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珍しい訪問者

エルドが頼み終えるとイグニアが制止する。


「なんだい?」

「それは俺も頼もうとしていたところだぞ!」

「はっ、君みたいに知恵の無いものに交渉ができると思うのか?」

「そっちこそ、そんなネクラな性格じゃ向こうで親しくなることすら怪しいな!!」


めんどくせぇ。


「残念ですが、お二人ともそれはできません」

「…なぜですか?」

「なぜだ!!」




「考えてください、ようやくノストニアと国交できるようになったのです、なのに向こうにこちらの国の、もっと言ってしまえばお二人の闘争の種を持ち込めと?さらにはノストニアの交易は陛下の肝いりです、先の使節団に無理やり人員を組み込みこじらせたのはどこの誰ですかな?」



そういうと二人とも痛いところを突かれ、嫌な顔をする。


「あれはあの貴族が勝手にやったことだ」

「ですがイグニア殿下の推薦で使節団に選ばれたと言っても過言ではないのですよね?」

「ぐっ」


エルドはこの件については文句を言わないようです。


「いいですか、少なくとも3年はこういった争いの種は持ち込まないようお願いします、これが守られない場合は私はノストニアに口利き、弁明は一切いたしませんよ」


そういうと二人とも渋々分かったと言ってくれる。


「いいんですか、そこまではっきりと言って」ボソッ


リンが耳打ちで聞いてくる。


「仕方ない、こいつらはこう見えても王族、それも継承権のある王子だ。下手に逆らおうとする貴族はいないだろうし、むしろ王子の命令という大義名分で突っ走りそうな貴族もいる」


だからはっきりと言い、諫めるほかない。


(何よりノストニアは新しい商売の種、そこを荒らされては困る)


せっかくエルフに魔道具の有用性を見せつけて儲ける準備もしているのだから。









「そういえばバアルは婚約者を探さないのか?」


話題は変わり俺の婚約者の話になる。


「残念ながら」

「なら俺が紹介してやろうか?」


イグニアはそういうが


「いえ、今は仕事が忙しいので当分そのような話は受けないつもりです」


もちろん断る。


「では、数年後僕が婚約者を紹介しましょう」

「いや、俺がする」


二人は何も親切心でこういっているわけではない、彼らは自分の派閥から血縁関係を持たせて自派閥に引き込むつもりだ。


「もしかして、もうすでに決めた女性がいるのですか!?」


レインが乙女の顔をして詰め寄ってくる。


「(女性っていつまでもこういう話題が好きだよな)いえ、そのような人はいませんよ」

「え?でも……」


レインはリンのことを凝視する。


「リンは俺の護衛です、ちょうどいい相手もいなかったから連れてきただけですよ」

「……そうなんですね」


なんかガッカリとした表情になっている。


それからほどなくして両殿下は自身の配下に連れられて別のところにあいさつ回りに行った。


殿下たちが去った後は穏やかな時間を過ごすことができ、無事パーティーは終了した。















パーティーが終わってから本来ならすぐ帰るのだが、今回はノストニアの件で父上への来客が数多くいたので帰るのは2週間後となった。


(久しぶりに掃除しに行くか)


学園の特権で借りている家だが、メイドなどは雇ってないので埃だらけになっているだろう。


「お手伝いします」

「私も」


と言うことでリンとセレナを連れて借りている家に掃除しに行く。





そして案の定すべての部屋が埃だらけになっていた。


「しかし意外ですね」

「何がだ?」

「バアル様みたいな貴族が私たちみたく掃除することがです」

「いや、プライベートスペースに人を入れたがる奴がいるか?」


実家はすでに多くのメイドがおり通例なので何も言わないが、できれば自分の部屋は自分で管理したいほどだ。


「へぇ~貴族でもそう思う人はいるんですね」


なにやら感心したようにつぶやく。


「そろそろ終わるな」

「そうですね、戻りますか?」

「……いや、今日はここで過ごそう」


下手に帰ると俺まで話し合いに参加させられそうだ。


「では食料を買ってきます」

「私もお手伝いします」


と言うことで二人は買い出しに行く。


(さて、俺は何をしようか)


帰って来るまで暇なので常備している書類を片付けようとするのだが。







コンコンコン


扉がノックされる。


(誰だ?)


リンやセレナだったら鍵を渡してあるのでそのまま入ってくることができる。


「誰だ?」


扉にはドアアイなどないので開けなければ外を確認できない。


「バアル様ですか?」

「ああ、お前は?」


どこかで聞いたことのある声だ。


「私はソフィアです」

「ソフィア?アークとよくいる?」

「はい」


扉を開けてみるとそこにはローブを被ったソフィアがいた。


俺は周囲を見渡すがソフィア一人だけだった。


「なんのようだ?」

「………実はノストニアの件で」


とりあえず中に入れてお茶の用意をしてやる。


「それでもう一度聞くけど何の用?」

「実は私たちを助けてほしいんです」

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