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貴様は何をやっている

村は三日月のような形になっており、弧の部分に家や倉庫が立ち並んでおり、空白の部分には大きな市場が立ち並んでいる。


そして商店などは市場と倉庫の間に立ち並んでいる。


「おい、新商品が届いたそうだぞ!」

「本当か!」

「数は?!」

「そこまで多くない」

「急がないと」


何やらローブを被った集団が真横をすごい勢いで通り過ぎていく。


(どこの店だ?)


気になったので後を付ける。


「…………ここかい」


店の看板には見慣れた文字でイドラと書かれている。


「いらっしゃいませ」


店に入ると声が掛けられる。


中は広くはない、なにせ魔道具がある程度空間を取ってしまっているからだ。


「これ、だよな?」

「ああ、これのはずだ」


先ほどのローブを被っている人たちが冷蔵庫の前で何かを相談している。


(………店員はどうした?)


商品を説明して、口八丁で売り込むのが普通なのだが。


店の中に店員を見回してみると、どことなく怯えた表情をしている店員がいる。


(怖がっているのか?)


客に対して怖がる奴があるか、もちろん盗まれないように警戒するのは普通なのだが、あれは怯えしか見せていない。


「はぁ~~」


仕方ないと思いローブに声を掛ける。


「そこのかたがた、何をお探しですか?」

「ん?子供?」


振り向いたときに気づいた、この人たちはエルフなのだ。


「まぁ子供ですが、魔道具については詳しいですよ」

「そうか、勉強していて偉いな」


そう言って一人のエルフが頭を撫でてくる。


「じゃあ、これについて教えてくれるかな?」


傍に居るエルフに頷き、質問に答えていく。











冷蔵庫、レンジ、電気毛布、アイロン、ミシンなどエルフに売れそうなものを厳選している。


「ありがとうな坊主」

「ええ」


品物を持ち、レジに向かうエルフ達。


(やはり冷蔵庫とレンジが一番人気か)


事前に調べてあった通りだ。


「金貨7枚だな」

(…………は?)


店を出ようとするのだが足が止まる。


「やっぱり魔道具は高いな」

「仕方ないさ、これほど便利な道具なんだからな」


エルフはその値段で支払いをしようとする。


「ちょっと待て」


その手を掴み止める。


「えっと、どうしたんだ?」


エルフの青年が戸惑う。


「おい、店員この値段はどういうことだ?」

「なんだこのガキ」

「どういうことかと聞いている」


ピキッ


床にひびが入る。


「この値段を指示したのは誰だ?」

「あぁ?それはもちろん店主に決まっている」

「じゃあ、その店主を呼べ」

「ああ、なんで「呼べ」」


強めに言ってやると店員は裏に行き、店主を呼んできた。


「なんじゃ、われを呼び出すとは」

「…………誰だこいつ?」


俺はイドラ商会の会長だ、もちろん今回の交易町ルナイアウルに出ている簡易イドラ店の事情も知っている。


(確か店主は聡明で武芸の達人、性格も温厚な人物と報告が入っていたんだが)


「何をしているこやつをつまみ出せ」


目の前にいるのは愚鈍な贅肉だらけの傲慢な豚だな。


「はぁ~」


急いでこの店を用意したのが仇になったな。


「エルフの皆様、少々お時間をいただいてもいいですか?」

「あ、ああ」


エルフの承諾も得た。


「お前は誰だ?」


俺が聞くと気持ち悪い顔で笑う。


「われはこの交易町ルナイアウルのイドラ商会支店長、ブータス・セラ・ウイルフだ」


書類で見た名前と同じと言うことはこいつが店主で間違いないらしい。


(これは俺の失態だな)


時間がないと書類のみで判断したのが失敗だ。


「(………俺のことに気づいていないな)なんだこの値段は王都でもこんな値段はしないぞ」

「なんだ小僧、何もわからぬくせに」

「じゃあ教えてくれよ、なんでこんな値段で販売しているんだよ」


するとムッとした後、エルフ達を見ている。


大方、不審に思われたくないのだろう。


「ガキにはわからんと思うがな、この地に来るまでの費用というものがかかっている」

「この土地に来るだけでこんなに掛かるかのよ」

「そうだ、なにせイドラ商会の魔道具は高性能だからな」


この説明にある程度納得の余地はある。


だが


「俺は以前イドラ商会でこんなことを聞いたぞ


『イドラ商会はノストニアのために本店と同じ値段で魔道具を売り出す』


ってな、ついでに本店での値段だがな――――」


説明してやるとエルフ達は唖然とする。


そしてそれをエルフ達の前でばらされたことによって豚が赤くなっている。


「小僧をつまみ出せ!!」


豚の言葉でこの店に雇われている用心棒が掴みかかってくる。

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