないということは知っているはずなのだ。


なにのエウリッヒは知らないふりをした。


(袖の下でももらっていたのだろう………だがアズバン家の横やりを防ぐということでエウリッヒは処罰できない)


エウリッヒは王家から派遣されてきた町長だ、これに異を唱えることは大事でもない限りできない。


(豚がいくらエウリッヒと繋がっていたと証言しても証拠がなければ意味がない、それにエウリッヒはもとより豚を切り捨てるつもりだったはずだ、証拠を残すとは思えない)


あくまで白を切りとおすだろう。


「とりあえず従業員全員の面談が必要だな」


似たような存在がいるならめんどくさいことになる。


そして早急に豚の代役を立てなければいけない。


「リン…は、いないんだったな」


頼ろうとするがいないことに気づく。


と言うことで歩いて従業員を集める。









と言うことで今日は店を閉め、休み問わず店員すべてを呼び出す。


来なければ強制解雇と言うことを伝えると全員が集まった。


「さて、君たちに現状を話しておこう」


陛下の許可を得て魔道具に税がかからないこと、エルフと友好的にしたいので安い値段で売り出していること、豚がどのようなことをしたのかなど。


「と言うことで、ブータスは処罰される。奴の二の舞になりたい奴はいるか?」

「「「「「「「…………………」」」」」」」


当然声は出ない。


「さて、だが当然指揮する奴がいなければ店は動かない」


俺は代理の店主を選ぼうとしているのだが豚がどうなったか理解していて、全員なりたいとは思わない。


「なので今ここで次の店長にふさわしいと思うもの自分以外で指さしてもらう、では行くぞ」


合図をすると7人の店員は分かれる。


「お前か」

「ひっ!?」


指差されたのは弱気そうな女性の店員だった。


「おい、前に出ろ」

「は、ひぁい!」

「ではこの者を代理店主とする、いいな?」

「「「「「「はい」」」」」」


と言うことで代理店主(生贄)以外を解散させる。


「さて、では座れ」

「ひゃい!?」


普通に話すだけでも緊張している。


「ではお前の話を聞こう」

「…………話ですか?」

「そうだ、この店が始まった後、店の状況は?店員の態度は?商品の売れ行きは?」


彼女は少し考えてから話してくれた。


「お店が始まる時に店主、ブータス様が急に値段を変更し始めました、なんでも『これでは店が成り合ったぬ』といって」


ビキンッ


思わず椅子の一部を握り潰してしまった。


「!?」

「いや、すまないそれよりも続きを頼む」

「は、はい。店員の態度はまぁ普通です、少し気の悪いお客さんに対しては微妙な対応ですがおかしい点はないと思います」


それは朗報だ、豚と同じ性格だとエルフに対して敵意でも出してそうだったからな。


「最後に売れ行きは微妙です」

「微妙か」

「はい、値段の関係で人族(ヒューマン)は買うことはありませんでしたし、エルフもそこまでお金を持っていないので最近ようやく何点か購入するものが現れたぐらいです」

「あんな値段じゃそうなるよな…………」


あの豚を脳内で五度ほど殺す。


「幸い、裏帳簿も手に入った、今まで買い物したエルフには差額分を返金しろ」

「わかりました」


明日にはノストニア側の交易町に行く、そこで説明してエルフたちに戻ってきてもらおう。


「あのぅ、私はタダの店員です。明日から店長と言われても………」

「大丈夫だ、俺が本店から臨時の店主を用意する、君はそれまでのつなぎだ」

「そのつなぎが務まるかどうか…………」


不安になっている女性店員。


「マニュアルを渡す、これで何とか持ちこたえてほしい」

「ですが」


ジャラジャラジャラ


金貨が入った袋を置く。


「もちろん、相応の金額も出そう」


ゴクリッ


「もちろん多少の失敗にも目を瞑ることを約束しよう」


少し表情が軽くなった。


「そしてとある魔道具を渡しておく、もし本当にどうすればわからないのならこれで連絡して来い」


こうして何とか納得してもらうことができた。










「はぁ~~これぐらいか」


事務所の最後の書類を整理し終わる。


「あの~ここにバアル様はいますか?」


窓の下からセレナの声が聞こえる。


「おぅ、いるぞ~」


さすがに疲れているので気の抜けた声で返事をした。


「入っても大丈夫ですか?」

「ああ、入ってこい」


階段を上り事務所に入ってくる。


「うわっ、なんですかこの書類」

「………説明するとめんどくさい」

「そこは長いじゃないんですね」


イドラ商会で何があったかを説明してやる。


「へぇ~それでこの惨状か~」

「その通り、それでなんでここにいる?」


なんでここにセレナがいるのかと言うと、そろそろ夕餉の時間だから戻ってきてほしいと伝言を頼まれたそうだ。


「そうなんだじゃあ戻るとするか」


全ての書類を元に戻し、位置を記した紙を事務所の目立つところに置いておく。


「さて、行くか」

「はい、今日は豪勢なお食事でしたよ」

「そうか楽しみだ」


セレナと一緒にエウリッヒの屋敷に向かう。

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