本領発揮
俺たちはそれぞれ背中を合わせて対処している。
「ガル!」
「おらよ!」
槍で狼の脳天を叩く。
「し、かし、これではキリがないなでござるな」
リンも刀で切りつけるが毛が硬いせいでなかなかダメージが入らない。
「どうしますか若様!」
ラインハルトもなかなか有効打を与えられない。
「仕方ない、これを使え!」
俺は時空魔法を発動して強化ポーションをリンに魔剣をラインハルトに渡す。
「ですが!」
「命には代えられないだろう!」
リンは考え込むと決心して
「ゴメン!」
ポーションを飲み干す。
するとリンの体が輝きだす。
そして
「ふん!」
刀を一閃をすると狼の首がちぎれる。
(すごいな…あの一瓶でここまで強くなれるのか…)
それからリンは文字通り一騎当千の活躍を見せる。
「これは負けてられない」
ラインハルトは魔剣に手を触れると闇と呼んでもおかしくない黒い物体がラインハルトに纏わりつく。
「グゥ……ハッ!」
こちらもリンに劣らず狼を狩り始める。
(…まるで堕ちた聖騎士だな……)
金髪の髪は黒く染まり、比較的に白が多かった鎧は真っ黒に染まっている。
「じゃあ、俺も全力を出すか」
久しぶりにユニークスキルを全開にする。
空気にオゾン臭が漂い始める。
「ふっ――――」
(すごいでござるな)
主君であるバアル殿の活躍を見ている。
何かをつぶやくと主君の体に太い蛇のような稲妻が纏わりつく。
「ふっ」
息を吸い込むと体が残光を残して消える。
「え?」
なんだあれは―――違う一度見たことがある、手合わせした時死角を取った縮地のようなものだ。
そして狼たちの中心で大規模な放電が起こった。
そちらを見てみると主君が狼たちの中心でたたずんでいた。
「ガル!」
狼が襲い掛かるが主君が腕を一振りしただけで頭がつぶされる。
そして主君が槍を構えれば、残光を残して狼を蹂躙していく。
「某も負けるわけにはいかないでござる」
あのポーションのおかげで羽のように軽くなった体を動かし狼たちに襲い掛かる。
(やっぱりこの状態は長くは続かないな)
自分の魔力の感覚で約2分活動できるかぐらいだとわかる。
(『飛雷身』)
まずは狼の中心部に移動する。
(そして『天雷』)
俺を中心に起きた放電が狼たちを襲っていく。
「ガル!」
一匹が襲い掛かってくるが
(邪魔だ)
腕を振るい頭をつぶす。
振りぬいた腕には黄色い鱗のような跡がある。
これはユニークスキルを全力で使った際に浮き出るものだ。
ちなみに今の状態はこうなっている。
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Name:バアル・セラ・ゼブルス
Race:ヒューマン
Lv:4
状態:天龍化
HP:87/135
MP:177/368
STR:15+200
VIT:18+200
DEX:28+200
AGI:35+200
INT:68+200
《スキル》
【斧槍術:25】【水魔法:2】【風魔法:2】【雷魔法:8】【時空魔法:3】【身体強化:3】【謀略:14】【思考加速:4】【魔道具製作:8】【薬学:2】【医術:7】
《種族スキル》
《ユニークスキル》
【轟雷ノ天龍】
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となっている。
(数値が5も違うと歯が立たないというのに・・・・)
この状態になると全体的に200加算される。
(それよりも早く終わらせないとな)
魔力の消費量が遥かに多くなっているので技は使わずに移動して殺し、移動しては殺しを続ける。
「「「はぁ~」」」
狼たちの死体を眺めながら俺たちは背中合わせに座り込む。
「にしても何匹いたんだこいつらは」
「某は40までは数えたが、それ以降は」
「私は30までです」
つまり少なくとも70匹は居たわけだ。
すると違和感を覚える。
「なぁステージ型は全部殺すと宝箱が現れるんだよな?」
「そのはずでござる」
俺たちの脳裏に一つの考えが思い浮かぶ。
そして頭上から物音が聞こえる。
「散開!」
急いでこの場から離れる。
ズドン!
俺たちの居た場所に大きな巨体が降り立つ。
グゥルウルゥゥゥゥゥゥゥ
「おいおい、冗談きついぞ」
どう考えても先ほどよりも上位個体だろう。
先ほどよりも二回りも大きい体躯に、闇を纏い身に着けているような黒い毛、その中にある血を思わせる赤い胸毛は食事後のようにも見える。
そして何よりも目立つのは狼の体躯よりも大きい肉断ち包丁だ。
即座にモノクルを取り出して確認する。
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Name:
Race:スターヴウォーウルフ
Lv:15
状態:飢餓
HP:650/650
MP:880/880
STR:38
VIT:40
DEX:28
AGI:46
INT:19
《スキル》
【万貫牙:7】【断爪:11】【闇魔法:8】【嗅覚強化:15】【夜目:15】【影潜り:8】【視野広化:8】【病魔の息:13】【自動回復:9】
《種族スキル》
【飢餓の暴虐】
《ユニークスキル》
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