表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
239/470

とてつもない婆さんだな

「はぁ~~~~」

「今回はどうしたんだい」


俺は久しぶりに骨董店メルカに来ている。


「あんたたち、壊れやすいものもあるんだ無暗に触るなよ」

「「「は~い」」」


カルスたちは店の中を探索しに行く。


「で、どうしたんだい?女性の買い物に付き合った男みたいに」

「……」

「まさにそれです」


俺の代わりにリンが答えてくれる。


「正確にはバアル様の服を決めていたのよね」

「は~そんなことかい」

「そんなことって……案外大変なんだぞ」


決まりそうになったら、やっぱりこっちが、とか、もう少し色合いが、とかで一日全部使って、ようやく決まったのだ。


「にしてもこんなところに居ていいのかい?確か王家が開催するパーティーは明日だろう?」

「問題ない既に準備は終えている、それに今日の来客はすべて父上が対応する予定だからな」


なので本日は久しぶりに王都に出かけている。


「そういえばこのお店は何を売っているの?」


セレナは店の中を見渡して疑問を浮かべる。


「何って、あんなの」


指差しした先には様々な骨董品、壺や絵画、何かのはく製、古びた木像、見たこともないような置物が並んでいる。


「…………知らないものしかないんですが」


ゲームの知識を持っているセレナでも知識のない奴ばっかりなんだな。


(いよいよ、怪しいな)

「あ、でも鑑定のモノクルがあるから問題ないわね」


あ、バカ。


「なんだい若はモノクルを持っているのかい?」

「なんだ、使っていいのか?」

「儂は偽物は売らないぞ」

(普通店側からしたら、真偽がわかる鑑定のモノクルは嫌な存在じゃないのか?)


まぁ店からの許可が出たので遠慮なく使わせてもらう。


―――――

紅巌の壺

★×4


貴重な純粋な紅巌を削りだした壺。純粋な紅巌はかなり希少で大規模の鉱床でもめったに手に入らない。

―――――


―――――

絵画『白風の流れ』

★×4


今は亡き巨匠エイル・カヴリシュアの最後の一作。マニアの間ではかなりの高値がつく。

―――――


―――――

怪狂音鳥(ヴィルビ)のはく製

★×4


全ての生物を狂わせる怪狂音鳥(ヴィルビ)のはく製。はく製の元となった怪狂音鳥(ヴィルビ)は声を聴くだけで周辺の生物を狂わせる怪鳥で、周囲に何も存在しない時に討伐を推奨されている。驚くほど傷は少なく、ほぼそのままの状態で保存できているため価値が高い。

―――――


―――――

鬼神武者の木彫り

★×3


ヒノクニの伝説『鬼神武者』の木彫り。千年経過したとされる松の木材を削り作られたもの。木材だけでも価値があり、さらにはこれを作ったのは様々な木像を作った有名な木工師シテン・イカチツだということも価値に含まれる。

―――――


―――――

星差し

★×5


古代に星の方角を確かめるために使われていた道具。使い方は魔力などは使わず手動でで行う。

―――――



「……まじか」


鑑定したモノクルには偽物が一つもなかった。


「どうじゃ、偽物はあったかい」


そう言っておかしそうに笑う。


「いや…………ほかの物も鑑定していいか?」

「もちろんじゃよ」


出ている物を見ても偽物などなかった。


「………そういえば」


俺はここで買った祭壇を取り出す。


(これずっと『亜空庫』に入れていたが)


―――――

天獣の祠

★×5


【魂混生誕】


天獣の無精卵を祭る祠。中央に祭られた卵は命が入っていない卵だ。だがそこに命が宿るのなら再び生命が生まれる可能性もあるかもしれない。なお、卵は天獣の名に恥じなくあまりにも強い衝撃を加えない限り割れることはない。

―――――


これも嘘ではなく本当に価値のある物だった。


「どうじゃ?」

「どうやったらここまで本物を揃えられるんだか」

「まぁそこは老婆の勘かのぅ」


正直、大枚はたいても手に入れていいものだ。


(それにしてもたまにスキル持ちの道具もあるんだな…)







スキル持ちの道具、それは言葉通りスキルを持っている道具だ。


スキル持ちはダンジョンで手に入れるか奇跡的な確率で職人が作成するかのどちらかしかない。


例えば普通の鍛冶師が鉄の剣を作る、これは鑑定しても剣の名前、レア度、説明しかつかない。


だが稀に特殊な素材を用いて作った剣はスキルが付与されることがある。


スキル付き道具を発見した職人は一子相伝にしてもいいぐらいの術だ。


なので職人は日々研鑽しスキル持ちの道具を作れるのを夢見る。






(あとはダンジョンで出たものだけどこれは狙って手に入る物じゃないからな)


というわけで店主の老婆の目利きはかなりのものだとわかる。


「ほら、そこの道具に触るんじゃないよ」


どうやらカルスが何かに手を触れていたそうだ。


「あ、すいません」

「たく、若ここは高価な物がたくさんあるんだ、責任取れない子供を連れてくる場所ではないよ」

「……そのようだな」


怒られたはずなのだが好奇心に負けてまたほかの道具に触れているカルス。


カリンはそれに同調しようとしていて、ノエルだけが忠実に言いつけを守っている。


「それじゃあ、俺たちは戻るよ」

「ああ、また来な」


いい感じに日が傾いてきたので俺たちは店を出て屋敷に戻る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ